女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049101

感想・レビュー・書評

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  • 「言いたい人にはなんでも言わせておけばいいのよ。
    あなたも、自分のことを〝ただの”とか〝つまらない”とか言っちゃ駄目。
    それは、あなたが支えている人や、あなたを支えてくれている人たちに対して、失礼よ」


    「目一杯がんばったなら、もうそれ以上、がんばる必要なんてないのよ」


    マカン・マラン2作目。
    今作も、どの話もとっても良かった。

    生きるって本当大変だし辛いことの方が多い。

    だけど、そんな時にシャールさんの一言にどれだけ救われるか。

    悲しいことや辛い経験をした人こそ、他人に対して優しく丁寧に接することができるんだと思う。

    私もシャールさんに会いたいなぁ。。

    そして柳田とジャダのやり取りが毎回ツボで爆笑でした。笑



    2021年読了、7冊目。

    • raindropsさん
      ほんとに同じように感じてる人がいて、嬉しいです。
      ほんとに同じように感じてる人がいて、嬉しいです。
      2021/02/16
  • 【美味しい小説】
    マカン・マランの2作目です。あいも変わらず、なんて魅力的なお店なんでしょう(*´∀`)♪
    シャールさんが病気で手術するところで前作が終わりましたが、第1章目で復活なさります。
    その登場シーンが素敵。文章を読むと、長身のシャールさんが、滑らかで輝きのあるドレスに身を包み、雪の女王のような妖艶な迫力で登場するのが浮かびます。
    実際は冷たさではなく、優しさと温もりに溢れた人ですけど。そして、出てくる美味しい夜食と、ほっこりと感じるブレンドティー。
    ソイミートのじゅわっと唐揚げ。たまにハメを外すトルコライス、暖かい7種うどん。合間に出てくる差入れメニューもとても気になる!
    そして、必ず出てくるお茶。各章の主役として出てくる登場人物の性質や悩み、体質に合わせたお茶は、いつも滋味あふれた表現をされてます。
    シャールさんの言葉とお茶に絆されて、思いを語る主役が必ず幸せに向かうところが嬉しい。
    そして、次章以降で必ず常連として登場するのが、すごく羨ましい。。。
    実は、一作目を読み始めた時から影響されて、夜お茶を珈琲ではなく、そば茶やシナモンティーに変えたりしてます(笑)夜の美味しい過ごし方に多大な影響を受けております( ^∀^)
    身体に優しいお茶を飲みながら、夜読むのにオススメする小説です。

  • シャールさんが無事に復活して良かった!
    第一弾のごとく、悩める人たちが導かれるように「マカン・マラン」にやってきて、シャールさんが振る舞う手料理と共に放つ言葉が、訪れた人の心に染み込む、その様子が本当に面白いし、感動する。
    そして読んでいる私も、まるで心臓に矢を放たれたかのように、シャールさんの言葉が心に沁みました。
    第4弾まであるということなので、今度はどんな悩みを持った人が「マカン・マラン」にやって来るのか、シャールさんのどんな手料理がでてくるのか、どんな名言が飛び出すのか、凄く楽しみですが、一気に読んでしまって「マカン・マラン」に行けなくなるのが寂しいので、続きは少し期間をあけて読みたいと思います。

  • 既に読了からかなり時間がたっているし、他の方が
    良質のレビューをお書きなので簡単に。
    (書き忘れていました。ごめんなさい。)

    既に続編も出ていますよね。

    辛い時に、いいかげんな食べ物はいけません。気持ちが荒れます。お野菜たっぷりの、優しい味でおなかいっぱいになるのがいいです。

    それも腹八分目で。

    シャールさんのお料理が良いのは、何もかもほどよいからかもしれません。この小説に出てくる人は、みな完全無欠の幸福ではありませんよね。お店を出ても、根っこの問題…自分が向き合うべきことは、消えていません。それは店に残るドラァグ・クイーンも同じに。

    囚われ続けてもしかたないことは決別する。新しいものの見方で、出来ることを出来る方法でやってみる。つらいことはゆっくり癒やす。

    これはどれも、悲しみを癒す方法ですが、ひとはそれをひとりでこなすのは大変。

    寄り添ってくれる人と、お料理。
    そして急がないこと。

    自分が孤独に耐えうると、じわりと温められながら
    言い聞かせることが、すごく大事だと思います。

    みんなそれがわかっていても、自分ではなかなか出来ないから、マカン・マランに私達は集まります。
    一冊という一皿と、温かいスープでもいかがですか。少し、疲れたでしょう。

  • シャールさんにまた会うことができて、本当に良かった。すぐに喧嘩ごしになるジャダも読み進めるにつれて、とても愛嬌が出て来てチャーミングに思う。どのご飯もおいしそう。

    今回も、扱うテーマは重いものばかり。
    シャールさんのあたたかさと優しさで、ラカンマランを訪れた人たちの背中をそっと押す。
    今回はシャールさんの弱音もあり、こんなに強い人でも弱音ははくのだと、むしろ安心してしまった。
    大丈夫。シャールさんには、柳田もジャダさんもいるし、常連さんもお針子さんもいるんだから!と読んでいて励ましたくなった。

  • 本作も読むだけで自律神経が整う気がする。
    重すぎず、各話のラストは温かい気持ちになるので単行本だがスルスル読める。
    シリーズ1作目で言及された人が主人公で登場し、いろんな視点から一つの町の出来事を覗きできる。いろんな人に優しくなれそうな作品。

