陰翳礼讃 (中公文庫 た 30-27)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122024137

感想・レビュー・書評

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  • 陰影について徒然と書いてた。昔の日本人、東洋人の陰影についてのセンスを「何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する」と絶賛しつつ、

    ・古い和式のトイレは母屋と離れてて冬は寒いが風流で思想に耽るに良い。
    ・便器は陶器じゃなくて木製に限るぜ
    ・電灯は明るすぎるからランプがいい。伝統に照らされてみる歌舞伎の女形とか明るい舞台で見せたら男っぽすぎるっしょ。
    ・なぜ西洋は陰影を好まず明るいのが好きで白色電灯などを作って、陰を払いのけようとするのか?→肌の色が関係するのだろう。
    ・白人が有色人種を排斥する心理もうなづける。
    ・日本人が陰影を好むのは、自分たちを醜悪な状態に置きたがらないものだから、暗い雰囲気や食器を好んで自分たちを鎮めようとしてる

    とか割と言いたい放題。「あなたの感想」なんだけど、文章がうまいというか、流麗なので、読めちゃう。ほぼ勝手な印象で一冊本を書けるのはすごい。

    ただ日本人がおしろいを塗っても隠せない肌の色を「清冽な水の底のある汚物」とまで言ってるのは時代とはいえ驚く。

  • 美術に関して素養がない私ですが谷崎潤一郎氏の視点から、日本と暗闇の関係、光と影の美しさ、欧米と日本の感性の違いなどを知り
    「そもそも美術」とはなんぞやとモヤモヤが少し晴れたような気がします。

    まだ解釈しきれてないので、暫く放置して熟成させます。

  • 学生の頃読んだ時は、よく分からんけどワビサビかっこいいとか思ったような気がする
    久しぶりに読んだら結構ツッコミどころ多くて面白かった
    もし日本(東洋)独自の科学文明が発展したら云々とあるけど、そしたら結局今日に至るまで江戸時代から何一つ変わらんのじゃないかしらと思ってみたり、他国の文明を沢山取り入れたことによって更に日本の技術に磨きがかかってその一方で伝統的なもの(芸能であれ工芸であれその他諸々)をずっと継承している人たちがいてそれがマッチングして現代は良いようになってると私は思ったから、この時代を谷崎に見せたらどう思うんだろうかやはり何か小言を垂れるのかしら
    「恋愛及び色情」途中長々と賢者タイムの話になってうるさって思った
    今の感想だといっぱい思うところあったんだなぁって大きな目で見る本かなでもなんか嫌じゃなかったな

  • 日本の家屋、女、対人関係、廁、などについて、
    谷崎潤一郎が、好き勝手意見を述べる。

    変わった視点からの極端な意見が、とても面白い。

  • 素晴らしい

  • 自分は薄暗い空間だったり、少し汚れて味が出ているものを好んでいたけど、これだけ電気で明るく照らされているのが当たり前の世界だと気付けないものの魅力がまだまだあるなと再認識しました。
    特に日本(ないし東洋)の建物や照明、食器などの生活用品は暗い闇の中でほの明るい明かりに照らされることを前提としての美を追求されているのだということはなぜ考えもしなかったんだろうと目から鱗だった。
    ちょっと谷崎潤一郎の主観と偏見強めだけど面白い内容だった。自分も自分の生きる世界の陰翳を見つめ直し礼讃して行きたいです。

  • 『陰翳礼讃』だけ、読みました。

    『陰』をもっと深く求め昇華するのだと思ってたよ。
    80年前と現代では求められてるものが全く違う。
    そこは理解した上で読んだが…

    自分自身、読解力が乏しいと自覚している。
    『陰翳礼讃』の4文字に、
    勝手に抱いてたちょっと尊いイメージが霧散。

  • 陰翳の中で語りかけてくる文章が身体に沁み入ると、神経を落ち着かせ、安ませることができる。光と陰を分かち合おうと、濃淡の微妙な模様を示し、庇うことで劣等感を癒そうとするのではなく、軽減する実際的方法を一緒に考えようとしてくれている。劣等感の内に不鮮明になっている大きな魅力を発見してくれさえもする。劣等感を装着して、曙光でそれを焦がして生活している姿は、そのために費やされた法外な悩み抜いた時間、「隠したい」という気持ちに支配されて苦しみもがいた姿を想像させる。人を尊敬へと導き、本物の人に出会えた感動をもたらす。

  • 照明デザインに興味があったときに、読みました。

  • 3.89/4896
    『日本の伝統美の本質を、かげや隈の内に見出す「陰翳礼讃」「厠のいろいろ」を始め、「恋愛及び色情」「客ぎらい」など随想六篇を収む。〈解説〉吉行淳之介』(「中央公論新社」サイトより)

    冒頭
    『今日、普請道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、電気や瓦斯や水道等の取附け方に苦心を払い、何とかしてそれらの施設が日本座敷と調和するように工夫を凝らす風があるのは、自分で家を建てた経験のない者でも、待合料理屋旅館等の座敷へ這入ってみれば常に気が付くことであろう。』


    『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』
    著者:谷崎 潤一郎
    出版社 ‏: ‎中央公論新社
    ペーパーバック ‏: ‎213ページ

    外国語訳:
    English『In Praise of Shadows』
    Spanish『El elogio de la sombra』
    French『Éloge de l'ombre』
    Arabic『مديح الظل』
    Vietnamese『Ca Tụng Bóng Tối 』
    他、多数

    メモ:
    ・松岡正剛の千夜千冊 60 夜
    ・100分de名著(102)谷崎潤一郎スペシャル 2020年10月

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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