紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす

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  • 朝日出版社
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感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784255008349

感想・レビュー・書評

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  • 決まり文句のような言葉で、片付ける風潮。
    たしかにそれで誘導されて考えなかったりするし、それですますの?ってことも感じる。
    でも、それっていつのよもかとも、、、

    言葉のことを、考えさせられる本。
    面白かった。



    【目次】
    はじめに
    「乙武君」………障害は最適化して伝えられる
    「育ててくれてありがとう」………親は子を育てないこともある
    「ニッポンには夢の力が必要だ」………カタカナは何をほぐすのか
    「禿同。良記事。」………検索予測なんて超えられる
    「若い人は、本当の貧しさを知らない」………老害論客を丁寧に捌く方法
    「全米が泣いた」………〈絶賛〉の言語学
    「あなたにとって、演じるとは?」………「情熱大陸」化する日本
    「顔に出していいよ」………セックスの「ニュートラル」
    「国益を損なうことになる」………オールでワンを高めるパラドックス
    「なるほど。わかりやすいです。」………認め合う「ほぼ日」的言葉遣い
    「会うといい人だよ」………未知と既知のジレンマ
    「カントによれば」………引用の印鑑的信頼
    「うちの会社としては」………なぜ一度社に持ち帰るのか
    「ずっと好きだったんだぜ」………語尾はコスプレである
    「“泣ける"と話題のバラード」………プレスリリース化する社会
    「誤解を恐れずに言えば」………東大話法と成城大話法
    「逆にこちらが励まされました」………批評を遠ざける「仲良しこよし」
    「そうは言っても男は」………国全体がブラック企業化する
    「もうユニクロで構わない」………ファッションを彩らない言葉
    「誰がハッピーになるのですか?」………大雑把なつながり
    おわりに

  • 20150927 荻上チキのラジオで紹介されて、面白いなっ!思ったのをきっかけに読んでみた。
    意思の疎通に言葉は便利だけど、ちょっと違うニュアンスでも同じ言葉が使われてたりしてほんとにその言葉でいいの?って考えさせられる。
    文章が面白いんだけど、なーんか頭に入ってこない。筆者に申し訳ないと思いながら、いろいろ飛ばして読了。

  • 借りたもの。
    キャッチコピーがその時世の縮図なら、人の心に刺さるこれら定型文にある悪意を紐解く様な本だった。

    広告業に関わっていると耳が痛い……
    当たり障りのない、外さない、分かりやすい文言達を選ぶのは、万人受け(伝わりやすい)しやすいとい事。及び腰になっている証拠だと思っていた。
    その地点ですでに、責任とかを放棄している――そんな事を考えてしまう。

    比較的最近の、話題になった本からの引用が散見され(私も読んだことがあるものも多かったので余計に)、社会の様々な価値観に共鳴する。

  • 紋切り型の言葉によって、表現する側から押し付けられる価値観に対しての批評集。
    乙武くんはなぜ「くん」なのか、「ニッポン」の持つ効用について、24時間テレビの欺瞞性について、女性参加を標榜する男社会の立ち居振る舞いなど、その批評眼はとではも鋭い。
    小田嶋隆ライクな皮肉の聞いた文章も読んでいて小気味よかった。

  • 現代によくある「紋切型」の言葉から社会の絡み方を紐解いていく1冊。最近よくあるわかりやすさが先行するものとは違った痛快さが気持ちいい。

    アイドルオタクとしては、「逆にこちらに励まされました」の章は耳が痛かった。握手会襲撃事件後の宇野常寛の発言と姿勢への批判はファンだからこそ知っておきたい視点である。

  • 粗削りな文章だが、話の切り口は興味深くおもしろく読めた。
    題材によって賛否両論あるだろうけれど、文章を書くということにおいては作者の心意気がよく伝わってくる。
    続編や2冊目が出たら是非また読んでみたい。

  • 同著者のcakesで連載している和田あき考の方が、おもしろかったなー。

    一応文章を書く人間として、紋切り型について物申したい気持ちはとても同意!
    メールの定型文は、わたしにとってとても、気持ち悪いもの。

  • 世間でよく使われる言葉やフレーズに疑問を抱き、その言葉の使われ方のどこが問題ないのかに触れてる本。ネットでよく名前を見かけてたが初の著作らしい。まぁ人と違う目線を持つってのは大事だと思うのだけれど、如何せんこの人の文章の書き方は性に合わないなといつも思うのでした。
    他にもいいたいことあったが面倒なので割愛w

  • 実に刺激的です
    なんとなく「胡散臭いな」と思っていた
    事象、本、人物、報道、カタカナ言葉
    を さて どうでしょう
    と 「解きほぐし」ていく
    その 解きほぐし方が
    なんとも 心地よい

    ロック・コンサートでのしったかぶり通が発する鼻につく言葉と
    大層なお説教臭さふんぷんたる老害論客との相似性の指摘

    大上段に振りかざす政府筋とやらの政策と
    TVから流れてくるCM言葉との相似性

    どれもこれも
    実に思索をたっぷり含んだ評論で
    面白きこと 面白きこと

    最後まで わくわく と
    読ませてもらいました

  • 自分がずっと考えていたことを簡潔に言い当てている文章をウェブ上で見つけ、「禿同。」と思って即日購入した。筆者自身に痛烈な皮肉や(この人ひねくれていると括るのは思考停止)豊富な引用を交えながら「読ませる」文章を書く力が非常にある上に、感覚が自分ととても近いために、首をブンブン振りながら気持ち良く読める。でもその気持ち良さには自分の感情をなぞってくれる嫌韓嫌中本を好んで読む構造と似たものがあると思うので、注意しながら読んだ。感覚の部分が「そうそう、その通り」とすぐに同意してしまうのに抵抗し続ける必要がある。

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著者プロフィール

1982年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年よりライターに。近年ではラジオパーソナリティーも務める。
『紋切型社会――言葉で固まる現代社会を解きほぐす』(朝日出版社)で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞などを受賞。他の著書に『日本の気配』(晶文社、のちにちくま文庫)、『マチズモを削り取れ』(集英社)などがある。

「2022年 『べつに怒ってない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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