シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814543

感想・レビュー・書評

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  • 今僕が考えていることにすごく近く、期待してた通りの内容でとても為になった。
    目まぐるしく変化する世の中だが、近い将来を洞察したいなら読んでおく必要があると思った。
    かなりオススメな本で、手元にぜひ置いておきたい1冊。

    2012.4.12-30
    図書館

  • 帯に書いてある次の言葉に尽きるのでしょう。
     <所有する>から<利用する>へ

    よくよく考えてみれば、モノを<所有する>ことではなく、モノを<利用する>ことが目的だったはず。車を持つことが目的なのではなく、買い物に行くための手段が欲しかっただけのはず。

    言われてみればその通り。

    モノを<所有する>ことに価値を見出す限り、欲望に限界はありません。子供が新しい玩具を次々と欲しがるように、私たちは永遠に満たされることのない飢えに苛まれるのでしょう。

    (このあたりを詰めていくと、ボードリヤールの議論(シュミラクールとシュミレーション)がそのまま当てはまると思います)

    さて、そこで原点に戻ろうじゃないかというのが本書の呼びかけ。つまり、<利用する>ことに価値を求めるならば、みんなで共有すれば良いじゃないか。

    著者は言います。
    「子供には『お友達と仲良くおもちゃを使いなさい』と口を酸っぱくして言うくせに、当の大人は『シェア』と言われると何やら構えてしまうのはなぜだろう」
    (p96)

    シェアをするためには、他者との信頼がなければならないと著者は言います。つまり、シェアをするためには、コミュニティの再構築が必要となるのですね。そして、人はコミュニティの中で「他人の役に立っている」という点に充足感を見出すだろう・・・と。

    本書では、Web上のソーシャルネットワークを用いた事例が多いのですが、何も、そこに限定して押し込めなくても良いのですね。要は、「もう一度、コミュニティを取り戻そう」という趣旨なのですから、Webに関心のない高齢者だって参加できるはず。

    問題は、その方法論ですが、著者の主張の中で「その通りだ」と首肯したのが次の点。
    「消費者に正しいことをさせるのではなく、正しいことをより魅力的にするのだ」

    環境にやさしい、地域の伝統を守ろう・・・・それらは間違いなく「正しい」ことです。でも、正しいからといって、人がそれを選択し、行動するかといえばそうではありません。その選択が「格好がよい」「クールだ」「お洒落だ」「得になる」などの魅力あふれるものに仕立て上げることこそが重要なのでしょう。


    なかなかに興味深い事例が満載で楽しめました。

    難点を言えば、ちょいとカタカナが多すぎるところかな。

    最後には訳者による日本語版解説がついています。

  • さまざまなパラダイムシフトの芽生え。

  • 最初の方は経済の消費時代に関する歴史っぽいもの。
    それ以降がリーマンショック以降に加速された消費することに関してのアンチテーゼの軽いものを含んだ、持続可能なエコだったり、もう少しだけ自分の出来る範囲での豊かさみたいなものを考えて行動し始めている人、企業の話。
    この話が進んでいるかいないか今後主流になるかはわからないけれど、考えてみても損はほぼなくて興味深い。
    製造業的には非常に大変かもしれないけれど、今後増えていきそうな考えな気がする。

  • 私はこの手のあつめの翻訳本が苦手なようである。まったく聞いたこともないアメリカ企業の名前がわんさかでてくるだけで嫌になってしまうという・・・

    そして、shareというまさにその一言だけあればそれ以上以下もないような内容と思うのですが・・・

    ■ホテルの具体例
    「宿泊客は、どの階のどの部屋に泊まるか選べない。僕らはそれと正反対のことをやっているんだ」
    確かに。
    具体例がわんさかでてくるが、どれについても共通しているのが、
    身近な「こうだったらいいのに」というものが、「じゃあshareすれば、shareのための(ネット上の)プレイスを提供すれば、解決できるじゃない」という発想転換をしているということ。

    ■12セント節約するためにいつもウォルマートで桃を買うよりも、地元の農家を支援したほうがいいと思う人がいてもおかしくないでしょう。
    →ハイパー消費からの移り変わり
    購買が「自分のため」から「誰かのため」へ変化しているようだ

    ■shareの3分類
    ①PSS②再分配③コラボ的ライフスタイル
    ①はプロダクトサービスシステムのこと
    使われていないものを、別の誰かに利用してもらうシステム
    ②中古品や使用物を交換する
    ③目に見えるものだけでなく、同じような目的をもった人が集まり、時間空間技術やお金といった目に見えにくい資産を共有する
    オフィススペースやスキル、車の同乗など。信用が必要

    ■所有より利用
    CDに代表されるように。
    モノそれ自体よりも、それによって満たされるニーズや経験を私たちは求めている

    ■ブランドのコンセプトはこう変化している
    欲しいモノ→大好きなモノ→参加できるコト
    企業が提供するモノやサービスのファンがお互いにかかわり合うグループをつくる必要=ブランドコミュニティ

  • パート1の「ハイパー消費の時代」がとても興味深かった。お金で手に入るものを手に入れれば入れるだけ幸せだ、というような価値観は商業上の理由から恣意的に作られたものである。作られたものであるからには、私たちの消費に頼らない価値観への転換によって、ハイパー消費社会を終わらせることが出来るのかもしれない、本書の豊富な事例からそんな希望を感じた。

  • さんざん物を消費した挙げ句にやってきた経済の行き詰まり。これからは情報も物も「シェア」することが求められている。日本だと「カーシェアリング」がわかりやすい例だが、Facebookなどのソーシャルな基盤が広がるにつれて急速に広がっていくに違いない。企業も商品を開発する際に、物と人の循環システムを作らずに、物だけを作るという発想はもはやあり得ない。今後、ブランドとして価値を持つのは、メーカーではなく、コミュニティとなると予測される。地産地消、地域通貨、ソーシャルデザイン、様々な分野が、一斉に変化していきそうな予感を感じる本。

  • 「再分配市場」はハイパーバイザーと仮想マシンリソースの関係に当てはまる。そしてサービスを受けた分だけ対価を払う(プロダクト=サービスシステム)はクラウド上のソフトライセンス定義をどうするかという今の問題

  • インターネットが主。ネットができないとシェアできないよ。

  • 色んなシェアサービスがあるもんだなと思った。再読して、一つ一つ詳しく調べてみたい。

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著者プロフィール

作家、ソーシャルイノベーター。『シェア』(2010)で提唱した「共有型経済」は、タイムズ誌による「世界を変える10のアイデア」に選ばれた。2013年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダー」にも選出。ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、WIREDなどで寄稿編集者を務めるほか、インターネットとテクノロジーを通したシェアリングエコノミーの可能性やビジネス・社会における変化についてコンサルタントや講演などを行っている。またオックスフォード大学サイード・ビジネススクールで「協働型経済」コースを教えている。

「2018年 『TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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