アイルランドの薔薇 (光文社文庫)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334737450

感想・レビュー・書評

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  • 読書完了日2012年06月19日。

  • 閉鎖空間の舞台設定は演劇を見ているかのよう。あらすじにしてしまうと解決などは凡庸だが、細かな仕掛けに何度も翻弄される心地よさがある。7.5

  • 本格的な推理小説。最近読んだ本は軽く読めるものが多かったのか、今回はじっくり読んだ。そうしないと、伏線らしきものを見過ごしそうになって、楽しさが半減するから。雨の日に家に閉じこもって読みたい本。

  • 石持さんのデビュー作
    舞台設定には なんていうか疑問を感じるが・・
    要するにイメージできにくいというか マニアックというか?

    デビュー作ということで 荒削りかもしれないけど
    その分パワーがあって最後まで一気に読めました^^

    これよりも後の作品の 水の迷宮とかよりこっちのほうが
    断然私は面白かったな^^

  • 場所はアイルランド。
    スライゴーのB&Bには九人の客が宿泊していた。
    週末の休暇を楽しみに来た、科学者のフジとジェリー。
    たまたま出会って旅をともにすることにした
    アメリカ人大学生の二人組、アリスとケイト。
    自転車でやってきたアイルランド人の会計士ビル。
    オーストラリアからやってきたというビジネスマンのケン。
    そして商店街の釣り仲間と名乗る三人組の男。
    だがその三人組は、南北アイルランドの統一を謳う
    カトリック系武装勢力NCFのメンバーだった。
    小さな宿ということで、宿泊客どうし打ち解けて
    酒を飲み交わし、親交を深めあった夜が明けた朝、
    NCFメンバーの一人であり、NCFの副議長である
    ダグが何者かによって殺されているのが発見される。
    実はNCFの首脳部は、ダグを殺害するために
    殺し屋をひそかに派遣していたのだが、
    殺され方を見るかぎり、その殺し屋の仕業とも思えない。
    ダグが殺されたことを公にするわけにいかない事情を抱えた
    NCFメンバーのトムとデイブは、犯人が明らかになるまで
    宿から出て行くことを宿泊客全員に禁じ、
    犯人探しに協力することを要請する。
    日本人科学者であり、頭の切れるフジの推理によって
    隠されていた様々な事実が次々に明らかになっていく。

    注目の新鋭・石持浅海の処女長編。

    最近いろいろなところで名前を見かける石持浅海。
    とりあえず刊行順に読んでみようと思ったので
    この作品から手をつけたのだが、正解だったと思う。

    評判どおり、しっかりした構成を持つ本格ミステリだと思った。
    舞台設定がなじみの薄い外国であるにもかかわらず、
    話の流れが非常に易しく理解できるように書かれていて、
    引っかかりは特に感じずに読むことができる。

    刺激的な展開というものもこれといってなく、
    スムーズに読み進めてしまうあっさり味の作品なのだが、
    謎解きの部分まで読むと、あっさり読み流してきた中に
    なにげなく隠されていた数々の伏線に気づかされ、驚かされる。
    この伏線の張り方のなにげなさが、わりと凄い。
    ストーリーの中で、伏線の部分が不自然に浮いてしまっている、
    ということが極めて少ないのである。
    基本的に何も考えずにミステリを読む自分でも
    伏線に気づくことは少なからずあるが、
    今回は、謎解きを読むまでほとんどの伏線に気づかなかった。

    南北アイルランドの問題という見慣れない題材が登場するが、
    その部分が物語から乖離してもいないし、
    かと言って扱いが小さすぎて不必要に見える、
    といったこともなく、見事に本格ミステリ的な部分と
    融合を果たしている点にもうならされた。
    舞台をアイルランドに設定した必然性がちゃんとあって、
    それがしっかりプロットに絡み合って、不可分になっているのだ。
    なかなかこれは難しいことだと思う。

    切れ味の鋭さは、正直言って感じられない。
    だが、切れ味が鈍いほうが、より大勢の人に受け入れられる。
    ハッとさせられるような鋭敏な作品ではないが、
    どんな人でも楽しめるだろうな、
    と思わせるような安定感がある作品。

  • 王道ミステリーです。テイストはアガサクリスティーかな☆

    アイルランドという、あまり馴染みのない(個人的に)国ですが、すんなり入り込むことができました。

  • この人の長編第1作。
    お行儀のよい推理小説という感じがするが、まあまあ良いのではないでしょうか。
    外部犯行を否定したり、テロリストに武力を使わせなかったりして、”本格推理小説”の舞台を整えているのだが、この舞台を整えるためのストーリーの展開のさせ方が下手だが。。。

  • 石持氏の処女作です、北アイルランドを舞台にしてのクローズドサークルものです。北アイルランドを巡る問題については高村薫氏の『リヴィエラを撃て』の記述や、なんといっても『ゴルゴ13』シリーズを読んでますので予備知識はそれなりにありました。(世界各地の政治、経済、民族、宗教等々の問題についてゴルゴ13ほどわかりやすく描かれている書物はないと思います。高校生は在学中に全編読破すべきと思います、さすれば少しは日本を世界的見地から俯瞰できる、国際社会に対応できる人物に近づくんじゃないかな?教科書問題とかニュース見るたびに思うことです。)


    政治的背景のある地域を舞台にしてますが、本筋とはあまり関係ないので純粋に作中の伏線、ヒントから真相を推理できる仕立てになっており本格ミステリの名にふさわしい作品でした。探偵役である唯一の日本人フジはなかなかの好人物に描かれていて(謎めいた部分の記述があり秘密の香り漂ってました)再登場するのかな?と思いましたがなさそうですね。

  • アイルランドは好きな国なので興味深く読んだ。

    湖近くのB&B(簡易旅館)でテロ組織の一員が殺される。
    密室ものというか、クローズド・サークルといわれる
    限定した空間の中での犯人さがし。

    結末でいろいろなことが明らかになってスッキリ!
    後日談も充実していてにっこり(^^)

    アイルランドに思い入れのない人でも楽しめます。

  • 石持さんをチェックしようというきっかけになった本。処女長編ということですが、完成度が高いです。硬派な感じのミステリ。クローズドサークルもの。おすすめ。

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著者プロフィール

1966年、愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。2002年『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。03年『月の扉』が話題となり、〝碓氷優佳シリーズ〟第1弾となった05年『扉は閉ざされたまま』(祥伝社文庫)が 「このミステリーがすごい!」第2位。同シリーズの最新作に『君が護りたい人は』(祥伝社刊ノン・ノベル)。本作は『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社文庫)の続編。

「2022年 『Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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