サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309226712

感想・レビュー・書評

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  • ホモ・サピエンスが起こした3つの革命の内、上巻では、認知革命、農業革命によって、ホモ・サピエンスがどのような進化をしてきたか、どのような影響を与えたか、という内容だった。
    なぜ、ホモ・サピエンスがここまで繁栄できたのか、人類なら一度は読むべき傑作。

  • オーディブルで鑑賞。
    歴史から学ぶ、と社会科の先生は言うけれど結局何ひとつ未来に活かせることを教えてくれなかった。
    この本は人類史を振り返ることで得られる教訓を教えてくれる。特に現代の我々が思いがちなことも実は普遍的ではないことなど。

    歴史の本だが、意外にも幸福とは何かについて考えるヒントが沢山あった。いまアンテナを張ってるトピックなので、意識的にそういう読み方をしていたのもあると思うが。

  • 国家も宗教も倫理も経済も人間が認知しているだけで、物理的にはどこにも存在しない。
    論理的には確かにそうかと思うが、感覚的に取り残された感情を持ちながら読み進めた。
    著者曰く、この「存在しないもの」を群れの中の共通認識として信じられる力(認知する力)が今日の人類の発展につながっているとのこと。
    読み終えると確かに納得。人類ってすごい、と思える。

  • ホモサピエンスの歴史から、生物としての人間の本質を紐解く。
    上巻はサピエンスの隆盛から農業革命まで。ここで提起されている生物、種としての成功はDNAの複製を増やすことであって、その生物が幸福であるかは関係ないということ。下巻に続くこの提起は、遠い古代から現在まで、生物である私たちにとって変わらない問いなんだと感じる。

  • 個人的にコペルニクス的を味わえた

  • おもしろっ。
    人類史についてまとめられた作品なんだけど、
    人類史以外の多様な視点も入っているので、
    ただただ勉強になった。

  • 善か悪か、敵か味方か、隔てた方が、圧倒的に生きやすい。複雑化したり、グレーではモヤモヤする。
    だが、世界というこの何億年もの歴史の積み重ねについて、容易く人は決めつけたがるが、決してそれが、"正しい"判断なのかを分かるのは、神様くらいだろう、ということを刻みたい。
    大切なのは、決めつけるのではなく対峙すること。答えを出す必要性なんて全くないのだ。


    貨幣は毒にも薬にもなる。貨幣に価値があるのではない。貨幣はただの幻想。

    人々はそういった共同幻想を抱いた方が生きやすい。秩序があるから、安全になる。
    世界全体で今は共同的な幻想を持とうとしている。どこの国でも同じようなことができてしまう。人は楽な方に生きる。(農業革命)(物々交換=交易)
    →その裏返しには、独特な価値観や、"純正"な文化が失われつつあるということである。

    という内容。

    少し回りくどい部分もあるが、こんなに世界は複雑なんですよっていう話だな

  • 読みやすかった。
    なるほどなと思うことはたくさんあったけれど、なんだかんだ全て理にかなっているなと思った。
    だが、その理は遺伝子レベルで人類にインプットされているから、そう思うのかな。

    リンゴから象が生まれました。という事象を理にかなっていると思う種族も、宇宙のどこかにはいるのかもしれない。ぶっ飛んだ例えの話。

  • 何となく人類は「正解」を辿ってきたからこそ繁栄してきたと思っていましたが、そもそも正解と言い切れるものもなく、立場によって善とも悪とも取れる流れを辿って現在に至っているというのは、自分の中のイメージが良い意味で崩れて、とても勉強になりました。農業革命がもたらした悲劇の側面についてや、貨幣が宗教や人種などを超えて信頼を得ることができた話は特に面白かったです。

