サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226712

感想・レビュー・書評

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  • 小麦の話が面白すぎた。
    私たちは小麦の奴隷。グルテンフリーしたい…。

    あと、人間の強さは嘘を集団で信じられることという話も好きだった。
    色々と本当に?と思う話は多かったけど、それでもめちゃくちゃ興味深かった。名著。

  • 認知革命、農業革命までは面白かった。
    そこから個人的な興味が湧かなかったのか読書スピードが落ちてしまった

  • ・歴史の大半を通じて、こうした人工の「孤島」は非常に小さいままで、広大な未開の自然に囲まれていた。地表はおよそ5億1000万平方キロメートルあり、そのうち約1億5500万平方キロメートルが陸地だ。西暦1400年になっても、農耕民の大多数は、彼らの動植物とともに、わずか1100万平方キロメートル、つまり地表の2パーセントに身を寄せ合っていた。それ以外の場所はすべて、寒過ぎたり、暑過ぎたり、乾燥し過ぎたり、湿潤過ぎたりしていて、農耕に適さなかった。したがってこの、地表のわずか2パーセントが、歴史の展開する舞台を形成していた。

  • 「人類は虚構を信じる力によって他の生き物と違う道を歩み始めた」というような部分が、しびれました。

  • 人類の発展に関して、当たり前だと享受していた事象を改めて考え直すことができた。

    特に認知革命の章は衝撃だった。確かに貨幣の価値も法人も、その存在を我々全員が『信じている』から存在する。こうした虚構こそホモサピエンスを発展させる重大な鍵だったのだ!
    また、ホモサピエンスか小麦を家畜化したのではなく、小麦がホモサピエンスを家畜化したというのは初めて目にした考えで新鮮だった。狩猟採集から農耕文化へ移行していったと学ぶためか、私は農耕文明は狩猟文明よりも優れていると思い込んでいた。しかし個体あたりの労力としては、狩猟採集の方が遥かにコスパか良いのだ。それでもホモサピエンスが弓矢より鍬を選んだのは、安定して食物を入手できるようになり、人口が増加したため、もとの狩猟採集中心の生活では食糧を十分に入手することが不可能になってしまったからだった!

    たくさんの新しい知見を得ることができた。下巻にも期待

  • 人類のはじまりから現代まで。どうして霊長類の中でなぜホモ・サピエンスがここまでの発展を成しえたのか、そのキーとなる革命がなんだったのか、そしてここからどこへ進もうとしているのか。歴史的な事実と著者の考えから、新たな気づきや課題の発見があったと思う。

  • 6月17日 日経新聞 書評
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50017188

  • 認知革命
    人は実在しないものを共有できる

  • 人は虚構を作り出しそれを共有できるから、大人数での協力ができ、秩序も保てる、という説明に目から鱗が落ちました。
    宗教という虚構、国という虚構、現代においては金という虚構。この虚構を信じる力がホモサピエンスである我々の強みだというのは、私にとって斬新な見方で、とても腹落ちしました。
    次の虚構は何だろう。虚構が崩れたら何が起こるんだろう。
    世界の、人類の見方を変えてくれた一冊です。

  • ☆人類≠ホモサピエンス 進化論のキリスト教社会への影響・未だに否定派がいるアメリカ社会(バックグラウンドを知らなければ問題の本質理解が不可) 生物学の界属種の知識が役立つハズ

    第1部 認知革命
     【1】唯一生き延びた人類種
    生き物→種に分類 同じ種=交尾して子孫残す 属→共通の祖先から進化した種
    ホモ(ヒト)属サピエンス(賢いの意)
    最初の人類 250万年前東アフリカ アウストラロピテクス属(南のサルの意)→各地へ移動する過程で進化

    ヨーロッパ、西アジア ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデル谷出身のヒトの意)
    アジアの東側 ホモ・エレクトス(直立したヒトの意)
    ジャワ島 ホモ・ソロエンシス(ソロ川流域出身のヒトの意)
    2010年シベリアのデニソワ洞窟 ホモ・デニソワ

    これらを一直線の系統図の進化を考えるのは誤り 10万年前には少なくとも6つのヒトの種あり 30万年前には火を使っていた
    (今日、キツネ、クマ、豚…多くの種があるのと同じ)

