アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社
3.19
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感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024608

感想・レビュー・書評

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  • 国に管理されて、カップルになり子供を産み育て…となる世の中の話。
    合理的で、至れり尽くせりではあるが、飼われている、という感じが拭えない。
    やはり、最後には落とし穴があった。

  • 若者たちが恋愛をしなくなり、子を産むことをしなくなった。
    人々は一人で生きていくものばかり、そして若者の自殺率が急増している。
    この、近未来の日本の姿は、もしかしたら現実のものになるかもしれない。

    ある女性が「アカガミ」に参加する。
    それは番いを作り、子を産み、育てるという政府の少子化対策。
    まるで天国のように至れり尽くせりの「アカガミ」プロジェクト。
    それなのにこれに参加する人はさほど多くはない。
    なぜならこれは選ばれた人だけが参加できるから。
    とても名誉なことなのだ!
    でも、一方で「アカガミ」に反対する意見も少数ながらある。
    その声ははっきりとは聞こえないが、どんな政策だって反対の声は必ず上がる。
    それは致し方ない.......。

    ここで書かれた番い、サツキとミツキはアダムとイブか。
    アダムとイブは蛇にそそのかされ、知恵の実を食べたことで楽園を追われた。
    ここで疑問なのは、なぜ神は知恵の付いた二人を追い出したのだろう?
    なぜそれが罪になるのだろう?
    神の言い付けに背いたから?
    けれども神の言い付け通り、神の思うようにだけ生きているとすれば、それは人形に過ぎないではないか。
    それなら初めから意思あるものを作らなければいいだけの話ではないか。
    私たちが「原罪」を背負っているとするならば、それは自由への逃走。
    苦しいことも、悲しいことも、この先には幾度も体験するだろうが、私たちは人形の家から解き放たれたのだ。

    本書ではログの言葉が誰に遮られたのか定かではない。
    ログ自身のこの後の説明は描かれていない。
    もう少し丁寧な描写が欲しかったが、彼女はあくまで「蛇」の存在にすぎないのだろう。

    私たちは誰のために子供を産むのか。
    国のため?自分のため?
    いや、この二つの理由も後付けとしてみれば確かに該当することもある。
    しかし、そのどちらも根本的な答えにはなっていない。
    それは罪を背負った私たちに対する神からの唯一の贈り物、希望なのかもしれない。
    それを忘れて後付けの理由のみを大義と思うのなら、この描かれた世界は、いずれ現実と重なり、終焉を迎えるのだろう。

  • 設定は悪くないと思うが…ラストが尻切れトンボな感じ。

  • 20160807

  • 2016.8.3
    子供を産むのに国のプロジェクトのようなものに参加する若者たち
    こんな世界が近々来ることになったら本当に怖い。設定が近未来なだけに、背筋に悪寒が…。続きが気になって読み進めてしまうところは、窪美澄の世界観に引き込まれた結果だろうか

  • 題材と出だしが良く一気に読み進めた。8割位ページが進んで、あれ?おかしいな、残ページ分量と物語の進みがリンクしない。
    案の定尻切れトンボ感否めず。

  • (ないだろうけど)続きが知りたい

  • 近い未来かもしれない次世代の「徴兵」制度。設定の是非や人権無視無視感に対する賛否様々あるでしょうが…ある意味気持ちがいいぐらい突き抜けている。
    それはそうとしても、ラストはミツキの視点も欲しかったな。
    2016/7/1読了

  • 前作があらゆる意味で余りに突出していたため、本作は全体的に"薄い"という感が否めない。プロットは良くできていてかつ恐ろしいと思う、がために、前作と同じ熱量で描いていたらどんなふうになり得ただろうかとつい思ってしまう。

  • で?で?結局なんだったの??という疑問は残るのだけど、これをSFと思えないところが恐ろしい。狂っていく一方の私に言えたことではないけれども。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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