日本復興計画 Japan;The Road to Recovery
- 文藝春秋 (2011年4月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163742205
作品紹介・あらすじ
今ほど日本人にとって、全体の冷静な事実認識と、そのうえにたった短期・長期双方の見通しが望まれているときはないだろう。2011年3月11日、日本を襲ったマグニチュード9.0の地震とそれに続いた大津波、それによる居住区の破壊、工場群の被災、インフラの破断、そして福島第一原発のチェルノブイリ原発事故に並ぶレベル7の災害。この本は、これらの危機・破壊がなぜ起こったかという事実認識と、そのうえにたった短期・長期の復興の道筋を考えてみようというものである。
感想・レビュー・書評
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ゲンパツ長屋の大家は小言・研一~悪魔のシナリオとなり,日本の原子力産業は壊滅した。私が柏崎の事故で提案したことを実施しなかったからだが,起こってしまったことは仕方ない。福島第一はテントで覆い完全停止まで5年以上掛け,5km圏内は緑地にして人は住まわせない。燃料を取り出して燃料サイクルに掛けるしかない。東京電力はとうさん,原子力発電は国営化。計画停電は愚かであった。津波に流された地域は緑地に,高台に新しい町をつくれ。道州制を導入して変人首長を競わせ,復興モデルを構築する。消費税を2%上げ,財源なき国債発行を行うな。国は何もしてくれないことを肝に銘じ,自分だけでもサバイブする覚悟を固めろ~平成維新の会を立ち上げた人らしい。民主党政権にもコネがあり,幾つかの提言が受け入れられた。読んでいると何だか不愉快な気分になる。この本を買うと印税が復興資金となるらしいが「私は図書館で借りたんだよね」とちょいとそっぽを向いて呟いてみたくなる。聞こえない小さな声だけどね。「お前達はほんと-にしょーがないねー,私の言うことをちゃんと聞いてやらなかっただろ・・・まあ,しかたない・・・こんどはちゃんとやるんだよ・・・はじめにね・・・」ハイハイ,仕事に出かけれなければならないので・・・続きは又こんどお聞きします。「お前はほんとにしようがないね・・・ちゃんと私の言いつけを守るんだよ・・・泣くことになるよ!」。橋下知事が大阪都構想を喋っているのは,この人に踊らされているのかぁ。ゲンパツ長屋のご隠居は自分でも踊りの真ん中で音頭取りをしたいらしいが,今のところは皆に推されていない
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大前研一による、東日本大震災後の日本の進むべき道の提案。殊に東京電力福島第一原子力発電所の事故については原発の技術者であった筆者ならではの鋭い推理がなされていて、震災後の様々な意見が飛び交う中で、群を抜いた説得力を持っていたと思う。日本の未来は輝かしいものではない。しかし、最善を尽くすことが大切だ。理想論に走らない、現実を見据えた論説が強い説得力を持っている。
ちなみに筆者は印税を放棄。売り上げの12%を東北復興に寄付するとのこと。 -
震災で親族を亡くしたわけでもないため、震災にあわれた方に比べれば私の境遇など全然比にならないのは理解しているものの、震災当時原発から100キロ地点に勤務していたため、震災本からは敢えて距離を置いていました。
震災から2年が経とうとしている今、偶然同僚が持っていたため本作を拝借しました。
震災から1ヶ月足らずで発売されている本作。当時はみんながみんな情報に対して疑心暗鬼になっていて、何が正しいか判断できずにいた。私も本作を当時読んでいたら何処まで冷静に読めたかわからない。
ただ、今読むからこそ筆者の博識具合、そして本を発売(敢えてお金をいただく)して伝えるというメッセージ性の強さが強く訴えてくる。
内容はというと、当時の東電、政府の判断の甘さ、そして内部事情、混乱を極めた現場を自身の経験から的確に捉えていて、それでいてどのような対策を講じ復興につなげるべきかの持論をしっかりと展開している。
どれも正論と思えるべき内容であり、筆者が唱えている復興策が一つでも多く実現することを深く願っている。
震災後私自身が感じた目に見えないものに怯えながら過ごした怒り、困惑、ストレス等を思い出しながら、またやはり定期的にこの災害と向き合う機会を作らなければいけないと強く思いました・
こういった作品は人に勧めるつもりはありませんが、考えさせられ、非常に勉強になる一作。 -
原発推進派の大前氏が「原子力の時代は終わった」と断言。それを踏まえてのエネルギー政策から、個人レベルの日本復興計画まで。一読に値する。安全性云々の前に、核廃棄物処理問題が解決できていないのに強引に原発を推進してきた国の責任は重大。
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”大前研一さんがビジネス・ブレークスルーで話した内容に、その後の解説を追記して緊急出版した一冊。それにしても、震災直後の3月13日、19日に、原発についてこれだけの解説を公開していたなんて、すごい!個人の生き方を考えよ、との主張に納得。
