- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103345329
作品紹介・あらすじ
自分にしか彫れぬ仏とは何か。絶望も愛欲も仏に刻んだ天才運慶の濃厚な生涯。少年の頃「醜い顔」と嘲られた運慶は、それゆえ美に敏感となった。鎌倉武士の逞しい肉体に目を奪われ、女の姿態を仏の姿に写しとる。その手にあるのは鑿一つ。荒ぶる野心、快慶との確執、飽くなき美の追求。だが絶頂期、病が襲った……。戦乱渦巻く時代に、美と祈りのはざまで格闘し続けた天才のすべてを描く渾身の歴史小説。
感想・レビュー・書評
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あの運慶の生涯が、運慶自身の言葉と視点で語られる。本当に彼が生きた世界がそこに見えるようなリアリティだ。ライバル快慶との激突、邂逅が面白い。私が出会ったことのある仏像の背景に迫るようで、ゾクゾクしながら読んだ。今年9月末から東京国立博物館で始まる「運慶展」の前にこの作品に触れたことで、さらに楽しみが深まった。
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ちょうど今やっている大河ドラマ『鎌倉殿の13人』とピッタリ時代が被るので、運慶が出会う人が、ドラマの人物で脳内に立ち上がってくるという楽しい体験をしました。
時政 坂東彌十郎
頼朝 大泉洋
政子 小池栄子
和田義盛 横田栄司
九条兼実 ココリコ田中
文覚 猿之助
他にもたくさん
ただ、運慶だけはドラマのキャスト(相島一之さん)にはならなかったんだよね。
読んでる自分の目線になっちゃっていました。
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H30/12/16
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仏像に最近興味があるので、ワクワクしながら読みました。
ただ、元々どのお寺にどんな仏像があるのかわかっていなかったので、この時運慶がどんな仏像を彫ったのかイメージしにくかったです。
もっと仏像に詳しかったら、もっと楽しめたと思いました。 -
2018.2 まずまず。
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運慶が彫った仏像の数々を観に行きたくなった。
まずは現存最古とされる円成寺の大日如来像かな? -
東京国立博物館で運慶展が開催中。
見に行く前にと思い読んでみることに。
小説としては特筆するものはないが、運慶の生きていた時代感や大きな時間の流れは感じられた。
平安から鎌倉の武家社会になっていくまさにその最中に仏を造る事の意味を深く考えていたことがよく伝わる。 -
運慶展が始まる前なのでちょうど良いタイミングかと。慶派の隆盛と、その背景となる平家の末期から承久の乱までの時代を、運慶が一人称で時系列に語るのでものすごくわかりやすい!運慶ってちょうど歴史の転換点に生きてて、物証(仏像のこと)も残しているし、この時代を語る証人に相応しい人物だということに全然気づかなかったのでとても面白い。筋肉隆々タイプの仏像が運慶らしくてそうじゃないのを見ると運慶っぽくないと思いがちなんだけど、運慶にも当然、年齢、発注者、時代背景によって作る仏像は違いがあり、一団の仏師たちの実力や個性も違う。あれだけの大作を作るには基本は発注者がいるので、その意向は当然、世間の思いや社会情勢が反映され、さらに宗教的なものなので、仏像は実は当時の社会が具現化されたものなんではないかと思った。私たちは、仏像を通して当時の社会を見ている。と褒めまくってなぜ平均点なのか。本としては、あまり心を揺さぶられなかったからです。
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構成的には愚直なほどに一本調子で、平板、平坦な流れになってしまっているが、平安末期から鎌倉に掛けて生きた仏師がどのような心境を抱いていたのか、当時の世相にとって仏道とはどんな存在だったのか、といった事柄が鮮やかに紡ぎ出されており、読み応えがあった。
運慶という人物に関しては現存している情報がとても少ないはずだが、その限られた事実が想像力豊かに肉付けされていることによって、まるで本当のノンフィクションを読んでいるかのような気にさせられる。
造仏等に関するエピソードがちょっと多過ぎるように感じたので、もう少し絞った方が読み易かったかも。 -
快慶などへのライバル心,親子間の想いと仏像に託する信念など色々な気持ちが混じり合って運慶の仏像がある.鎌倉幕府へと変わりゆく時代の中で,揺るぎなく縋れる仏に魂を込める姿が印象的だ.