    7万年前にサピエンスは移動 行った先で交雑説・交代説
    サピエンスはネアンデルタール人を虐殺したのか?
    人類=サピエンス以外も含む 過去1万年にホモ・サピエンスは唯一の人類種→ヒトと動物を分ける考えが確立

     【2】虚構が協力を可能にした
    ドイツのシュターデル洞窟 ライオン人間 3万2000年前のもの→当時の人類も芸術心あり
    プジョーの車、会社の概念→想像上の概念とウソの違い
    サピエンスは虚構を信じて協力 1対1で勝てないネアンデルタール人に集団で対抗

     【3】狩猟採集民の豊かな暮らし
    農耕以前の世界の暮らしは?→特定の遺跡が見つかったとしてもそれが当時の全ての人類に当てはまるわけではない
    1960年代パラグアイの密林に暮らすアチェ属・幼い女の子を生贄として殺す生活習慣→古代ならなおさら集団で考えは異なるハズ

     【4】史上最も危険な種
    認知革命(サピエンスが世界に散らばる)→大型動物を全滅させる

    第2部 農業革命
     【5】農耕がもたらした繁栄と悲劇
    古代遺跡(農業が始まった以降と考えられていた) 1995年トルコ・ギョベクリテペ遺跡BC9500年頃・狩猟採集民が建設したとしか考えられない
    農業革命の犠牲者 家畜(彼らの進化上の成功は無意味・牛という種の数の上での成功は、個々の牛が味わう苦しみにとっては何の慰めにもならない)

     【6】神話による社会の拡大
    想像上の秩序 脱出不可能な監獄
     【7】書記体系の発明
    アリ、ミツバチの安定して強靭な社会→必要な情報がゲノムにコード化されているから 働きバチはストライキ・賃上げ要求しない

     【8】想像上のヒエラルキーと差別
    あらゆる社会は想像上のヒエラルキーに基づいている インド→カースト、オスマン帝国→宗教、アメリカ→人種 悪循環している状況アリ

    男女差 男らしさ・女らしさは文化で異なる(現代なら女装してるルイ14世=男らしい)☆オバマの公式肖像写真・机に座る/結婚指輪/黒い靴/ストライプのネクタイ
    女性の帝国建設者が稀の理由→男の攻撃性?筋力? 家父長制の神話のせい?☆本書中では筆者の明確な考えを読み取れなかったR05-05-28

    第3部 人類の統一
     【9】統一へ向かう世界
    文化 膨大な数の見ず知らずの人同士が効果的に協力
    ×大昔から同じ信念、規範、価値観→どの文化も絶えず変化
    北アメリカ先住民・勇猛な乗馬のイメージ→1492年には北米大陸に馬はいない・ヨーロッパからもたらされた馬
     【10】最強の征服者、貨幣
    物々交換の限界
    史上初の硬貨 アナトリア西部のリュディアの王アリュアッテス BC640
    ローマのデナリウス銀貨 1Cのインドでさえ受け入れられた→イスラム教国家のカリフ(支配者)・ディナールを発行→現在も通貨単位
     【11】グローバル化を進める帝国のビジョン
    古代ローマに滅ぼされた現スペインのある部族→子孫は武勇伝を語るが、それはラテン語由来の言葉で!→完全に一体化 文化のるつぼ
    英国のインド植民地→壮麗な建物の名前は変更したが、壊す発想にはならない
    紅茶、クリケット、鉄道網、民主主義→かつての遺産にあふれている現代
    ☆日本が世界進出できる方法は?車を売る?規格を作る?

    【下巻】
     【12】宗教という超人間的秩序
     【13】歴史の必然と謎めいた選択
    第4部 科学革命
     【14】無知の発見と近代科学の成立
     【15】科学と帝国の融合
     【16】拡大するパイという資本主義のマジック
     【17】産業の推進力
     【18】国家と市場経済がもたらした世界平和
     【19】文明は人間を幸福にしたのか
     【20】超ホモ・サピエンスの時代へ
    あとがき 神になった動物

  • フライヤーの創業者のお薦め本で手にしました。ホモサピエンスがサバンナの中、大型補食者がいるにも関わらず、如何にして生き残り、何を進化させることで、食物連鎖の頂点に立ち、その後、現在のように繁栄していったのかの1説。上編は近代化前までの内容ですが、非常に濃く、人間とはなにか考えさせられる本でした。

