名もなき毒

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 694
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  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344012141

感想・レビュー・書評

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  • いまさら、宮部みゆき。
    「楽園」以来、半年ぶりかなぁ・・・
    相変わらず、引き込むのが上手な作家さんです。
    自分の周囲にも潜む「毒」
    ふとしたきっかけで、自分も「毒」になり得るかもしれない。
    相変わらず、読後に考えさせられる作品でした。

  • 財閥企業で社内報を編集する杉村三郎くんのお話。
    好きなシリーズ。

  • きっと周囲にもいる。
    毒は等しく人間の中に。

  • 読了日2010/10

  • やっぱりこの人天才だ…。登場人物の歩かせ方が尋常じゃないくらい巧み。原田っていうキチガイ女の異常な言動の数々は神経逆なでされる。こいつ発達障害か何かなのか?って思ってたら、別の登場人物が彼女は発達障害ですか?と両親に聞いたりするし、読んでいる間ずっと宮部みゆきの掌の上で転がされてる感じだったわー。人を見る観察眼とそれを自然に表現できてしまう宮部みゆき、最近の作品よりも、この本のタイトルにあるように毒を以て毒を制するタイプの本になると本領発揮するのね。

  • 青酸カリ、シックハウス、土壌汚染などの人体に直接作用する毒と、人の心に潜む怒りや嫉妬といった悪意による精神的な意味での毒の両方が盛り込まれ、毒だらけです。
    毒物混入連続事件が起こります。それとは別に大手企業の広報室でトラブルを起こし解雇したアルバイトが暴走します。二つの事件が同時に主人公に関わってきます。絡まり具合が上手いです。
    「誰か」の続編らしいけど、「誰か」は印象が薄くあまり覚えてないですが、こちらは印象強いです。原田いずみの毒は強烈です。出会いたくない人種。ここまで極端なのはなかなかいないと思うけど、似たような軽い毒を持ってる人は身近にもいるなと思います。結婚式の場面は辛かったけど、嘘だとハッキリする場面があったのが救いです。
    前作同様、杉村さんはあまり好きになれないな。周りの登場人物のほうが素敵でした。

  • 連続して起こった青酸カリによる殺人事件。それと同時に、杉村が勤める編集部でも一人の女性アルバイトによる事件が勃発する。杉村はその女性について調査した経験のある北見という人物を訪ねるが、先客がいた。その先客は青酸カリ殺人事件の被害者の孫だった。そのことから、杉村はその事件により深くかかわっていくこととなる。


    ドラマ化されていたので久しぶりに宮部みゆきを読もうと借りてきたのだが、以前読んだことがあったようでさまざまなところに見覚えがあった。

    名もなき毒、というタイトルは、人間が持つ毒のこと。嫌な感情、とでも呼ぶべきか。

    ほかの人のレビューを読んでみると、原田いずみにリアリティがないという人と「こういう人いる!」という感想を抱いた人と二通りいる。その理由は、実際にこういう人間に接したことがあるかないかの違いだろう。
    実際にこのような人間は存在する。自分を否定されることが極端に嫌いで、常に自分は正しいと思っており、自分が一番かわいそうだと思っている。そして、その人物の持つ毒は、周囲の人間をもむしばむ。

    ミステリとしては謎解きの要素があまりないことが気にかかる。しかし登場人物の人間関係もそれほど複雑でなく、今多コンツェルンという大企業に関してもさらりと描かれているのですらすらと読むことができる。

  • 心にとうぶん残りそうなお話し。

    「毒」というだけあって、
    青酸カリや土壌汚染の話しも絡んでるけど、
    1番伝えたかった事は人の内にある「毒」。

    この「毒」が1番恐ろしい。あらゆる事を起こしてしまうから。

    誰でも人は他人と自分を比較して生きていく生き物だけど、
    それを自分で解釈して理解して生きていかないといけない。

    自分ばかりツライ思いをして、なんであの人ばっかり幸せなんだ!
    って思う人は多いと思うけど、
    そう見える人にだって、悲しい思いは沢山ある。

    人は誰でも何かに「怒っている」。
    それをぶつけるか、ぶつけないか。
    他人を傷つけて言い訳が無い。
    傷つければ傷つけるほど、自分が苦しくなるのに。

    優しいだけじゃ生きていけない世の中が悲しい。

  • 「誰か」の続編。すっきりしない終わり方。大きくは二つの事件が併行しつつ、最後にmixされるんだけど、解決じゃないもんなあ、こんなの。現代社会の生き難さみたいなのを多方面から抉っているのは鋭いとおもうけど。原田いずみみたいな人間はどうしてできあがるの。外山くんの生い立ちはどうしてこんなに救いがないの。苦いなー。後味苦い。大財閥の婿殿の設定は前作でも面白いとおもったけど、今回は、家庭も経済も仕事も守られているような杉村みたいな存在そのものが、(不幸せな)他人にとっては毒なんだよなあって思い知らされて。北見も秋山もゴンちゃんも、なんか存在を深読みしてしまって活き活きと読めなかった。今多会長の言葉はもろもろ含蓄あったけれども。いやな痺れの残る毒が胸に残る作品。ちょっと苦手だなあ、こういうの。

  • 図書館から借りた。さすが安定した文章力。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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