入門!論理学 (中公新書 1862)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121018625

感想・レビュー・書評

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  • 2006年9月25日初版

    哲学を専攻する助教授が著者。

    「記号論理学」の入門者でありながら、記号はほとんどなく、文章の積み重ねで「論理的」とはどういうことか、論理学とはどのような学問かを紹介していく。

    記号の団体を見ただけで読む気をなくす、という人が「論理学」とはどういったものか、という雰囲気を味わうのには最適の入門書である。

    また、記号をほとんど使わない形式で書かれているので、抽象的思考と具体的思考とがなかなか良いバランスを取って説明が展開されている点は、既存の論理学の本を読んだばかりの人にとっても新鮮な視線をていきょうしてくれるのではないだろうか。

    しかしながら。論理学を学んだからといって、ただちに論理的になれるわけではないということは肝に銘じておく必要がある。



    広げるキーワード:ド・モルガンの法則、排中律

  • 日常における論理的思考ではなく、学問としての論理学の入門書。一般論理学とは数学、哲学にも関係していて、自分には到底立ち向かえないという畏敬の念を込めて、非常に興味深かった。

  • 命題論理から述語論理までを数式無しで解説.初心者にとって読みやすいんじゃなかろうか.述語論理は完全だが,数についての公理を付加すると不完全になってしまう.この2つの事実を証明したのがどちらもゲーデルだということは前者に関しては初めて知った.

  • 目からウロコだった。日本語を そんなふうに見たことなかった。日本語を数式パターンに はめこんだ感じ

    論理学に 神の視点が出てきたのも 意外。ただ 論理学を 自分の思想、生活、仕事に どう取り込むかが、わからない

  • 理論化し体系化する最初の産声を取り上げる さもさん!ぜんぼうず 脈絡のなさが思い付きの面目躍如たるとこ
    前提を認めたら結論も認めること 
    演繹 
    演繹とは、手持ちの「理論」から、ある「情報」を加味して、新たな「予想」をたてる形の推論方法
    推論not=推測
     論証と導出 後者は過程のみをとりだし、前提があっているかはきにしない アームチェアディタクティブ 否定はその主張の間違いの訴えを通して、世界を描写すること。 ゲーテルの不完全性定理
    かつ連言 または選言 議論領域 全称 存在

  • 論理学とは何か、を簡単に説明した本。
    「論理的とはどういうことか?」という目的で読み始め、前半はまさに「論理的とは」についてや、論理学にとって重要なことば(否定、かつ、または、ならば)の定義が説明されていて目的に合致していた。
    後半になると、学問としての論理学の紹介となり、ぐぬぬと言いながら読破。苦労して読んだがあまり覚えていない。

  • 論理学は大学の一般教養で習った程度の素地があるのみ。そのときの講義はとても興味深く面白かったのですが、何しろちょくちょくサボったこともあって評価は4段階(優/良/可/不可)で3番目の可でした。てへ。orz
    その講義で、言葉で成立する論理を「記号を使って式として書く」という、高校卒業したての当時の私では思ってもみなかった手法に出会い、けっこうテンション上がって教科書に読みふけったことを覚えています。最初はそれでもまだ記号の種類はそこそこあったものの、途中から現われた「↑」と「↓」のふたつの記号の組み合わせだけですべての論理を記述してしまおう、との流れに至っては、若かった私はただただ大興奮。文系のくせに!(むしろ文系だからこそ憧れたのかもしれませんが)

    さて、野矢先生のこの「入門! 論理学」は、通常の「論理学」では記号化されて顕われる「ことばとことばの関係」を、私が講義で学んだのとは真逆に「記号ではなく敢えてことばで」説明していこうという試みです。その分、もしかしたら文系のひとにもとっつきやすいかもしれません。しかしながら、とっつきやすい、とは、簡単だとか苦もなく理解できるとか、流し読みでも頭に入ってくるとか、そういったことではありません。日本語で書かれている本書をしっかり理解しながら我がものとしていくには、片手間でなく真正面から向き合って噛み砕いていく必要があります。パソコンいじりながらスナック菓子をつまむのではなく、己れのうちに取り込む食材の味や香り、噛み心地、温度までもを確かめ確かめして飲み込んでいく精進料理のような「入門書」です。

    私にとっては母語である日本語で論述されている+野矢先生の軽妙な語り口、この2要素のおかげでするっと読みそうになるものの、「本当に理解できているか?」と確認作業を怠ったまま進めて意味をつかみ損ね、少し前に戻って読み直す…3歩進んで2歩下がる、私はそんな読みかたになってしまいました。それでも意味をとらえて進むときには、何ともいえない昂揚を覚えました。自分のなかに、新鮮でおいしい水が流れ込んでくる感覚です。乳と蜜が流れる、といってもいいくらい。

    途中どうしても理解できなかったのが、排中律の部分(けっこう最初のほうで最大のつまずきをしちゃってますね)。
    「太郎は勇気があるかないかどちらかだ」が、どうして「太郎の勇気が試されることが一生なかった場合」にはなりたたないのか? これが感覚的にどうしても飲み込めなかったのです。試される場面がなくても、「試されたときを仮定すれば、勇気があるかないかのどちらしかない」と思ってしまって。無理やりそういうものなんだと言い聞かせて先に進みましたが、どうにもここだけが腑に落ちませんでした。

  • 三葛館新書 116||NO

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=57440

  • 野矢先生の本全般に言えることだけれど、講義中に話しかけられているかのような感じでとっつきやすい。後半はだいぶついていくのが大変だったけど、先生のおかげで完走できました。

  • 【目次】
    はじめに [i-iv]
    目次 [v-xi]
    題辞 [002] 

    第1章 あなたは「論理的」ですか? 003
    「論理的」って、どういう意味だろう?/論理は非常識か?/論理学が扱う推論とはどういうものか/論証と導出を区別しよう/ちょっと論理力をテストしてみましょう/論理学って何のためにあるのだろう/論理のことばたち

    第2章 「否定」というのは、実は とてもむずかしい 035
    ひとはどういうときに否定するのだろう/私はあなたのことが好きではない/肯定するか、否定するか、どっちかしかない?/勇気と盲腸の違い/二回否定すると肯定になるのか?/矛盾の形/背理は否定される/否定の論理

    第3章 「かつ」と「または」 073
    論理と接続詞/「かつ」の入れ方・はずし方/「かつ」の仲間たち/ひとが「または」と言うとき/こうすれば「または」は取れる/「かつ」と「または」を否定すれば/ド・モルガンの法則を導いてみる

    第4章 「ならば」の構造 107
    「ならば」で困った/「ならば」のはずし方/導入則をどうしよう/「ならば」の否定/対偶をとる/「ならば」の連鎖

    第5章 命題論理のやり方 139
    私たちはいまどのあたりにいるのか/証明するとはどういうことか/論理命題と推論規則/証明も、けっこう楽しい/ほしい論理法則・ほしくない論理法則/二つのアプローチ/「健全」で「完全」な公理系/いろいろな公理系が作れる/遠くにゲーデルの不完全定理が見える

    第6章 「すべて」と「存在する」の推論 193
    この推論はどう扱おう/全称と存在/全称と存在のド・モルガンの法則/世界に三匹のブタしかいなかったら/「すべての男はバカである」の論理構造/「バカな男がいる」の論理構造/「すべて」と「存在する」を組み合わせる/述語論理の公理系/論理学のやり方

    おわりに [244-247]
    索引 [249-250]

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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