一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

制作 : トマス ピンチョン 
  • 早川書房
4.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151200533

感想・レビュー・書評

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  • なんか本当にこんな時代が来そう(°▽°)

  • 極端な全体主義社会が周到に描かれており、怖くて憂鬱な本だった。21世紀日本とわりと遠くない雰囲気があって、フィクションとして興味深く読むのが難しい。書類の書き換えとか隠ぺいとか実際やっているし。突然の逮捕とか拷問も怖いのだが、とりわけ、新語法《ニュースピーク》の「思考を狭めるために語彙を削減する」という考えには、本読みとしてじんわりとした怖さを感じた。

    ということで本書が名作なのはわかるのだが、自分の好みだったかというとそうでもない。ジュリアがウィンストンに惚れる理由が見えないし、ウィンストンがチョロすぎて信じられない(紙切れ一枚で! はは!)。巻末のピンチョンによる解説を読むと、二人のロマンスがピンチョンの心を打っているようなのだが、わたしは「なんだこのウィンストンに都合の良い展開は ラノベか」とはっきり不満だった。まあザミャーチン『われら』でも思ったけれど、性欲はいろいろ危険ですね。個人の選択でオンオフできるようにしたらいいと思うよ。

    興味深いのは、大した危険人物でもないウィンストンの洗脳になぜ党の中枢はあれだけコストをかけたのか、なのだけれど、かれらの数少ない楽しみっていうことなんだろうか。マッドな拷問幹部のシーン多めで映画化してほしい。怖いから観ないけれど。

  • 有名だが未だ読んだことがなかったので、平沢さんつながりで。
    猫のゆりかごに比べると物語の中に入り込みやすい。
    ビッグブラザーと呼ばれる者に統制された息苦しい世界。
    違和感を感じながらも、甘んじる人々と違和感すら感じない洗脳された人々。
    近い将来やってきそうな未来。
    来なかった未来。
    最後の一文に震え、恐怖します。

  • 第二次世界大戦後、数年後に書いたとは思えないほど、リアルで実際に起こりそうなこと。国に監視され、自由に物が言えない、動けない、ただただ洗脳されていく世界がどんなにひとの尊厳を奪い恐ろしいことかを問い続けている。そんな状況下で、これはおかしい、思い続け、理性を保ち続けられるかの試練にも見えた。最初からこんな世界で生まれたこどもたちにはそれは当たり前で、親がおかしなことをしたら密告するように教育される。
    自国がなんて平和であるかを改めて感じるが、こういう世界ができてしまわないか。。ただふあんだ。

  • 古い訳で読んだとき、さっぱり分からなくて最後まで読めなかった。
    ジョージ・オーウェルのこの作品は、「多くの人が話題にはするけど、実は、誰も読んでいない」と言われているらしい。なるほど。

    その後、新しい訳が出ているのを見つけたので、去年、2012年に突然また読んでみたくなり、図書館で新しい訳を予約して取り寄せてみた。新しい訳のほうが字も大きくて見やすかった。
    さらにマンガ版も取り寄せて借りて、じっくり読んでみた。ネットの解説も併せて読んだ。
    ネット上に、無料の全訳が載ってて、それも参照した。
    そこまでしてでも、読破する価値のある本だ。

    読み終わってみれば、そんなに複雑なストーリーではなかった。
    ただ、1972年の訳だと、文字が小さいし、表現が古くて、読みにくかっただけだったのかも。

    オーウェルが想像したのは悪夢のような近未来だけど、現実に起こった出来事は、それ以上にひどかった。
    スターリンや、文化大革命や、北朝鮮や、アメリカのイラク侵略戦争・・・。

    アメリカ合衆国を中心に構築された軍事目的の通信傍受システムのエシュロン、スノーデンが暴露したNSAの実態、グーグルやフェイスブックやアマゾン、安倍バカボンボンと公明党が強行した特定秘密保護法、Nシステム、コンビニや街角やマンションやあらゆる場所に設置された監視カメラ、国民総背番号制・・・・。

    1984年よりも現在の方が、ビッグ・ブラザーは遥かに巨大化している。
    生まれてから死ぬまで、24時間、いつでもどこでも

    ビッグブラザーは君を監視している。

  • とても興味深い設定で面白かったです。
    繊細に組み込まれた設定、かといって現実味がないわけじゃないのが怖いです。
    倫理観の問題では収まらない作品。
    友人にオススメされた理由がわかりました。

  • 監視され、自分を持つ事を許されない社会。未来の話のようで、現在の某国のようで、空想では片付けられない現実味がある。
    スパイ、裏切り、拷問、あそこまでされたら、まともな思考を持ち続けるのは無理だ。人の心まで支配してしまうなんて、恐ろしすぎる。
    絶対にこんな風になりたくないが、少し近づいている気がするのは、考え過ぎかな?

  • 我々は「知らない」という事実を隠されてしまうと自分が「知らない」ことを「知らない」状態に留められてしまう。
    権力に都合の良い言語が新たに作り出され、概念が大幅に制限される事で思考を構造的にコントロールされるという部分や、ゴールドスタインの著書(とされて主人公が手に入れる本)で描かれる社会の仕組みはゾッとするものを感じるとともに、我々と無関係とは思えない内容となっている。
    我々は飼い慣らされていないだろうか。

  • 現実の世界が1984に近づいている…ということを聞いて。ようやく読了。
    読み終わってみて、まさにそうだと思えた。
    近づいているというか、とうに片足突っ込んでいる。
    厳密には違うが、ほぼイコールの国もある。
    しかし、日本にはこういう世界が好きな人が多そうである。
    こういう世界になる行動をとっている人がほとんどだからだ。
    好きなわけあるか!というのならば、それは洗脳されているから早く自分で解いた方が良い。
    どうにも暗澹たる気持ちになる。

  • 実現してはいけないディストピアのはずなのに既にここに近づいている現在があるのがとても怖い。自分が主人公のウィンストンに近い存在として共感しつつ読んだ。
    よくぞこのタイミングで出してくれたと思う。文書改竄、言語破壊による思考破壊など現実と重なる部分など多数あり、政権をこれを目指しているのか?ということを感じてしまうほどリアルな話になってきている。訳者後書きにあるように「読んだふり本」かもしれないが、今こそ実際に読んで欲しい本。

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著者プロフィール

1903-50 インド・ベンガル生まれ。インド高等文官である父は、アヘンの栽培と販売に従事していた。1歳のときにイギリスに帰国。18歳で今度はビルマに渡る。37年、スペイン内戦に義勇兵として参加。その体験を基に『カタロニア讃歌』を記す。45年『動物農場』を発表。その後、全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の執筆に取り掛かる。50年、ロンドンにて死去。

「2018年 『アニマル・ファーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョージ・オーウェルの作品

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