  • 推薦司書ミニコメント
    文明は人類を幸福にしたのか?なぜホモ・サピエンスだけが繁栄したのか?
    イスラエル人歴史学者による、48カ国で刊行の世界的ベストセラー。
    とても頭の良い方とじっくり会話した後の様な読後感。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1167390

  • 昔、アメトークの読書芸人で紹介されてからずっと気になっていて、やっと読めた。
    人間は自分で思うよりも動物。話す猿。愚かな二足歩行のサピエンス。客観的にこんな風に語られたら、呆れもするけど、どこか愛しく思う。動物はやっぱりどこか愛嬌がある。もし神がいるとするのなら私達は愛嬌があって愛らしく見えるのかな。



  • 1章 人類は歴史上たくさん。今はホモ・サピエンスのみが残る。ホモ・サピエンスは、ネアンデルタールなどとの遺伝子的共通点持つ。ホモ・サピエンスは賢いが、ずっとピラミッドの中頃にいて、被食者でもあった。
    2章 ホモ・サピエンスが残ったのは虚構の力、神話を信じる力による。
    3章 狩猟採集民
    4章 人類が絶滅させてきた多くの種・属
    5章 農耕は人口増加をもたらしたが、人々を絶え間ない仕事などの悲劇に巻き込んだ
    6章 人類はあらゆる神話の存在によりまとまる種族
    7章 書記体系により残る歴史、広がる知識、管理できる人口の増加
    8章 男女格差のふしぎ
    9章 統一に向けてすすむ人類
    10章 貨幣の考え、貨幣の神話は人類に瞬く間に拡大
    11章 新たなグローバル帝国の黎明期

  • 相変わらずハラリのナラティブは面白い。すべてが真実でないにしろ、ホモ・サピエンスがいかに発展してきたかをストーリーで語る。

  • 正直スラスラは読めなかった。時間はかかったが、で面白い。歴史に関しての着眼点が良い。学びの本質な気がする。
    人類の進化という括りでネアンデールタール人等全て一緒にしてきたが、我々ホモサピエンスが絶滅させた。歴史的背景を根拠立てて学べる一冊。

  • 良い

  • 非常に重厚で面白い本。人類史を歴史の教科書に載っている以前からマクロ的にみている。長ったるいが面白かった。
    人類は虚構を信じるようになって繁栄した。また農業革命に関しても面白い視点。稲作をすることで人数は爆発的に増えたが忙しくなり貧しくもなった。

  • とても難しい内容だった!ホモサピエンスの生物学的進化の過程と紀元前から現代に至るまでの政治、宗教、社会秩序などの形成が、農業革命、認知革命、科学革命が起こったことによるものであり、それぞれが密に影響しあっていることがわかった。
    そして、何よりこれまでの進化の過程で最も人間に不可欠であったものは、虚構(目には見えないものを信仰する精神)であることが、説明されています。


  • 人類史を扱ったとき,歴史の転換点としていろいろなものが挙げられるが,著者は認知革命,農業革命,そして科学革命を挙げている.農業革命は他の人も良く取り上げるだろう.だが,科学革命は代わりに産業革命を挙げるだろう.さらに認知革命というのを取り上げたのが独特だと思う.

    認知革命は,虚構を共有することで,大規模な協力や,社会構造の変更が可能になったと述べている.こうした虚構の一つとして宗教やイデオロギーを論じており,これが一つキーワードになっている.科学革命は,未知の重要なことの存在を認めることを科学の特徴としてあげており,よく挙げられる反証可能性の考え方に通じるものがあると思う.全般的にみて,私のような科学者視点からは親和的な見地であった.

    幾つか気になった点を挙げると
    ・3章:農業革命前の方が体格が良かったとあり,進歩が幸福に繋がらない事例として本書では挙げられているが,単に体格が良くないと成人まで生き残れなかっただけということは考えられていないと思う
    ・19章:カーネマンの知見を引いて,幸福を人生の有意義さに求める記述があったが,これも生化学的な脳内物質を引き出すきっかけの一つの過ぎないように思える.

