- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344012141
感想・レビュー・書評
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今多グループ総帥の娘のところに婿に入った杉村は、父より結婚する条件として告げられたとおり、グループ内の社内広報室で働いていた。最近、アルバイトとして入った原田いづみの問題行動が多発し、ついには編集長に暴言をはき、クビにすることになった。念のため、彼女の以前の勤め先などに探りをいれると、そこでも問題行動を起こしていたようだった。社長に紹介され、私立探偵と名乗る北見と出会い、そしてさらに都内で連続していた毒殺事件の被害者家族である母娘と知り合うことに。孫娘は祖父の死を哀しみ、怒り、犯人を突き止めようとしていた。放っておけない杉村は手を貸すことになり……。
シリーズの2作目?なのかな?なんとも悲しい事件。総帥はわりとまともな人間に見えるので杉村さんネガティヴすぎない?って思ってしまった。原田さんが真性なんだけど、なんだか悲しい。犯人は早々に分かったけど、どうやって動機にたどり着くんだろうと思っていたけど、そういうことか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人間誰しも毒を持っている
毒をどのように吐き出すのか
それは自分自身の
常識や理性によって
毒を良性な薬に変えて
吐き出すのか
毒を毒として
吐き出すか
違ってくるのでしょう
自分の毒ってなんだろうって
振り返る作品でした -
人様に迷惑をかけず、時には誰かに優しくするのは、普通ではなく立派な人間。
幸せを相対的に評価すると、この小説の登場人物のように、ろくなことがありません。幸せも自己責任です。
「自己実現」なる言葉が出てきますが、この小説を読んでから、チープに聞こえるようになりました。 -
『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』。杉村三郎シリーズとは知らず2作目を先に読んでしまいました。轢き逃げ犯のエピソードのことがよくわからなかったので急いで『誰か』を借りてきました。
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やっぱりこの人天才だ…。登場人物の歩かせ方が尋常じゃないくらい巧み。原田っていうキチガイ女の異常な言動の数々は神経逆なでされる。こいつ発達障害か何かなのか?って思ってたら、別の登場人物が彼女は発達障害ですか?と両親に聞いたりするし、読んでいる間ずっと宮部みゆきの掌の上で転がされてる感じだったわー。人を見る観察眼とそれを自然に表現できてしまう宮部みゆき、最近の作品よりも、この本のタイトルにあるように毒を以て毒を制するタイプの本になると本領発揮するのね。
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図書館で借りました。
宮部さんの作品は、読みやすくて好きです。
原田いづみの悪意に、イライラし、ハラハラさせられ、
引き込まれました。
ただ、真犯人があっけなく出てきたなという印象です。 -
2015.3.28 読了
普通すぎるくらい普通の杉村三郎。
完璧すぎなくて、嫌いじゃないです。
普通は こんな反応しかできないんじゃないか、というところが 逆にホッとします。
連続毒殺事件と、
会社を辞めさせた女が逆恨みする事件、
ふたつが 同時に進行します。 -
この本の中で特に印象に残ったのは、 主人公とその娘との会話である。 「明日桃子があかねちゃんにごめんなさいをしたら、 あかねちゃんもごめんなさいしてくれるかな? 桃子だけがごめんなさいしたら、桃子だけが悪いって あかねちゃんに思われちゃうのかなぁ?」 謝った方が良いという事は本能的にわかっている。 でも、自分だけが悪いわけではない。 なのに自分だけ謝っちゃったら、そう思われてしまうのでは? 彼女が思い悩んでいるのは、 それが『理不尽』だと思うからだ。 子どもでも成人してからでも、人々が割り切れない思いをするのは 『理不尽』である事に変わりは無い。 「あんなに何一つ不自由なく幸せな人もいるのに、 どうして私は苦労ばかりするのか。」 「自分の思い通りにばかりなっている人もいるのに、 どうして私だけ。」 誰でもほんの少しは胸の片隅に持っている『理不尽』。 ある程度時間がたてば、 それぞれに自分をなだめる方法を身に付ける。 でも、誰でも、そういう気持ちを完全に消すことは出来ずに、 浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返している。 そして『理不尽』を全く自分の中で消化する事が出来ずに、 常に抱え持っている人もいる。この本にはそういう人が出てくる。 自分たちのまわりにも、気付かなくても そういう人がいるかもしれない。
ドラマ『名もなき毒』原作本(TBS月曜ミステリーシアター 7月8日~)
今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、トラブルメーカーだった。
解雇された彼女の連絡窓口となった杉村は、振り回される。
折しも街では、連続毒殺事件が注目を集めていた。
人の心に巣食う毒を圧倒的筆致で描く吉川英治文学賞受賞作。杉村三郎シリーズ第二弾。
日常のいかなるところにも潜伏し、いつその触手を伸ばすともしれぬ毒に対して、
人はあまりにも無力なものですね。 ──中谷美紀(女優)
ありふれた毎日に潜む「毒」は、確かに私の中にもあり、この小説を読むことは、
その「毒」の姿を確かめることに似ていました。怖いのに見ないではいられない。
こんなにも面白くて、こんなにも苦しい小説があるなんて。
──草野満代(キャスター)
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。 -
作者さんは二作目ですが、この方の書かれる体の内から溢れる毒は激しいなと思います。ちなみに初読みはソロモンの偽証。じわじわと自分をも滅ぼす毒素に振り回される人達。面白くてぐいぐい読まされる感じがしました。