愛に乱暴

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 248
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104628063

感想・レビュー・書評

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  • 読後感は全く心地よくなく、主人公桃子はもちろん、桃子を取り巻く環境もなんだかな、と思うものの、時期を置いて、また読んでみたいと思ったし、人にもおすすめもしたい1冊。
    他のレビューにもあったが、著者の仕掛けにまんまとはまって、途中で気づき、慌てて斜め読みで読み返してしまう。
    簡単にまとめてしまえば、因果応報というところなんだろうが、桃子は桃子で、あるタイミングにおいては、一生懸命に自分自身の幸せを追求していただけで、ある意味いじらしいのではなかろうか。
    飛び込んだ環境から飛び出すことができず、狂気めいてくるあたりに、複雑な気持ちで読み進めたが、吉田修一らしいともいえるけれど、最後は明るい世界に飛び出すことができそうな気がして、救われた。

  • 人から奪い取った夫だからか、自分と同じだけの愛情を求めすぎているような気がする。
    情熱的なのは大いにいいと思う、嫌いじゃないし。ただ、相手にも要求するのはちょっとね。
    自分が要求されたらウンザリするもん。
    夫の両親がすぐ近くに住んでいると、いい嫁、いい妻でありたいと思うのもわからなくもないけれど気が休まるときがないだろうなぁ。←経験がないからわからん。
    その気持ちからか床下に穴を掘っちゃうのもかわいい。
    近所にお住まいのコンビニのお兄ちゃんに「ありがとう」と言われてそんな気分から救われたに違いない。

  • 読む人の立場によって感想は違うと思う。
    胸クソ悪いのに続きが気になって一気に読んだ。
    略奪愛をやったら自分もやり返されて。
    ウマの合わない姑。離れに住む自分たち。流産。
    コンビニ店員の「ありがとう」がよかった。

  • 浮気ってどうしてするのだろう。
    どうして、と考えるぐらいならしないのだろうな。
    考えるより気持ちが動き、行動も同時なのだろう。

    ・・・と考えてはみたが
    奥さんのまえでなにもないようにふるまえる思考回路(?)はわからない。
    果てには浮気相手に子どもができ
    実ははじめからわだかまりがあった、ずっと楽しくなかった、
    別れてくれ、ってなんだそれは。

    高いポットやカップを買う奥さんの気持ちがわからないそうだ。
    100円ショップでいいだろう、と。
    ふと思った。
    そういうことをためていくからいけないのではないかと。
    そういうことを話し合える関係だと長続きするのではないかと。

    いや、もともと価値観が違っている。
    そしてその違いを受け入れもしない。
    そこが問題なのかも?

    自分を失ってまでその関係にしがみついてはいけないと思うけれど
    そのときにはそんなふうに冷静になんてなれないのだろうな。

    • HNGSKさん
      macamiさん、こんにちはー。やっぱり、夫の勝手さに腹立ちますよね。
      >>そういうことを話し合える関係だと長続きするのではないかと。
      本当...
      macamiさん、こんにちはー。やっぱり、夫の勝手さに腹立ちますよね。
      >>そういうことを話し合える関係だと長続きするのではないかと。
      本当にそうですね。人には言葉があるのに、なかなかそれが使えない。私も、そうやって疎遠になってしまった人がたくさんいますもの。
      桃子の独立を、願いますねえ。
      2013/10/15
  • 休みの1日の、待ち時間と車内移動で読了。吉田氏の作品は、作品によって好きかそうでもないか、どちらかに分かれるが、本作は題名で直感的に好き系、と思い図書館より拝借。もとの題名は愛「の」乱暴。単行本かにあたって愛「に」乱暴。というと、受身的なものではなく、能動的な、故意的なものに感じる。冒頭の葉月って人が、後半思いもよらないところで出てくるんだけど。そこがちょい不思議に感じた。もうひとついうと、吉田氏の作品の中で、好き系でも、なんかこう、もう一超え、と思うことも否めないのだが、本作もまさにそれ。その超えがなんなのかは自分でも不明。そこが良さなのかもしれないし。

  • 桃子が守りたかったもの、手放したくなかったものは何なのだろう。

    夫との結婚生活?そんなに幸せそうでもない。
    離れの家?義母との関係、最悪なのに。
    略奪愛で得た今の自分の立ち位置?
    もしかしたら、これまでの自分の人生を否定したくなかっただけ?

    ミステリー要素知らずに読んでいたので、
    あの場面は確かに衝撃でした。
    人の話を聴けずに突っ走ってしまう姿は昔からだったんだなぁと。

    桃子は、自己愛が強いくせに自信がない。
    だから嘘をつく。ごまかす。
    悪いところはいっぱいある。

    でも、やっぱりあの夫はひどすぎる。
    同じ理由で離婚2回目なのに淡々としすぎていて怖い。悪いのは俺、って、本当に思ってたらその態度にならないよねって。
    桃子がヒステリックになるのもわかるわ。

    吉田修一さんの読ませる力が強くて、夢中であっという間に読みました。

  • やはり吉田修一は良いな。読ませる、止まらない、人物描写も丁寧で作品の世界に入り込める。

    そして、この本は「え?!」という驚きもあって、更に良かった。すっかり騙されていました。

    それにしても、桃子みたいな人でもこんななっちゃうのか・・、すると自分もなる可能性ある?とか思ってしまった笑。でも、後に過去の経緯を知ると、確かにおかしくなる特殊な要因はあるかもな、と思う所も。ちょっと穴の所だけは良く分からなかったが。そこと、昔の事のくだりって必要なのか?と思った。その部分がなくても、十分に充実した内容だと思う。

    そして言うまでもなく真守はあり得ないですね。あのノラリクラリを繰り返している様子に、最後は桃子に戻るのかと期待していたんだが、そこは裏切られました。でもそっちの展開の方が作品としては良いと納得。

    最後、薄日が差すような感じで終わるのも良かった。そうそう、全て向こうの思い通りになるようにするんじゃなくて、そういう形で自分の存在は見せておかなきゃね。

  • 今話題の「怒り」の後に読んでみました。
    不倫ものなんだ、フーンと思いながら読み進めてみるとどうやら二人の気持ちが同時に進んでいる感じ?
    いやしかし、同じ主婦としてどうにも主人公の女性の気持ちに共感できない自分がいて・・・
    でもかわいそうとも思ったりして・・・

    そして途中から何か違和感を感じつつ、結論が知りたくて一気に読み進めてしまいました。

    著者の作品はどうやら一気に読まないと気が済まないらしい。それだけ読ませるのがうまいんですね。文章も読みやすいです。
    読んでる間けっこう苦しかったので、最後は希望があってよかったです。

  • 読み始めから、何が起こるんだろうかと胸騒ぎが収まらずに読み進めました。最後に救いが、あって、ほっとしました。

  • やばい!出だしから面白すぎて一気読みしてしまいました。
    どうなるんだろうと最後までドキドキ。
    なんとなく最後はアンハッピーな予想だったのにとっても上手にまとまってて心から安堵できました。
    途中までの騙され感もよかった。
    あと結局不倫する男は繰り返すってのがよくわかった(笑)

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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