  • 異常な高評価の多さに寒気を感じつつも読了

    専門書を読み慣れてる人にはいいけど、そうでない人にとっては結構難易度高い
    それでもこの高評価の数、日本の未来は明るいと実感


    本作の感想としては、話が回りくどい部分はあるが面白い

  • なぜ我々ホモサピエンスが唯一の人類になったのか、そして我々はどこへ向かうべきなのかというテーマに、数百万年前という考古学の時代から歴史学の時代、そして科学がもたらす未来という大きなスケールをもって取り組んだ名著 ヒトの最強の武器は認知革命によるものであり、それによりヒトは協力し、さらには擬似的な進化(生き方のアップデート)が可能となったという話は非常に興味深い

  • 人を人たらしめるものは嘘を信じられることである。嘘というのは宗教だったり文化だったりお金だったり、同じ概念を共通認識することであたかも本当にそれらがあるように違和感なく過ごしている、という視点が面白かった。またこういった不自然さによって人類が発展してきた歴史を知ることができた。

  • ー 農業革命以降、人間社会はしだいに大きく複雑になり、社会秩序を維持している想像上の構造体も精巧になっていった。神話と虚構のおかげで、人々はほとんど誕生の瞬間から、特定の方法で考え、特定の標準に従って行動し、特定のものを望み、特定の規則を守ることを習慣づけられた。こうして彼らは人工的な本能を生み出し、そのおかげで形大な数の見ず知らずの人どうしが効果的に協力できるようになった。

    この人工的な本能のネットワークのことを「文化」という。

    二〇世紀前半には、学者たちは次のように教えた。どの文化もそれを永遠に特徴づける不変の本質を持っており、完全で、調和している。人間の集団にはそれぞれ独自の世界観と、社会的、法律的、政治的取り決めの制度があり、惑星が恒星の周りを回るように、集団を円滑に動かしている。この見方によれば、文化は放っておかれれば変化しないという。ひたすら同じ速度で同じ方向に進み続け、外から力が働いたときにだけ、文化は変化しうるのだった。たとえば人類学者や歴史学者、政治家は「サモア文化」あるいは「タスマニア文化」に言及し、サモア人やタスマニア人が大昔から同じ信念や規範、価値観を特徴としてきたかのように語った。

    だが今日では、文化を研究している学者の大半が、その逆が真実であると結論している。 ー

    確かに面白い!
    感想は(下)を読んでから。

  • 生物学、科学、宗教、哲学、倫理、様々な要素が盛り込まれていて、ボリューム満点。
    それもそのはず、これは200万年ほど前、まだ人類種がホモ・サピエンス以外にも複数種存在している段階から始まり、認知革命、農業革命、宗教や交易、帝国による統一化、そして科学革命から現在に至るまでと、壮大な時間軸からなる物語だからである。
    ただ、筆者の主張は一貫しており、キーフレーズは「虚構」である。
    尤も、進化論の本を開くと大体「虚構」の話は載っているし、大発見のような要素はおそらくこの本にはない。しかし、様々な要素を無理なくホモ・サピエンスの成長という一つの長い時間軸に乗せて、流れるように描く本はおそらくなかなか無い。
    そして、様々な要素をはらんでいるからこそ、誰にとっても、読書の醍醐味である「目から鱗」の体験ができることが、大ベストセラーとなった一つの要因なのではと思う。

    なお、私にとっての「目から鱗」体験は、差別に関するものだった。具体的にはナチスと同性愛に関するものである。当然もともと差別は大反対だが、だからこそ、どういう思考から差別は起きるのか、なぜその差別はおかしいのか、ということを正しく知り、また、自分の頭で考えることはとても重要だと思う。この本はその理解を深めうる新しい視点、進化という視点を授けてくれた。

    そもそも、すでに起きていること・ものに「不自然」は存在しない。
    「不自然」と感じるのは人間社会に生きる中で形成されたルールを無意識に当てはめてしまっているからにすぎない。
    自分が人や物事に対峙するとき、無意識にバイアスをかけてはいまいか?
    常に忘れず、自身に問いかけ続けようと思う。

