掏摸（スリ）

著者 : 中村文則

• 河出書房新社 (2009年10月10日発売)

感想・レビュー・書評

[kata86tさんの感想 · 2019年5月13日]

掏摸を家業にする僕。過去には裏社会の木崎に使われ仲間も殺されたが逃げられない。今回も３つの掏摸を依頼され何とかこなすが、最後にはビルの合間の路地で木崎に撃たれる。「成功しても失敗してもお前をここで殺すと決めていた」と木崎に人生を弄ばれる。最後は通行人に気付いてもらうため、ポケットの５００円硬貨を投げる。
それほど引き込まれはしない内容だった。

[穂苅太郎さんの感想 · 2019年1月8日]

ラストコマンドのトリックは面白い。題名から想像していたものとは違いとても陰鬱な話。「木島」は今作だけでは収拾ついていないキャラだと読了したが、案の定続編あったののだな。「王国」に進む。

[sarubobo-papaさんの感想 · 2018年11月13日]

小さい頃から盗みに手を染めていた掏摸師のお話。

貧しい境遇からなるべくして掏摸になった僕が、過去に加担した犯罪を仕切った黒幕・木崎に再び操られる。

他人の人生を操る快感を味わう狂気の木崎に思うまま操られ、墜ちていく僕。その僕を慕う母親に万引きを強要された少年、ドラッグセックスに溺れる母親。。。

出てくる人物は皆、現在の意識とは超越し、荒んだ心の持ち主ばかりです。

読後感はなんか悶々としてしまいます。

[ペコリエンヌさんの感想 · 2018年5月31日]

淡々とした語り口のダークな世界観に浸りました。

ちょっと意味が分からない言い回しもあったけど…相性はイマイチかなぁ。

[setusbさんの感想 · 2018年4月26日]

どうしようもない悪というものが終始表現されていた作品。嫌なものがねっとりと張り付いてしまい、払拭しようと思ってもなかなか払拭しきれない感じが残るが、どっぷりとした悪でなく、哀愁、悲しみや楽や優しさといった様々な感情が入り混じる印象だった。その中にも、スリを生業とする人物がある人物と出会い、徐々に改心していく姿は光明を指すものだった。暗いトンネルの中に潜り込んで出てこれない暗澹とした気持ちになってしまう中、そういうのがいつまでも続くというのではなく、様々な感情や出会いで改心からも光を指すような感じである。

[takecchiさんの感想 · 2017年10月29日]

数時間で読了。
ドラマを観ているような感覚で一気に読み進めることができた１冊。

[akatenkobanさんの感想 · 2017年10月20日]

「絶対悪と天才掏摸の対決！」という帯の文句で借りてみました。内容は正にその通り。悪の組織のボスと一匹狼の掏摸が対立する構成、臨場感溢れる掏摸の瞬間の描写に加え、不幸で健気な少年との交流もあり、面白かったです。☆３つなのはもっとこの話を読みたい！っというところで完了してしまったから。

[mow168さんの感想 · 2017年5月1日]

一気に読んだ。
掏摸の心理は知らなかったけど、こういう感じなのかと興味をもって読んだ。手口とか、防犯に役立つかも。
ここに至るまでの主人公の生い立ちが気になる。
塔の話が出てくるのだが、そのエピソードに空間を感じ、小説家の表現って凄いなと思っていたら、著者の実話らしい。
何の象徴なのだろうか？

[zukoさんの感想 · 2017年3月12日]

面白かった。暗いハードボイルドだけど、主人公には好感がもてる。一気読み。

[booklog1013さんの感想 · 2016年12月12日]

H28/12/12

著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団Ｘ』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」