  • いつも翻訳されている文章は日本語の自然ながれになっていないからか、読み進めるのに時間がかかることが多いが、今回も例にもれなくそうであった。
     なかなか読み進めることは難しかったが、ホモサピエスがどのようにして、社会を形作ることができたのかなどを知ることができた。
     農業革命の章では、農業が個に制約を課して、社会に利するものであるという話は、現在の多くの仕事に通じるものがあるように感じた。人間は本能的に社会を存続させようとするものなのか、そういう圧力に抗えないのか、うまく言葉に表現できないが、そういうものを感じた。

  • 自分の思考のベースになってる本

  • 労働時間 農業 過酷 関節炎 腰痛

  • 名著の誉れ高いがその通り 見識のレベルが圧倒的 ①空間 ②時間
    1.権力側近エリートが遺伝子を残さないシステムの不思議 司祭・宦官・僧侶
    2.人類の統合 最大の競争力 「神話」が不可欠
    3.ローマ帝国 戦闘ではよく負けたが、戦争では必ず勝つ 戦略の優位
    4.貨幣の偽造 最大の犯罪=国家反逆罪 国家基盤が崩壊する
    5.

  • 狩猟民族から始まり、農業革命、…帝国へと話は進んでいく。下巻も、早く読みたい。

  • 人類史の名著。嘘をつく事ができたが為に
    知的生命体としてここまで発展できた。
    人類はこの先どこに行くのか?

  • 読み切るのにかなり集中力が必要。翻訳本だからか?

    でもかなり面白い!人類史の見方が変わったし、これを歴史の授業で教えてもらっていたら、縄文時代の学習ももっと面白くなっただろうな、と。物の見方が秀逸!

    p.40 だが、虚構のおかげで、私たちは単に物事を想像するだけじゃなく、集団でそうできるようになった。聖書の天地創造の物語が、オーストラリア先住民の「夢の時代(天地創造の時代)」の親は、近代国家の国民主義の神話のような、共通の神話を私たちは紡ぎ出すことができる。そのような神話は、大勢で10の26すると言う空前の能力をサピエンスに与える。アリやミツバチも大勢で一緒に働けるが、彼らの能力は、融通が利かず、近親者としかうまくいかない。狼はチンパンジーはアリよりもはるかに柔軟な形で力合わせるが、少数のごく親密な個体とでなければだめだ。ところがサピエンスは、無数の赤の他人と著しく柔軟な形で協力できる。だからこそ、サピエンスが世界を支配し、あれは私たちの残り物を食べ、チンパンジーは動物園や研究室に閉じ込められているのだ。

    p.51 それとは、対照的に、サピエンスは、認知革命以降、自らの振る舞いを素早く変えられるようになり、遺伝子や環境の変化は、全く必要とせずに、新しい行動を後々世代へと伝えて行った。その最もたる例として、カトリックの聖職者や仏教の僧侶、中国の宦官といった、子供を持たないエリート層が繰り返し現れたことを考えて欲しい。そのようなエリート層の存在は、自然選択の最も根本的な原理に反する。なぜなら、社会の有力な成員である。彼らは、子孫を設けることを自ら進んで断念するからだ。チンパンジーのアルファオスが権力を利用して、出来る限り多くのメスと交尾する(そして、その結果、胸に誕生する子供の多くの父親となる)のに対して、カトリックのα雄は、成功や子育てを一切控える。この自制は、極度の食糧不足、あるいは、配偶者候補の不足といった、特殊な環境条件の結果ではない。一風変った遺伝子の突然変異の結果でもない。カトリック教会は、「独身主義遺伝子」を歴代の教皇が継承することによってではなく、新約聖書とカトリックの教会法と言う物語を継承することによって、何世代にもわたって存続してきたのだ。

    p.107 人類は、農業革命によって、手に入る食料の送料を確かに増やすことができたが、食料の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ。

    では、誰の責任だったのか?王のせいでもなければ、聖職者や商人のせいでもない。犯人は、小麦、犬、ジャガイモなどの、一握りの植物種だった。ホモサピエンスがそれらを栽培がしたのではなく、逆にホモサピエンスがそれらに家畜化されたのだ。

    そこで、小麦の立場から農業革命について少し考えて欲しい。一万年前、小麦は、ただの野生の草に過ぎず、中東の狭い範囲に入る、多くの植物の1つだった。ところが、ほんの数千年のうちに、突然、小麦は、世界中で生育するまでになった。生存と繁殖と言う、進化の基本的下旬に照らすと、小麦は植物の家でも、地球の歴史上で指折りの成功を収めた。10,000年前には、北アメリカの大草原地帯、グレートプレーンズのような地域には、小麦は1本も生えていなかったが、今日そこでは、何百キロメートルも歩いても、他の植物は一切目に入らないことがある。世界全体では、小麦は2,250,000平方キロメートルの地表をおおっており、これは日本の面積の約6倍に相当する。この草は、取るに足らない物からいたるところに存在するもの江藤、どうやって変わったのか。