  • とんでもなく面白かった!今さらながら自分が「ホモサピエンス」という動物の一種に属するということに気付かされ、不思議な感覚になった…

  • これを世界史の勉強の入り口にするだけで良いのになぁ。。これを10大びっくりニュース化で超訳→人類の全歴史を構造化→そこから超ミクロの例とマクロ化の繰り返しで概観つかむ→細かな面白をつかんでいく、のが良いのではないかな。縦横無尽に行き来してそのダイナミックなストーリーを感じられたら、越境の面白さを感じられたら、日常の捉え方が変わる機会になるんじゃなかろうか。大人になってからそうなるってのは、非効率じゃなかろうか。


    最近特に思うのが「公立学校の先生は忙しいから本当のことを教えたくても教えられない」ということ以前に、「国家が(そうとは言わないが民主主義の秩序維持のために)教育を施している」構造のために、本来伝わるべきことが伝わらない、伝える必要がない、ということなんじゃないか。そうなるとその外側には常に習い事マーケットが広がり続ける。

    そうだとしたときに果たして自分たちがやりたいのは「ネオエリート」や「ストリートスマート」の育成なのか、それともそれを通じた社会の価値観を数十年レベルで変えていく仕事なのか。後者は壮大でその結果どうなるかはわからないけれど、「城作っとるんすわ誰にも負けないような」っていう話に心動かされる人は、世界が一つになっていく渦中で、どんどん少なくなっていくんじゃないか。というか、本当の仕事ができなくなっていくんじゃないか。

    • ロボ団_sanoさん
      一度読んでみたいと思いつつ手が出せてない1冊です!やっぱりおもしろいんですねー!
      一度読んでみたいと思いつつ手が出せてない1冊です!やっぱりおもしろいんですねー!
      2021/05/18
  • 人類の進化から現代の問題点を紐解いていく新しい考え方を学んだ。人類は急速に進化しすぎた。ものの見方を少し変えると気持ちが楽になる瞬間がある。
    下巻は保留。長くて重い。

  • ・人類の歴史を生物学ではなく、精神・社会・心理的な側面で語られている
    ・性別も生物学な分類というよりは、社会性によって分類されている
    ・貨幣の発明が人類に最も影響を与えた。物質的な価値ではなく、心理的な信頼による価値
    ・世界はマクロ的には統一の流れ
    ・サピエンスはなぜ生き残ったか。
    ・他の生物とは違い、物質ではない虚構を社会に取り込んだこと。宗教・神、法人・会社。

  • 「虚構が人の協力を可能にした」という発想に
    そういう考え方があったのかと、著者の思考の深さに驚愕させられた。
    辛口な言い回しも全て納得させられるものだった。
    素晴らしい本に出会った。

  • 特に前半の狩猟採取時代の話が興味深かった。
    もしかすると、この時代は人が最も幸せだった時代ではないのか•••?
    その後の農業革命時代以降は、人の際限ない欲望が目立ってきて、自ら幸せから遠ざかっているようにも感じる。一部の権力者にとっては狩猟採取時代より幸せかもしれないが。
    上巻では帝国主義までの話だったが、下巻では人類がどんな道を歩んでいくのか、一つの壮大なフィクションを読んでいるかの様にオチが楽しみ。

  • 知的好奇心を刺激されまくる名著。
    小説やエッセイ以外の書籍を(それもこんな分厚いの)読むことは、ほとんどないが、
    貪るように、また、所々メモしながら読んだ。
    人間を、ついては、自分自身や社会の捉え方、視点も変わりそうだ。

  • <結論>
    私達は想像の産物の世界で生きており、想像する力はホモサピエンス独自に発達した力である。
    身の回りに溢れる思想・価値観が想像の産物だと分かっていても、もはや逃れる術は無い。

    <概要>
    ホモ・サピエンス以外にも、10万年前の地球には少なくとも6種類のヒトの種が存在していた。それらの種を根絶やしにして今に至る。
    7万年前〜3万年前 【認知革命】
    →遺伝子の突然変異。虚構を伝える力。伝説や神話、宗教など
    国民、貨幣、人権、法律、正義も全部人間の想像の産物
    産業革命より以前から、ホモ・サピエンスは多くの動植物を絶滅に追い込んだ
    1万年前 【農業革命】
    朝から晩まで小麦の世話、ヘルニアになったり栄養素も乏しい
    より楽な暮らしを求めたら、より困難な生活になってしまった