    (備忘 覚えておきたいセリフ)
    ・幸福の裏には、いつも寂寥が潜んでいるの。でも、人生ってきっとそんなものよ。だから、私たちは一生懸命になれるのかもしれないし。
    ・本当のサボタージュっていうのはね、怠け者の常套手段ではなくて、もっと過激で前向きなものなの。ある意味、がんばっている人の特権なのよ

  • シリーズ マカン・マラン 第2作。

    第1作で登場した人たちも店内でくつろぐ様子がうかがえてほほえんでしまう。
    闘病のため主人が姿を消したあとも「マカン・マラン」は居心地よい場所を開いてくれている。

    2016年初版で、いま読むと「派遣労働」とか多少時代を感じる話題もありつつ、「親子の愛」という普遍の、大きなテーマがBGMで静かに流れている。

    第3話。
    子育てに必死な母親。
    自分が投影されてしまい、感情が揺さぶられつづけた。
    可愛い我が子、なのに良いところもたくさんあるのにまっすぐに見てあげられない。
    果たして、子どものためなのか、自分のエゴなのか…
    参考文献をみると特性のある子どもを対象として書かれているのがわかる。
    そういうお子さんをお持ちの方は身につまされる思いがするのではないか、、。

    第4話。
    人生のとなりに置いておきたい作品。
    節目ごとに読み返したいーー

    高校生の娘が理転を希望?!文系から理系へ変えて受験すると言い出した…
    そんな無謀な話をきいたら親はNOー!!と言いたくなるはず。
    そんな話題からシャールの話へ移り、、親子について深く考える。

    シャールのひと声。
    「親子って難しいのよ。一番近くにいる他人ですもの」

    これに尽きる…

    (本文より 一部抜粋)
    ーー
    親の心子知らず。子の心親知らず。
    たとえ親と子であっても、ひとりひとりが別の人間だ。
    その人生を、他の誰かが負う事はできない。


    認めなかろうと、理解しなかろうと、娘には娘の人生があり、その責任のすべては最終的に娘自身が負っていくしかない。
    たとえ失敗すると分かっていても、その挑戦を選んだ娘を見守ってやるくらいのことしか、親にできることはないのかもしれない。
    ーー

    この作品で知ったこと。
    ーー
    『冬至の七種(ななくさ)』
    ニンジン、レンコン、ギンナン、カンテン、キンカン、ナンキン(南瓜)、ウドン(ウンドン)

    全部の種に「ン」が2回入る。
    冬至は、
    一陽来復(いちようらいれき)、陰極まりて、陽に帰る。
    いちど終わり切ったものが再生する日。
    ーー

    各話の紹介(公式サイトより)
    ◆…主要キャラ ◇…サブキャラ

    ●第一話「蒸しケーキのトライフル」
    〈擬態〉だけが得意になる、ランチ鬱の派遣社員へ
    (◇真奈 …職場の人間関係に悩む派遣社員)

    ●第二話「梅雨の晴れ間の竜田揚げ」
    夢を追うことを諦めた二十代の漫画家アシスタントに
    (◇裕紀 …マンガ家志望。マカン・マランの近くのアパートに住む。 のちにデビュー!)

    ●第三話「秋の夜長のトルコライス」
    子供の発育に悩み、頑張り続ける専業主婦へ
    (未央 …小学生の息子の子育てに悩む)

    ●第四話「冬至の七種うどん」
    親子のあり方に悩む柳田とシャール
    それぞれの結論とともに食す「再生のうどん」
    (◆柳田 …中学校教諭。シャールの中学同級生。娘の進路で揉める)

  • 会社勤めの女性にも 漫画家志望の男の人にも
    タワマンに住む主婦にも 高校生の娘をもつ教師にも みんな悩みってあるんだなあ!
    自分に自信がなかったり 自分を客観的に見られなかったり 気がつくと母親と同じように子供を縛り付ける母親になっていたり
    高校生の娘の進路変更が認められなかったり
    この ダンスファッション店シャールが 心に寄り添って 美味しいものを食べさせてくれる。
    うちの近くにも こんなお店ないかしら?
    常連さんになりたいなあ!
    と思わせてくれるお話しです。

  • あったかかったー。なんて素敵なつながり。

  • 読み始めてしばらくマイナスな感情や状況が続き、なかなかページが進まなかった。自分の身近でも起こりそうな状況に、自分の気持ちを引きずられたくないと言う気持ちから、なかなか進まなかったのかもしれない。
    私の、もやもやトゲトゲした感情をシャールさんがゆっくりほどいてくれました。いつか、お針子さんたちが作り出す小物を手に取ってみたいなぁ。

    バッハルベルのカノン、聴きながら癒されています。

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著者プロフィール

1966年、東京都生まれ。映画会社勤務を経て、中国語翻訳者に。『銀色のマーメイド』で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞し、2011年にデビュー。17年、『フラダン』が第63回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選出、第6回JBBY賞(文学作品部門)受賞。他の著書に「マカン・マラン」シリーズ、「キネマトグラフィカ」シリーズ、『風の向こうへ駆け抜けろ』『蒼のファンファーレ』『鐘を鳴らす子供たち』『お誕生会クロニクル』『最高のアフタヌーンティーの作り方』『星影さやかに』などがある。

「2021年 『山亭ミアキス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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