    小麦は、自らに有利な形でホモサピエンスを操ることによって、それを成し遂げた。この霊長類は、およそ10,000年前までは、狩猟採集によってかなり快適な暮らしを送っていたが、やがて小麦の栽培に次第に多くの労力を注ぎ混み始めた。2000年ほどのうちに、人類は世界の多くの地域で、朝から晩までほとんど小麦の世話ばかりを焼いて過ごすようになっていた。楽なことではなかった。小麦は非常に高かった。岩や石を嫌うので、サピエンスは汗水たらして畑からそれらを取り除いた。小麦は、場所や水や養分を他の植物と分け合うのを嫌がったので、人々は焼け付く、日差しの中、来る日も来る日もえーと草取りにいそしんだ。小麦はよく病気になったので、サピエンスは、虫や疫病が発生しないから、いつも油断ができなかった。小麦は、鰻屋、イナゴの群れなど、それを好んで、左にする他の生き物に対して無防備だったので、農耕民は、絶えず目を光らせ、持ってやらなければならなかった。小麦は多くの水を必要としたので、人類は泉谷、小川から苦労して運び、与えであった。小麦は、養分を貪欲に求めたので、サピエンスは動物の糞便まで集めて、小麦の育つ地面を耕してやることを強いられた。

    サピエンスの体は、そのような作業のために進化してはいなかった。石を取り除いたり、水分を運んだりするのではなく、りんごの木を登ったり、ガゼル追いかけたりするように適応していたのだ。人類の脊椎が膝、首、土踏まずにそのツケが優れた。古代のごかく子調べると、濃厚への移行のせいで、椎間板ヘルニアや関節炎、ヘルニアといった、実に多くの疾患がもたらされたことがわかる。その上、新しい農業労働には、あまりにも時間がかかるので、人々は込みで私のそばに定住せざるをえなくなった。そのせいで、彼らの生活様式が完全に変わった。このように、私たちが小麦を栽培化したのではなく、小麦が私たちを家畜化したのだ。幸から家畜化を表す「domesticate」と言う英語は、ラテン語で「家」を意味する「domus」と言う単語に由来する。では、家に住んでいるのは誰か?小麦ではない。サピエンスにほかならないのではないか。

    それでは、小麦は、どうやってホモサピエンスを説得し、素晴らしい生活を捨てさせ、もっと惨めな暮らしを選ばしたのか?見返りに何を提供したのか?より優れた食生活は提供しなかった。思い出してほしい。人類は多種多様な食べ物を食べて、栄える、雑食性の霊長類だ。農業革命、以前は、穀物は人類の食物のほんの1部を占めていたに過ぎない。穀物に基づく食事は、ミネラルと見た目に乏しく、消化しにくく、歯や歯肉に非常に悪い。

    小麦は、経済的安心を買って与えてはくれなかった。農耕民の暮らしは、狩猟、採集明の暮らしほど安定していなかった。狩猟採集民は、何十もの種に頼って生きており、したがって、たとえ保存食品の蓄えがなくても、困難な年を乗り切ることができた。1つの種が手に入りにくくなっても、他の種生、その分多く買ったり採集したりできた。一方、濃厚社会動く、最近まで、カロリー摂取の大半をわずかな種類の栽培化された、品種に頼っていた。小麦やじゃがいも、米など、単一の主要食料だけに依存している地域も多かった。もし雨が充分降らなかったり、イナゴの大群が来週したり、その狩猟、食料の品種をある種の菌類が冒すようになったりすると、農耕民は何千から何百から何百万と言う単位で命を落とした。