    <感想>
    私は何を信じて生きていけばいいのか分からない

  • 2021年1冊目

  • まとめ ⇒

    人間の行動、社会構造、ビジネス、貨幣などの歴史が詰まってて、とにかく濃かった。下巻も読みたいと思う。

  • 虚構を信じる力が人類を動かしてきたという考察はとても面白いと思った。

    それを踏まえて以下感じたこと

    ・人と協力して何かをする時はみんなで信じられる神話(虚構)を用意する。
    ・逆に他人(国)から神話を押し付けられる時は、その神話に従った行動は誰の得になるものなのかを吟味する。丸々信じるのは危険。

  • 根性で図書館の順番待ちをしていると、タイムリーに読みたい本はなかなか読めないですね。。4年越しでやっと上巻を読了。引き続き、下巻を順番待ち中です(笑
    ※Kindleで買っちゃっても良かったんですが、KindleはKindleで積読状態の本がそれなりにあったりして。。

    各所で話題(だった)の、イスラエルの歴史学者によるホモ・サピエンスの歴史。上巻は人類が統一されていく中世くらいまでをざっくり纏めた本という印象でした。
    本を手にして思ったのは、思ったより全然薄いなぁというコト。読み口も軽めで、歯ごたえと言う意味ではそこまでではなく。
    それもそのはず、邦題は「全史」なんて書いてあるから身構えるのですが、原題は「A Brier History of...」とむしろ逆。邦題もマーケティング的には成功したんでしょうが。。

    内容は、現代資本主義社会に生きる存在として、固定観念を改めて認識させてもらうキッカケとなる著作で、良著であるコトは言うまでもないのですが、ある意味では「当たり前のコト」を改めて整理して見せられている印象で、それでもその中に気付きが埋まっているというのが凄いことだと感じました。
    日本人としての目線から見ると、やっぱり文明において日本ってのは辺境なんだなぁ。。と。「日本人全史」を誰かが書いたら面白いかもしれません。(タイトルからしてただのパクリ感しか無いですが…)
    あと、「幸福」という観点から見ていたのも印象的でした。幸福=生存、増殖という訳では必ずしもなくて、家畜はめっちゃ増えたけどQoLが上がった訳じゃないよね、というのはその通り。

    下巻、どのように収束していくのか。楽しみです。

  • いくつかの本と平行しつつ読了。

    意外と読みやすい本で、前提とする知識もなかった。

    多くの印象的なフレーズを登録したい。

    カバーをとったほうがかっこいい本になる。

  • 「頭の良い人」ってこういう人のことを言うんだろうな、と思いながら読んだ。これだけ多くの視点をどうやったら持てるのだろう。これからの『歴史家』の在り方をみたような気がする。

  • ジャレド・ダイヤモンドもそうだが、この手の本は読書中はワクワクするしとにかく楽しいが、読んでしばらくすると話の骨子のようなものを第三者に説明できないくらいぼんやりした記憶しか残らないのは、一体なぜだろう(私だけだろうか)

  • 『ジャレド・ダイアモンド』の『文明崩壊』上巻で挫折した私としては、かなり頑張りました。 
    我々サピエンスは、【虚構】を信じる能力を身につけることによって世界の頂点に立つことが可能になった。 
    そうでなければ、今でも生態系の中程に位置する「裸のホモ属」であっただろう。 
    文明というシステムを機能ならしめているのは、すべて【虚構】を信じているから。 
    でも、すっごく睡眠作用抜群の書籍でありました(笑) 
    下巻は"脳のやる気スイッチが入ったら"読みたいと思います。 

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著者プロフィール

歴史学者、哲学者。1976年イスラエル生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻し博士号を取得。現在、ヘブライ大学で歴史学を教授。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』。

「2020年 『「サピエンス全史」「ホモ・デウス」期間限定特装セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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