蹴りたい背中

著者 :
  • 河出書房新社
3.07
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309015705

感想・レビュー・書評

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  • 2011/05/17読了

    ハツの気持ち、もとい、立ち位置は少し理解できるんだ。
    そんな時期は私にもあったからね。
    けれども差し伸べられた救いの手を、私は払いのけることはしなかった。
    受け入れる「必要」があるはずだから。
    それを蹴ってまで一人になるハツの気持ちは、分かる部分と分からない部分がある。
    どこか救って欲しい気持ちと、「バカじゃないの」って見下すような、そんな傲慢な気持ちも。
    にな川はぶっちゃけキモいけど。まあ、オリチャンをはずしたら愛嬌のある奴なんじゃないかしら
    ハツがにな川に抱いた感情は、「恋」とか「同情」とかいう生易しいものじゃない。鬱陶しい。背中を蹴飛ばして、傷つけてやりたい。オチチャンに拒絶される姿を、可哀想とか思いながらもどこかで悦んでいる、そんなサディスティックな強烈な感情だ。
    まあ、恋であるように錯覚することもあったかもしれないが。


    17(19だっけ?)でこれだけの揺れる心の動きを描いたのはすごいと思う。描く、というより、誰もが感じたことのある(まあ一種の人種には感じられまいが)やるせない感情を、「適確に描くことが出来た」というのが賞賛されているのかもしれんね。物語だけ見れば、その感情表現意外が、どう評価されたのかがいまいち分からない。
    みずみずしさだけ?それはもったいないと思うよ。

  • 自分的には難しかった作品だったと思う

  • 当時新人で芥川賞を受賞されていて、学校の本棚で発見したので読みました。中学生でしたので共感できる部分も会ったのですが、まだ小説に慣れてなかったので少々難しかったように思います。
    高校生になってあらためて読んでみたら綿矢さんの独特な表現を感じられました。蜷川のミステリアスな感じがすごく伝わってきましたw主人公ハツはどこか自分に似ているような、、
    ちなみに返すの忘れててまだ持ってますw

  • 毎日がつまんない女の子のお話。
    文章の上手さが尋常じゃない。

  • だいぶ前に読み、内容もあまり覚えていない。ただ、表現が独特で非常に印象に残っている作品。独特の感性に魅力を感じる。

  • ちょっと自分にはむいてなかった。読みどころがわからなかった。

  • 紙をびりびり破るときの文章がすき。
    完璧だと思う。

  • 評判通り、最初の文章が最高に素晴らしい。さすが最年少芥川賞作品。噂にたがわぬ面白さ。類稀な文章表現力と、現代風の言い回しがマッチした歯切れよく読める作品。主人公の大衆に迎合したくない気持ちと、かつての親友が大衆に入り込むことで美しくなっていることを羨む気持ちとが入り混じり、とてもリアルに表現されている。背中を蹴りたくなるような男の子に、侮蔑しつつ、と同時に、共感しつつ、のちに大人になった主人公は、「あれは恋だったのかな・・・」と振り返りそうな、そんな淡い展開。現代っ子の心のうちを代読するかのような、強い口調の表現と、本人も理解できないような現代っ子の気難しさを見事に表現した名作。一読の価値あり。

  • 強がる気持ち、臆病さ、孤独、自意識の過剰、グループ志向、など青年期特有のものが作品のあらゆるところに現れていて、読んでいて懐かしいような、不快なような、恥ずかしいような複雑な気持ちになった。
    オリちゃんのオタクであるにな川に対して攻撃したくてたまらなくなるハツの気持ちは、嫉妬や独占欲に近いものなのだろうと思った。

  • 非常に面白かった。ヘタな作家が書くと傷みが傷みじゃなくなるくらいネガティブな感情にメリとハリをつけるあまり歯止めがきかなくなってしまうような内容だけど、著者はうまく制御し、彼ら世代の感情をダメなほうに通り越したり(無視したり)することなく、取りこぼしもなく、そこにあるものだけを丁寧に書いているように思った。

  • 誰の背中を蹴りたいんだろう?と気になって読みました。学生時代の感覚や感性、そして蹴りたい気持ち。なんか分かるような分からないような、自分の過去と重ね合わせてちょっと甘酸っぱく感じる作品でした。

  • いや意外にもおもしろかった…
    おもしろかったと思える自分は、主人公の考え方がスンゲー理解出来るから、と同時にその哀れさもよく解るから だと思う。
    この人間性に切り込んでくるとは凄いな って思った。
    ただ共感できん人にとっては、ただの痛い子にしか見えないと思う。成長らしい成長もしないしなー