    小麦はまた、人類同士の暴力から守られると言う暗示も与えてくれなかった。

    p.116 初期の農耕民は、子供により多く、お粥を食べさせ、母乳を減らせば、彼らの免疫系が弱まることも、永続的な定住地が感染症の温床と化すだろうと言うことも理解していなかった。単一の食料源への依存を強めれば、実は干魃の害にますます自分を晒すことになるのも予見できなかった。また、豊作の年に穀倉が膨れ、上がれば、盗賊や滝川、それに誘われて襲ってきかねないので、城壁の建設と見張り番を始めさせるを得なくなることも、農耕民たちは見越せなかった。

    p.117 歴史の数少ない鉄則の1つに、贅沢品=必需品となり、新たな義務を生じさせる、と言うものがある。人々は、ある贅沢品に一旦慣れてしまうと、それを当たり前と思うようになる。そのうち、それに頼り始める。そして、ついには、それなしでは生きられなくなる。私たちの時代から、別のなじみ、ぶかい手を引こう。私たちは、過去数十年の間に、洗濯機、電気、掃除機、食器洗い機、電話、携帯電話、コンピュータ、電子メール等、時間を節約して、人生活にゆとりをもたらしてくれるはずの、無数の機械や手段を発明した。以前は、手紙を書き、封筒に宛名を書いて切手を貼り、ポストまでもっていくのはけっこうな手間だった。そして、返事を送るまで何日も、何週間も、ことによると、何ヶ月もかかることがあった。それが今では、電子メールを地球の裏側までさっと送り、(相手がオンラインならば) 1分後には返事が受け取れる。私は以前の手間と隙を全て省けたわけだが、前よりもゆとりのある生活を送っているだろうか?残念ながら違う。普通の郵便だけだった時代には、人々は何か大事な用事のある時だけ手紙を書いた。頭に浮かんだことをそのまま書くのではなく、自分の言いたいことをどのような言葉で言い表す、顔、慎重に考えた。そして、相手からも同様に、よく考えた返事が戻ってくるものだと思っていた。ほとんどの人は、月に数通しか手紙を書いたり、受け取ったりしなかったし、直ちに返事をしなければならないと感じる事は稀だった。ところが、今日では、私は毎日何十通も電子メールを受け取り、相手は皆、迅速な変動を期待している。私たちは時間が節約できると思っていたのに、逆に、人生の踏車(トレッドミル)を、以前の10倍の速さで踏み続ける羽目になり、日々を前よりも落ち着かず、イライラした思いで過ごしている。

    p.126 工場色色悪農場の現代の講師。講師は誕生直後に母親から引き離され、自分の身体とさほど変わらない小さな檻に閉じ込められる。そして、そこで一生(平均でおよそ4ヶ月)送る。折尾出ることも、他の講師と遊ぶことも、歩くことさえも許されない。すべて、筋肉が強くならないようにするためだ。柔らかい筋肉は、柔らかくて、肉汁がたっぷりのステーキになる。子牛が初めて歩き、筋肉を伸ばし、他の子牛に触れる機会を与えられるのは、食肉処理場へ向かう時だ。進化の視点に立つと、牛はこれまで登場した動物種のうちでも、屈指の成功を収めた。だが、同時に、牛は地球上で最も惨めな部類の動物に入る。

    p.181 悪循環ー偶然の歴史的状況が、硬直した社会制度に変化する。

    偶然の歴史上の出来事→白人の黒人支配→差別的な法律→黒人の貧困と教育の不足→文化的偏見


    1865年までまでには、白人と比べて、黒人は知能化を取り、暴力的で、性的にふしだらで、怠惰であり、きれい好きではないと言うのが、白人ばかりでなく、多くの黒人の常識になっていた。したがって、黒人は暴力、窃盗、暴行、病気、すなわち汚れの媒介とみなされた。…月日が経つうちに、偏見はますます定着していった。めぼしい色は全て白人が占めていたので、黒人は本当に劣っていると信じやすくなったからだ。平均的な白人は、こんなふうに言った。「いいですか、黒人は何世代も自由の身でありながら、黒人の教授が弁護士、医師、ばかりか、銀行員、西ほとんどいないでしょう。それこそ何と言おうと黒人は知能が低く、勤勉でない証拠ではありませんか」。この悪循環の罠にはまった黒人たちは、知能が低いと、みなされたために、ホワイトカラーの仕事に着けず、ホワイトカラーの仕事についている黒人の少なさが、彼らが劣っていることの証拠にされた。この悪循環はそこで止まらなかった。韓国人の汚名が強固になるにつれ、それが、人種的実情を守ることを目的とする、黒人差別的な法律と規範の制度として形をとっていた。黒人たちは選挙で投票したり、白人の学校で学んだり、白人の店で買い物をしたり、白人のレストランで食事をしたり、白人のホテルに止まったりすることを禁じられた。その一切が、黒人は不潔で、怠惰で、不均衡なので、彼らから白人を保護しなければならないと言う理由で正当化された。白人は、病気を恐れ、黒人と同じホテルに止まったり、同じレストランで食べたりしながらなかった。残念さや悪影響恐れて、子供たちに黒人の子供と同じ学校で学ばせたがらなかった。黒人は無知で不道徳だから、選挙で投票して欲しくなかった。こうした恐れは、黒人は、教育程度が、現に低いとか、黒人の間で様々な病気がより一般的だとか、彼らの犯罪率の方が高いといったことを「証明する」科学的研究によって裏付けられた(こうした研究は、それらの「事実」が、黒人に対する差別に起因することを無視した)。