<読書メモ>
・私は、まずは個人が、成長神話を捨て、政府に頼らず、横と同調せずに、自衛自立することが大切だと考えている。つまり、私たち自身を救うことが、結果的に国を救うことになる。(p.10)
・これは後知恵になるけれど、たぶん原子炉は地震で緊急停止しない方がよかったのだ。少なくとも、地震発生時に運転していた1?3号機の三台全部が緊急停止せず、一台でも動いていれば、そこで発電をし、他の四つの炉につないで、冷却システムを動かすことができたかもしれない。(p.18)
#そういえば、発電所だったんだよなぁ…
・チームをつくって、この現状を見ながら共に議論し、解決策をまとめて発表していくためだ。世界に対しては「1つの声」で状況や対策を説明しないと、混乱が広がるだけだ。もしそういうチームが結成できれば、原子力を理解できて海外にも知りあいの専門家も多い私が、まとめ役を買って出てもいいとさえ言っている。(p.44)
★「飲んで食べて大いに使って7%、そうして東北地方を復興しましょう」(p.70)
・計画停電の愚・その2(p.96)
部下が持ってきたプランが「お客様に甚大なご迷惑がかかりますが……」というものなら、「死力を尽くして迷惑のかからない代案を3つ持ってこい!」と突き返すものだ。
・持ち家熱、クルマ熱、教育熱という三大熱病で、一人一生一億円以上が無駄になる計算だ。(p.120)
・もちろん、自分に投資することも必要だ。会社に運命を委ねたままだと稼ぐ力がついてこない。そうするうち、そろそろ君も出番だねと肩を叩かれる。(中略)
そして、奥さんに投資しているのかどうか。共稼ぎもいいが、近所のスーパーのパートでは大した収入にならない。奥さんにも投資をして資格を取らせ、確実な収入の見込める定職を見つける。意外にこれは低い投資額で出来る。
(pp.123-124)
・個々人のメンタリティを変革するしかないと思う。あなた自身を復興する。あなた自身があなた自身を救ってサバイブする。この世の中、どんな乱世になっても生き残ってみせる、というメンタリティ、極端に言えば、世界のどこに出かけて行っても稼ぐぞ、というメンタリティが持てるかどうか、そこがポイントなのだ。(p.126)” -
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津田沼 ブックオフ -
仰るとおりなのだが目新しいことは特になし。あと、おれは消費税は上げないほうがいいと思うな。
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本書の第一章、第二章は、震災後わずか2日後、8日後に公開された大前研一氏のYouTubeの2本の動画の書き下ろしである。
・http://www.youtube.com/watch?v=U8VHmiM8-AQ東日本巨大地震 福島原発半径20km以内の住民に避難指示(3月13日収録)
・http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後(大前研一ライブ579)
大前研一氏は、元は原子力の専門家であった。今から振り返ってみても、大前研一氏の指摘は、群を抜いている。彼が政府中枢で指揮を執っていないことが、残念でならない。
そして第三章は、大前研一氏の兼ねてよりの持論である道州制の導入と日本人のメンタリティの変革(マイホーム・マイカーを持たない、教育に熱を入れすぎない)が展開される。本書では、道州制の推進役として、氏の言う変人首長、橋下徹大阪府知事、河村たかし名古屋視聴、泉田裕彦新潟県知事を挙げている。
5月14日読了。
目次
第一章 これで原子力の時代は終わった。
第二章 三分の二に縮小する生活
第三章 日本復興計画 -
東日本大震災直後にYouTubeを通して広まり、話題をまいた「大前研一ライブ」の内容をベースにした本。
MITの原子力工学科で博士号を取り、日立で原子炉プラントの設計に携わったという経歴の持ち主だけに、原発事故についての解説は鋭い。3月13日(つまり福島第一原発の水素爆発の翌日)の段階で現状をほぼ正確に見通していたことに驚かされる。
私も「大前研一ライブ」をYouTubeで観たクチだが、それでも、本として新たに読み直すだけの価値があった。
ただ、本書の大半は原発事故の解説と原子力政策の展望に割かれているので、『日本復興計画』というタイトルはいささか羊頭狗肉と感じた。正味120ページほどの薄い本だから、復興を論じた部分も駆け足で食い足りないし……。
あと、大震災の3ヶ月前に出た前著『お金の流れが変わった!』で、大前は“日本の優れた原発技術を海外に輸出して大きな利益を上げよ”とか、「首都圏近郊に原発を作れ」などと提言しているのだが、そのことについてのエクスキューズが本書に絶無なのはいかがなものか。
本書の印税は放棄して復興に役立てるそうだから、そのこと自体がエクスキューズの意味をもっているのかもしれないが。
……とまあ、そのように小瑕のある本ではあるが、傾聴に値する卓見も多い。
たとえば、「誰も気づいていないことだが、実は世界の中で日本だけが二十年間貧乏になり続けている」との指摘(110ページ)には唸った。