    同級生のお姉さんが綿矢りさ。当時は、なんかしらんけど賞獲ってスゲーぐらいしか思ってなかったし、たぶんその時読んでも理解できなかったんじゃないかなぁ。

    ここまでこと細かく、はみ出し者の心境を描くなんて、その観察眼と言葉にする力は凄い…やっぱり筆者は主人公にその姿を投影したのだろうか。と思うと結構親近感が湧く。でも友達にはなれないと思う。

  • 最年少で芥川賞を受賞したこの作品、読了。読んでいるうちに物語にどんどん引き込まれていき、20歳の時にこの世界観が表現出来ていたというのは凄いと思った!ページ数もあまり多くなくサクッと読めるので今月のオススメ^^

  • 2004.3.17

  • 話題となった、この一冊!ノリと流行りと勢いで買ってしまったものの...完全に積ん読状態に。
    いつか、読みます!

  • 読んでる間、自分が主人公になったみたいだった。途中で顔を上げるとこの本の世界にいるような気がしてこわくなったり

  • あんまり好きではない本

  • なんで芥川賞取れたのかなって思うくらい面白くない。

  • あまり肌に合わなかった...

    読んでいる時も読んだ後も何だこれっという感じ.
    期待して読んだ分,少し不満かなと...

    表現でいいなあと思えるのもだけど,狙いすぎで何それっていうのもあった...

    最年少芥川賞受賞作なんていったら読んでみたくなるのは確か

    読んでも読まなくてもいい一冊.

  • もやもやした気持ち悪さの表現はとても上手い。けど、ただ、それだけ。主人公の心情的に何らかの変化が起こることもなく読み終えた感想は一言。だから、何?

  • 表現がいい。
    思春期特有のあの主人公の自己中心的さがわかる。
    何度か読み返したい作品。
    思ったより中身は地味でした。

  • 出だしの理科室でノートを千切るとこから、共感できる主人公の心境がたくさんあってとても好きな本。

    国語が嫌いで、本なんて絶対読まないだろうなって思っていた自分に、本の楽しさを定着させた一冊。

  • 観察力と描写力はんぱない。この文章力越えられる10代はそうそう出てこないだろう。

    手帳開いてる女子とか、もののけ姫の例えとか、紙破く音とか、ハッとする内面描写があって、やっぱうまいなぁと思う。しかもテーマが女子のドロドロだけに収まってないとこがカッコイイ。

    最初「蹴りたい」ってのは、幼稚園児が好きな子いじめちゃうーって類かとアタリを付けていたら、ちょっとズレてた。

    人に何もしてあげられないのに世の中を分かった気になっている主人公がちょっとイラつくけど、新進気鋭すぎて忘れがたい小説。

  • 最初は、読みづらい文章で、慣れるまで苦労した。
    芥川賞って、この程度のものなんだっけかな、綿矢りさちゃんはこの次の『夢を与える』はうまかったし、強い印象が残ってるから、作品の良し悪しうんぬんより作家の可能性に与える賞なのかな、などと、ぶつぶつ考えながら読んでいた。
    だが、そのうちに思い出してきた。主人公のハツの、ハリネズミのような、触れなば自分も相手も傷つけてしまいそうな、自意識過剰のばかやろうぶりは、高校生のときの私自身であると。確かにこんなふうだった。大人になれば笑い話ですんでしまう、思春期特有の複雑さ。
    綿矢りさ氏は、そのいっときの少女のありさまをすっぽりと切り取っている。それも彼女独自の表現で。そこが新しくもあり、また古典的でもある。
    多くの読者の共感を呼ぶ、そこがこの作品の強みであろう。

  • 4に近い星3つ。
    受賞直後に読んだ。「太宰治が好きな同性同年代の作家が書いた小説」という感じが凄くする。綿谷さんとは似たような本を読んで育った気がする。

  • 終わりが微妙だった。
    でも言葉とか表現は分かりやすかった。
    感情が沢山出てくる。

  • 冒頭の一節がすき
    『寂しさは鳴る。』

  • エロい。官能的ではなくて!いいや、少し官能的だけど。ぞっとしてしまう、いろんな意味で。こころの奥底でうずく人に触れたいという感情とそれと相反する人と狎れあうことへの拒絶が、なんとも痛々しい。そして心にしみわたるほど理解できる。かつて、そうだった時期があるのではないだろうか、みな。その温度がここまで低いものであることは稀かもしれないが、少なくともあたしは、かつて抱いたどうしようもなく重苦い複雑な心持を思い出した。身体の中から、えぐられてしまいそうだ。あの、きもちわるさを。

  • 1時間半くらいで読み終わった。

  • これ読んで、自分が青春モノの話が好きなんだなーと感じさせられた一冊。
    自身が女の子目線が無い為、大変きょうみぶかい一冊。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

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