    ・ミシシッピ大に志願したクレノン・キング(黒人)は強制的に精神科病院に入院させられた
    ・人種間の性交渉はタブー。特に黒人男性と白人女性の性的関係と結婚は最も嫌悪された。

    時とともに、人種差別は、文化の次第に多くの領域に広がった。アメリカの美的文化は、白人の日の標準を中心に打ち立てられた。色白の肌、まっすぐな金髪、小さな上向きの花といった、白人の身体的特性が美しいと考えられるようになり、色の濃い羽田、黒く、もじゃもじゃ、下上、平大端といった典型的な国、人の特徴は、醜いと思われた。こうした偏見は、想像上のヒエラルキーを人間の意識のさらに寝そうにまで根付かせた。

    このような悪循環は、何百年も何千年も続いて、偶然の歴史上の出来事に端を発する想像上のヒエラルキーを永続させる。構成の差別は時が流れるうちに、改善されるどころか、悪化することが多い。お金はお金のある人の所へ行き、貧困は変更を招く。教育が教育及び、無知は無知良さそう。一旦歴史の犠牲になった人々は、再び犠牲にされやすい。逆に、歴史に優遇された人々は、再び優遇されやすい。

    大抵の社会、政治的ヒエラルキーは、論理的基盤や生物学基盤を描いており、偶然の出来事を神話で支えて永続させたものに他ならない。歴史を学ぶ重要な理由の1つもそこにある。黒人と白人、あるいはバラモンとシュードラと言う君が、生物学的事実に基づいていたなら、つまり、バラモンは、本当にシュードラよりも優れたのを持っていたなら、人間社会は生物学だけで理解できるだろう。だが、現実には、ホモサピエンスの異なる集団同士の生物学的区別は、無視できるほどでしかないので、インド社会の複雑さやアメリカ大陸の人種的、ダイナミクスは、生物学では説明できない。これらの現象を理解するには、想像力が生み出した曲を、3人で非常に現実味のある社会構造に変換した出来事や事情、力関係を学ぶしかないのだ。

    p.202 神話と虚構のおかげで、人々は、ほとんど誕生の瞬間から特定の方法で考え、特定の標準に従って行動し、特定のものを望み、特定の規則を守ることを習慣付けられた。こうして彼らは人工的な本能を生み出し、そのおかげで、膨大な数の見ず知らずの人同士が効果的に協力できるようになった。この人工的な本能のネットワークのことを「文化」と言う。

    p.213 紀元前、1000年紀に普遍的の秩序となる可能性を持ったものが3つ登場し、その信仰者たちは初めて、1組の法則に支配された単一の集団として1000世界と全人類を想像することができた。誰もが「私たち」になった。いや、少なくともそうなる可能性があった。「彼ら」はもはや存在しなかった。

    真っ先に登場した普遍的秩序は経済的なもので、貨幣と言う秩序だった。第二の普遍的秩序は、政治的なもので、帝国と言う秩序だった。第三の生辺的実情は、宗教的で、仏教やキリスト教、イスラム教といった普遍的宗教の秩序だった。

    p.219 専門の栽培、かや、製造業者から産物や製品を集めて必要とする人に分配する中央ぶつぶつ交換制度を確立することで、この問題を解決しようとした社会もある。そのうちで最も大規模で有名な実験は、ソビエト連邦で行われ、惨めな失敗に終わった。「誰もが、その能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」と言う理想は、「誰もが触れるだけサボり、もらえるだけもらう」と言う現実を招いた。例えば、インカ帝国でのように、もっと節度のある試みが行われ、もう少し成功したこともある。だが、ほとんどの社会は、大勢の専門家に結びつけるための、もっと、手軽な方法を発見した。貨幣を作り出したのだ。

