日本アニメ史-手塚治虫、宮崎駿、庵野秀明、新海誠らの100年 (中公新書 2694)
- 中央公論新社 (2022年4月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121026941
感想・レビュー・書評
-
筆者が書いているように、アニメ作品史であり、監督史観である。アニメについての卒論で、歴史を簡単に解説しているので、少し参考にするのはいいであろう。ただし、アニメの定義やアニメについての研究はほとんど記載されていないので、日本アニメの歴史を読み通すことにとどめておくのがいい。実際はyoutubeで動画を見せながら説明されるとより分かりやすいのであるが著作権上でむりがあろう。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/772791 -
女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000056996
-
アニメ作品史ですね。アトムをリアタイで見てきた人間としては、うまくまとまっているなと感心する。「アトム」「ヤマト」「ガンダム」「エヴァ」をアニメ史の中でのエポックとするのには異論はあるけど。いずれもテレビシリーズをあげており、しかもアトム以外は打ち切り作だからね。後出しジャンケン的なところはあるかな。でも「ガンダム」「エヴァ」ではアニメ作品のファンが制作側になるということに価値がある。またビジネスになったという意味でも。
それにしても、「虫プロ」の制作費の安さを糾弾していた宮崎駿の「ジブリ」で、アニメーターの給与が訴訟騒ぎになるなんて皮肉なもんだ。 -
1906年 アニメーションとは何か
アニメとアニメーション
アニメーション前史
海外アニメーションの国内上映
1971年 3人のパイオニア
国産化を促したもの
見よう見まねの技術研究
大正期モダニズム
ディズニー台頭による拡大と模索
前衛の萌芽
1945年 プロパガンダが技術向上をもたらす
民主主義というプロパガンダ
テレビ放送開始による新たな可能性
1956年 東洋のディズニーを目指す
ディズニー長編の衝撃
魔法少年の誕生
1963年 空を超えて
アニメを作るために漫画を描いた
常識破りのテレビアニメシリーズ
鉄腕アトムがもたらしたもの
反手塚から生み出されたあしたのジョー
1974年
戦艦、目覚める
不動の問題作、宇宙戦艦大和
アルプスの少女ハイジ
1979年 空前のアニメブーム
劇場版銀河鉄道999
うる星やつら
1984年 1000年後からの継承
1995年 最大の転換点
2006年 グローバリズムの光と影
2016年 揺るぎない長編アニメ大国
2020年 リモートの時代 -
<目次>
序章 1906年~アニメーションとは何か
第1章 1917年~3人のパイオニア
第2章 1945年~プロパガンダが技術向上をもたらす
第3章 1956年~東洋のディズニーを目指す
第4章 1963年~空を越えて
第5章 1974年~戦艦、目覚める
第6章 1979年~空前のアニメブーム
第7章 1984年~1000年後からの警鐘
第8章 1995年~最大の転換点
第9章 2006年~グローバリズムの光と影
第10章 2016年~揺るぎない長編アニメ大国
終章 2020年~リモートの時代
<内容>
網羅的かつ体系的に日本アニメの歴史を新書レベルでまとめたもの。資料的価値もあり、アニメを学びたいならまずこの本を読むべきであろう。 -
アニメの誕生から現代まで、制作体制や表現方法、ビジネスモデル、ファン層の変遷、また各時代の潮流や転機も押さえるなど、適確な概史として纏まった一冊。CMやプロパガンダなど、アニメが持つポテンシャルは戦前から関心が高く、(製作に莫大な資金を要する事情がありながら)海軍に支援された長編作品が結果的に発展に寄与するなど、戦後ほどなくから興隆し始めたアニメ大国の一因を垣間見たりもする。東映、虫プロ、タツノコプロ、ジブリなど人財を育てる組織(土壌)があった20世紀に対し、製作委員会方式や個人製作まで可能になった現在、次代の作家やスタッフをどう育てるのか、課題と可能性の両方を感じた。それは範囲が日本国内でなくても何ら問題は無い。
-
真面目な歴史研究という内容でおもしろかった。アニメオタクの人たちをずっと忌避してきたけれど、自分もこの本に登場する作品の多くを視聴してきたのだった。自分史とアニメ史が重なっているということがわかって感慨を覚えた。