アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社
3.19
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本棚登録 : 788
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024608

感想・レビュー・書評

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  • 近未来の日本では、若者は自殺を繰り返し、結婚もせず子孫を作ることもしなくなった。
    国が「アカガミ」という制度を作り、希望者のうち選ばれた男女のみでカップルを作って国の保護の下で同居させ結婚させて子どもを産ませる。

    草食系男女が多くなってきていると言われている今日(実際に恋愛に興味が無い人が増えているとか)ぞくっと来る話だった

    最初は抵抗を持ちながらも、愛し合って子供が生まれたカップルの行く末が幸せなものであって欲しかった

  • さすが窪さん!
    草食系が国に支配されるお話。
    2030年の設定だけど、今でも水面下では進んでいるんじゃないか?
    国が少子化晩婚化をやたら気にしだし、お役所認定の婚活をやりだし……。
    大きなお世話だっちゅーの!
    といっても、この少子化云々の流れはもう止めようもなく、手をこまねいて見ていられなくなったんだろうな。
    不適合者は論外とする想定はゾッとするけど、今でも充分あり得る。
    「まぐわい」マッチングリストが、産まれてから早々に作られても不思議じゃない世の中になりそう。
    いやー、面白かった。
    SF的ブラックユーモア的。背筋がゾッとするお話でした

  • 読後のなんともいえない泣き笑いが止まらない。
    近未来の話なのに、なぜかもう経験したことのような錯覚に陥る。
    静かで、優しくて、幸せで。
    そんな都合のよい場所は小さな穴も見逃さない。
    ありえる?ありえるな、この国なら。

  • 「アカガミ」というタイトルからして、戦時中の話かなと思いきや、近未来、2020年東京オリンピックの年のお話。しかもフィクションなのに凄く現実味があり、将来的にはそうならないとは限らないような気がしてくる。
    内容は、2000年以降生まれた若者の寿命は40歳までもたないかもしれないという論文に影響され20代~30代の若者の自殺が増え40代以上の人間の比率が飛躍的に増加しつつある日本国は「アカガミ」という制度を発令し、若者のカップリングと子作りを国家が管理しようとしていた。
    アカガミに志願した「ミツキ(妻)」と「サツキ(夫)」はそれぞれ、カップルとなり、それなりに愛をはぐくみ、妊娠までに至るが・・・・。それまで、このシステムは凄く素晴らしい制度だと思っていた二人が、ラストでは思わぬ展開になってしまう。これからどうなるのかという余韻を残し終わってしまったので、何故かちょっと物足りなさも感じる。
    設定も、素晴らしいし、内容もいいのだけど、終わり方にもう少し工夫が欲しかった気がする。この夫婦が幸せになったのか、不幸になったのかは謎である。

  • 世界観は見たことなく面白かった。スピード感もあり、主人公たちの感情の変化や人間らしさの芽生えにほっこりさせられる。ただ、フランス映画よりもアメリカ映画が好きな私は最後で『アカガミ』がどうなるのかはっきりさせてほしかった。

  • 少子化が急速に進行した近未来。
    男女は自発的に恋愛し、パートナーとなり、子供を産み育てるという習慣を失う。

    そして、恋愛に代わるシステムとして、様々な理由から志願し選抜された男女が、国によってカップリングされ、子供を作るシステムが構築される。
    そのシステム、アカガミを利用する男女には、国の庇護による手厚い子作り体制が保証される。

    アカガミを利用する生活は、非常にリアル。
    そして、アカガミを利用し男性と番った主人公は、やがて妊娠する。

    現代の少子高齢化が進展した未来の設定としては、あり得ないこともないかもと思うが、その設定、着想以外は、かなり荒削り。
    そして、唐突にやってくるエンディング。

    当初の着想が面白いだけに、その後の展開と結末に物足りなさを感じてしまった。

  • とてもおもしろかった。
    近未来の日本は、草食化が進み?若者は、セックスや恋愛に興味を持たなくなった。その対策に国は「アカガミ」制度を導入。「アカガミ」に志願した者は、指定された団地に赴き、カップルとなる。相性が悪ければチェンジも可能。

    主人公のミツキは生きる意味を見いだせず、何度も自殺未遂をしていたところ、知り合いのログから「アカガミ」を紹介される。ミツキと一緒に生活することになったハルノは、家族の生活を救うため「アカガミ」に志願した。

    生きる意味を見いだせず、恋愛にも興味がなかったミツキが、次第にハルノに魅かれていく。ハルノもミツキに魅かれていき、自然の流れで二人は結ばれる。ミツキはめでたく妊娠し、ツキとハルノの生活はこのまま穏やかに続くと思われたが……。

    ミツキがハルノに魅かれていくところ、ハルノもミツキに魅かれていくところが、なんともいえずよかった。ストーリーはありえない設定なんだけど、こうなってもおかしくないと思わせる、変にリアルな設定がこのストーリーのおもしろさを増していると思う。

  • 奇妙な読後感が残る本だった。読んでいる間もずっと違和感が拭えず、最後の一文にも引っかかるものを感じる。きっと、自然の摂理としてではなく人工的に男女を結びつけ、子どもを増やそうとしているからなのだろう。「アカガミ」制度では、人生に伴う衣食住、とくに食と住においては当事者の手が煩わされることなく、すべて滞り無く用意されている。しかしそのようなうまい話があるわけが無く、疑念と共に読み進めたためか、不穏な空気が作品中に漂っているかのようだった。

  • こんな近未来本当にくるのだろうか。恋愛、結婚、出産をしない草食系の若者ばかりになった日本。若者の自殺も増える。危機感を覚えた国家が立ち上がる。それが「アカガミ」制度だ。国をあげてのお見合い制度。国家が恋愛の手ほどきをするという歪み。「アカガミ」を希望すれば、生活の全てを国家が保証してくれる。そんな夢のような話があっていいのだろか。あるカップルが「アカガミ」で家族になる。しかし家族になって初めて知る「アカガミ」の本当の目的。まさに戦時中の「赤紙」だ。保証された生活の裏の残酷さ。作られた楽園はいらない。

  • 2016 8/24

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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