    p.224 貨幣は、相互信頼の制度であり、しかもただの相互信頼の制度ではない。これまで考案されたものの、うちで、貨幣は最も普遍的で、最も効率的な相互信頼の制度なのだ。この信頼を乱すのは、非常に複雑で、非常に長期的な、政治的、社会的、経済的関係のネットワークだった。なぜ、私は宝街の貝殻や金貨やドル紙幣を信頼するのか?なぜなら、隣人が皆、それを信頼しているから。そして、隣人たちが信頼しているのは、私がそれを信頼しているからだ。そして、私たちが全員それを信頼しているのは、大がそれを信頼し、それで税金を払うように要求するからであり、また、製作者がそれを信頼し、それで10分の1税を払うように要求するからだ。1ドル紙幣を手に取ってて念入りに見て欲しい。そうすれば、それが、一方の目にアメリカ合衆国財務長官の署名が、もう一方の目には「我々は神を信じる「閉じると言うスローガンが印刷された。ただの上に過ぎないことがわかる。私たちがドルを何かの対価として受け入れるのは、神と財務長官を信頼しているからだ。私たちの金融制度が、政治や社会やイデオロギーの制度とこれほど緊密に結びついている理由や、政治の成り行きで、金融危機がしばしば、引き起こされる理由、ある朝、通生形がどんな気分かで、物価が上がったり下がったりする理由も、信頼が果たす決定的な役割で説明できる。

    p.225 大麦には、本質的な価値はあるものの、ただの日用品ではなく、貨幣として使うように、人を説得するのは楽ではなかった。なぜかを理解したければ、地元のショッピングセンターに大麦を1袋持っていき、車塚ピザを買おうとしたらどうなるか、考えて欲しい。売り手はおそらく警備員を呼ぶだろう。それでも、最初の種類の貨幣として、大麦に対する信頼を築くのは、比較的易しかった。なぜなら、大麦には、本質的な生物学的価値があるからだ。人間は大麦を食べることができる。とは言え、大麦は保存も運搬難しかった。花柄の歴史における神の飛躍的発展が起こったのは、本質的価値を書くものの、保存したり、運んだりするのは簡単なカフェを信頼するようになった時だ。そのような貨幣は、紀元前3000年紀半ばに古代メソポタミアで出現した。銀のシュケルだ。

    p.227 効果の記号は、その効果の価値を保障する何らかの政治的、権威の署名なのだ。記号の形と大きさは、歴史を通じてはなさな異なるが、そのメッセージは常に同じで、「偉大なるを〇〇である予は、この金属円板がきっかり、5グラムの金を含むことを直々に保障する。この効果を偽造するものがいたら、そのものは今日の署名を偽造しているに等しく、それは予の名声に汚点をを残すことになる。そのような罪を犯すものを、予は厳罰に処すであろう」と言うものだ。だからこそ、貨幣の偽造は、他の詐欺行為よりも、はるかに重大な犯罪であると常にみなされてきたのだ。貨幣の偽造は、単なるごまかしではなく、主君の支配権の侵害であり、大の権力と特権と人格に楯突く行為なのだ。法律用語では「大逆罪」で、通常、罰として拷問され、処刑に刺された。人々は、大の権力と誠実さを信じている限り、小野効果も信頼した。見ず知らずの人同士も、ローマのデナリウス銀貨の価値については、何の問題もなく同意できた。それは、彼らがローマ皇帝の権力と誠実さを信頼していたからで、皇帝の名前と肖像が、その銀貨を飾っていた。

    p.231 貨幣は2つの普遍的原理に基づいている。
    a 普遍的転換性ー貨幣は、錬金術師のように、土地を中世に、正義を健康に、暴力を知識に転換できる。

    b 普遍的信頼性ー貨幣は、仲介者として、どんな授業においてもどんな人同士でも協力できるようにする。

  • 現在までの人類の紆余曲折が知れて面白い

  • 認知的不協和という思考の矛盾がサピエンスの文明を築き存続させたらしい。

    自由と平和の矛盾かつ両立不可能な課題は議論できるが故に結果はどうあれ存在し続ける。

    目前のマストな課題はサピエンスが示教してくれるようだが、それに終点が訪れることはないだろう。

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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