死命

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163813202

感想・レビュー・書評

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  • またもやぐいぐい読まされた。
    犯人側の設定が面白かった。
    澄乃との関係が何らかのキーだとは分かるけど、まさかそんな過去があるとはね!
    だからって、殺人鬼になってしまうのはダメだけどね!
    刑事側もなんともなー
    刑事の家族は大変だ。
    まさに二人の死、命の物語。

  • 末期癌を患った殺人鬼と刑事。人を殺すことに快楽を感じ、それを我慢できなくなった男が次々と女性たちの首をしめて殺人を犯していく。また、殺人鬼を追っている孤高の刑事も末期癌を患っていて・・・。
    薬丸岳にしたら文章に精彩がないような。文章というよりも内容か。読んでいる時はそれなりにたのしめたが、あえて読まなくても良いかという作品でした。

  • 余命を宣告されて殺人を犯す目線からと、その殺人犯を追う余命を宣告された目線で物語は進んでいきます。

    普通は、なるべく長く生きたいと、自分を大事にして生きるのですが、この刑事さんは、自分を犠牲にしながらも犯人を追います。

    それにも実は理由があり……。

    殺人犯側も、そうなるには色々と理由があるのですが、余命を宣告されたから殺人をしてもいいということは許されることではなく、そこら辺もちゃんとしてくれました。

  • 離婚した山口澄乃は大学時代の仲間の集まりでもと恋人の榊信一と再会。
    二人は小学生時代を新潟で過ごした幼馴染でもあった。
    33歳でデイトレーダとして財を成した信一は、胃がんで余命も少ない中、幼い頃のトラウマで女性を絞殺する衝動に駆られ、連続殺人事件を起こす。
    それを追うのがやはりガンで余命わずかな刑事蒼井だった。
    連続殺人犯が真一であることを澄乃はつかむが不幸にも交通事故で死ぬ。死ぬ直前に電話を受けた蒼井が信一の存在に気づき、追い詰める。
    最後は信一はつかまるが、両者共に病気により死を迎える。
    今までの薬丸岳小説に比べると今イチに感じた。

  • 文体がとても好きな感じで読みやすかった。

    殺人の手口がどれも「見知らぬ女の体を買い、行為中に殺害」なことと、「異性と行為中に相手を殺したくなるようになった直接の原因」がどうにも気持ち悪くて榊(とその両親)には嫌悪感しか抱けなかったです。
    幼少期の榊の境遇には同情しますが、普通そんなことがあったら異性との行為自体嫌になるんじゃないのかな……と思ってしまうのは私が女だからでしょうか。
    異性との行為に抵抗ないのは記憶をなくしてるせいかなと思ったけど、最後に本命の母親を殺そうとした時のセリフから見ても普通に母親のことも犯そうとしてるっぽいしなぁ。

    澄乃が亡くなる前に蒼井に託した言葉についても釈然としない気分です。
    むしろ蒼井が言った「嘘」の方が榊に対して澄乃が言いそうな言葉だと思ったんですが、実際に彼女が「最後に信一に何かを残したい。伝えなければならないことを」と必死に吐き出した言葉はまるで榊を突き放す言葉のようで意外でした。
    榊が殺人犯と知って、榊に対して完全に愛想が尽きちゃったからあんなこと言ったんでしょうか。
    もちろん殺人はいけないことだし失望するのも無理はないかとは思うけど、少し前まで愛していてお腹に子供までいるのに「あなたに会わなければ良かったと伝えて」が最後の伝言っていうのもなんだかやるせないというか……。

    蒼井、矢部、岩澤の刑事3人の関係が少しずつ良くなっていくのが良かった。
    決して馴れ合うわけではないけど、プライドの高い男性同士が徐々に信頼関係を取り戻して歩み寄っていく様は本当にかっこよかったです。


    このもやもやした気持ちの正体が上手く吐き出せないのがもどかしい。
    最後に蒼井がついた小さな嘘はたしかに少しは榊の心を蝕んだようですが、たったそれだけの事があれだけの人間を殺害した彼への罰なのか、と思ってしまう…… うーん。
    ならどうなって欲しかったのかと聞かれると答えられないのですが。

    でも、面白かったです。
    また薬丸岳さんの本を読んでみたい。

  • 重いです。凄く重い作品です。。。何人もの登場人物の視点で物語が進んでいくのですが、そのうちの二人の命は残されたところあと僅か。一人は猟奇的殺人犯、もう一人はその殺人犯を追う刑事。我孫子武丸さんの”殺戮にいたる病”と東野圭吾さんの”白夜行”両方のエッセンスを少しだけ持っているような感じがします。是非一読を!

  • 気がついたら自分の胃を擦りながら読んでました(笑) 犯人と刑事が徐々に弱っていく姿は丁寧に描いてたけど、警察が犯人に徐々にたどり着くドキドキ感が足らなかった。蒼井と榊が、初対面するシーンはもう少し緊迫感が欲しかった。あのヘタレ新米刑事が成長する姿やライバル刑事との友情?を丁寧に描いてくれたら、さらに面白かった気もするけど、薬丸さんにそれを求めたらダメなのかも(笑)そして、相変わらず薬丸さんの描く女性は、女性から見たらつまんねー女です。似た作家だと、誉田哲也さんは上手かったかなぁ?最近のは読んでないけど…と、たんまり文句を言っても、なぜか最後まで読めちゃうのが薬丸作品の不思議なところ(笑) とりあえず次は、逃走を読む予定!

  • 読みやすく、一気に読んでしまった。
    死期の迫った刑事と連続殺人犯。
    末期でそこまで動けるかなと疑問は残ったけれど、引き込まれる話だった。

  • 使命と死命。自身の余命を知ったことで人を殺したい願望で罪を重ねる榊と命が尽きるまで犯人を追う蒼井。死を目の前にした2人の結末は異なるものの、最期に自分の人生と向き合ったという観点では、重なるところがある気がした。単に連続殺人を捜査するというだけの話ではなく、余命わずかの中、娘と息子を持つ蒼井はどう生きるか、殺人を犯しながらも自分を大切に思ってくれる女性のいる榊はどう生きるかを考えさせられる。

  • 捕まえられる者と捕まえる者が両方とも末期ガンに冒され、余命幾ばくもない。それぞれの視点で、最期の時間を自分の使命に使い果たそうとする。

    読後感は決して良くはないけれど、最後まで先のページを読み進めずにはいられなかった。偶然すぎる設定に途中気後れしないでもなかったが、刑事の蒼井の凄まじい執念が結果的に呼び寄せたのだろうと思っておく。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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