テロルの決算 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167209049

感想・レビュー・書評

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  • 再読了。

  • 【108】
    2013.5.5読了

  • 表現が感情過多の部分も感じられたが、時代の気分が十分に伝わった。今の時代ならば、誰を描くのだろう。

  • 旧社会党委員長、浅沼稲次郎刺殺事件に迫った力作。

    愚直な政治家・浅沼稲次郎と純真であるがゆえに荒々しく暴力的な17歳のテロリスト・山口二矢。
    決して出会うことのない二人が偶然の積み重ねによって激しく交錯する。その二人の交点を細部にわたる事実によって構築したこの本は、ノンフィクションというより完成された一級の文学作品のように思えてしまった。

  • 300ページほどあったと思います。沢木さんの本では比較的有名だと思いますがテーマにあまり興味をひかれず積んどく中であります。ネットウヨがんばれ!って感じですね

  • 20080205登録

  • 沢木耕太郎の長編小説。社会党委員長・浅沼稲次郎とそれを襲った右翼少年・山口二矢の人生を細やかに描写することで、あの「テロル」のリアリティと人間ドラマを浮き彫りにしていた。

    単なるテロの事件と構図に終わらせることなく、その人間模様を事実に基づいて、浮かび上がらせていたのが印象的だった。

    人は極端なものに走る存在だと思う。だから、あの「テロル」も狂気に陥った少年・山口二矢の行きすぎた行為として、単純な理解に留まらせてしまうのでは、そこからは多くのことが抜け落ちる。

    そして、それは浅沼にも言える。戦前・戦中と時代に翻弄され、堪えて生きて来た浅沼の持つとてつもないエピソードの数々が、社会党の委員長という肩書だけでは語りきれない存在であることを物語っていた。

    あの「テロル」は何だったのか・・・。安保後の政治の激動の時代にただただ、敬服していしまう。そして、今の私達の時代は一体どのような時代なのか思いをめぐらさずにはいられない。

  • 第10回大宅壮一ノンフィクション賞。
    昭和35年の、社会党書記長・浅沼が、右翼少年・山口二矢(おとや)に刺殺される事件を追ったノンフィクション。
    二矢が育ってきた環境を、本人や家族、知人などに取材してまとめ、クライマックスの事件当日になだれこむ。事件当日も日比谷公会堂の関係者、警察、司会者、新聞記者、カメラマンなどたくさんの視点からこの事件を考察していて、ノンフィクション小説とはこうでなくっちゃと思わせる筆力だ。
    また、なぜ殺されたのが浅沼じゃなければならなかったか、いくつかの偶然が重なっていたことがこの小説で明らかになっている。物事に「たら」「れば」は禁物だが、この事件の因縁が感じられて面白い。

  • 当時の社会党委員長を刺殺した、17歳のテロリスト山口ニ矢についてのルポ。
    いつの世も、正義が不幸を呼ぶという・・・なんでこう、話し合いで解決がけんのかと、人間社会の限界を思う。

  • 浅沼稲次郎暗殺事件を、被害者、加害者の両面から描いたノンフィクション。17歳の少年がテロリストになろうと決意した時、彼の心には左翼への怒りと同じ分だけの、右翼への絶望があった。その少年の決意は、様々な偶然の連鎖によって成就することとなる。若き沢木耕太郎の傑作。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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