ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • 大学時代からの親友ナオミとカナコが、2人でカナコのDV夫を殺して完全犯罪を目論むという話。朝井リョウさんが勧めてたので手に取りました。
    前半がナオミ目線、後半がカナコ目線ですが、特に後半に入ってからの手に汗握る展開が尋常じゃない…!最後はページをめくる手が止まらず一気読みでした。
    カナコ的存在がいることも含めて、ナオミは私だな。他人事とは思えません。

  • 「家庭内暴力、DV。とにかく暴力でもってヒトを支配するのは、あかんなあ」
    という、何やら当たり前のこと。
    「完全犯罪ってむつかしいなあ」
    という、何やら刑事コロンボのような感想と。

    そんなことを感じながらも、この小説は、「…という神無き世の中で、何がモラルだっけ?何が正義だっけ?犯罪ってほんとに罪を犯すことだっけ?」
    と、いう、宗教が崩壊した都会生活には永遠に付きまとう挑戦的な世界観のドキドキなんだよなあ、と思いました。

    そうです。殺人者。ひとごろしが主人公のオハナシです。アラサーの女性ふたりが、ひとを殺します。
    「最悪」「邪魔」「無理」の作者と、「ガール」の作者がぶつかった感じですね。
    必殺仕事人。ゴルゴ13。罪と罰。ニキータ。ウディ・アレンの重罪と軽罪。許されざる者。チャップリンの殺人狂時代。
    このジャンルは確かに、名作揃いですねえ。

    2014年の奥田英朗さんの小説です。



    大学時代の(高校時代のだったかな?)親友だった、アラサーの女性ふたり。ナオミとカナコ。
    ナオミは独身。本当はキュレーターになりたかったけど、デパートの外商部勤務。超・富裕層のお買いものの段取りをするのが仕事。
    カナコは結婚している。旦那の希望で専業主婦。子供はまだいない。

    会う回数こそ減ったけど、ふたりはまだまだ仲良し同士、親友。
    ナオミは仕事について、なんとなく不満がうっすらと溜まっている。濡れた紙が一枚一枚、重なるように。
    お金持ちの相手。富裕層。勝ち組。広がっている格差。
    それを見せつけられる一方で。親友のカナコはなんと、夫の暴力に悩んでいた。
    それを知ってしまったナオミ。
    ここで、どうにも収まらないナオミ。自分の事ではないけど、どうにかしなければ、と身を焼かれるナオミ。
    この辺の描き方が、仕事上の薄い窒息感と相まって、性格付けというか、上手いなあ、と思いました。

    そして、カナコの置かれている、アリ地獄のような夫の暴力との暮らし。
    これはこれで、ぞっとしましたね。怖いですね。
    そして、どうにも身動きできない、心理的な支配感というか。

    そして。

    ごくごく普通の…女性、アラサーのふたり。
    百貨店勤務のサラリーウーマン、そして若い主婦。
    このふたりが、カナコの夫を、殺すんですね。
    このあたり、読んでいて、「うまくやれよお…失敗するなよお…」とハラハラ読んでしまいます。

    そして…完全犯罪と思いきや…
    徐々に…後半は主にカナコの目線で…小さな穴が堤に空いてくる。警察。夫の親戚。捜査。
    崩される策。追い詰められる。迫ってくる逮捕。逃げられるのか。証拠は?どこまでバレてる?

    この後半の、息の詰まる緊張感、凄いですね。

    紙に字が印刷されているだけなのに。こんなに息が苦しくハラハラできるんですね。奥田英朗さん、パチパチ。

    ラスト、逃げ切れるのか?

    奥田さんは、地獄落ちにしたくもないけれど、ファンタジーにしちゃうのも、きっとイヤだったんでしょうね。

    ラスト、ストップモーションのような。

    思わず、映画「明日に向かって撃て!」のような…

    いやでも、内容的には、「俺たちに明日はない」の現代おんなふたり版、なんですけどね。




    いろいろと細部もダレ場なく素敵なんですが。

    ペーパードライバーのナオミが、殺人計画のために運転に挑戦する、その運転と言う行為の恐怖感、どきどき感。上手いなあ、と、感心。
    そして、後半はカオルに迫りくる執念の調べ。真綿で首が絞められるような恐怖。そして「死んで」。

    うーん。

    ちょっと怖かった(怖がりなので)。

    でも、実に面白かったです。

  • DV夫を親友と一緒に殺して隠してしまうストーリー。読む前はあっけなくボロを出して捕まるものかと思ったが、しっかり計画を立てて一応成功させてびっくり。しかし、完全犯罪って難しい。これだけ技術が発達してしまえば、よほど田舎じゃない限り無理みたい。

  • 温厚なわしじゃけど一瞬、殺意を覚える時も有りますw

    ってな事で、奥田英朗の「ナオミとカナコ」

    夫のDVに悩むカナコを助ける為立ち上がったナオコ。⁡

    夫を排除した後のアリバイ工作等々圧巻な準備と手筈じゃったが…w

    ナオミ編とカナコ編の二部構成。

    二部構成によって内容変化の意味は無いと思うけどw

    人間の深層心理での友情、愛情、裏切り、殺意、隠蔽、追求等々。

    読み易くて面白い♪

    2015年17冊目

  • 万事休す!と思う展開が最後の1ページに至るまで続く。ずっとハラハラドキドキして楽しめた。

  • 前半部、作者の奥田さんはヒロイン二人に完全犯罪を完遂させたように思わせておいて、後半部で、素人ゆえの行動の穴を突き付けて一気に追い込みを掛けていきます。
    そしてここからラストに向かって行き詰まる攻防戦…と思いきや、呆気無く終了。
    雑誌連載時に、担当編集者の方から巻きが入ったのですかね?

  • ハラハラドキドキ、こちらも手に汗握る。DV男に追い詰められていくサスペンス感はホラーチックで本当に怖かった。ただただ二人には逃げ延びてほしいと願いながら読んだ。

  • 中盤辺りからハラハラドキドキして
    読むのが止められないほどに。。
    とても作り込まれた作品だと思った。

  • 面白かった。殺人事件をおもしろいと言うのもなんだけど、女子二人が健気にDV夫をやっつけ、世間と戦う。最後は、はらはらドキドキだった。

  • 犯人側の視点新鮮でおもしろい

  • 久しぶりの奥田作品。コレも読ませるなぁ〜。自分もナオミとカナコの仲間になったかのように最後はハラハラドキドキ手に汗握る思いで、一気読みしてしまいました。

  • 奥田英朗を知った初めての小説。
    何回読んでもハラハラするわ〜!
    経た年齢で、感じ方に変化が生じる。そしてなぜか、「自分の人生は自分で決める!」と、勇気が出てくるんだよね〜。

  • 展開が気になって一気に読んだ
    おもしろかった!!

  • 読み終わって物凄い疲労感とある種の安堵感を感じました。クライマックス前は深夜に目が覚めて2人のことが気になり眠れなくなりました。離婚も切り出せず、警察にも行けないカナコ。平凡な毎日を送るナオミ。何故、簡単に殺人という選択をしてしまうのかという疑問は残るものの、一見うまく行きそうな計画を陽子に次々看破され最後までドキドキしっぱなしです。李社長の登場する最初の導入から物語に引き込まれます。とてもとても面白かったです。大好き度❤️❤️❤️❤️❤️

  • 最後まで手に汗握る展開でした。

  • ドラマ化もされた奥田英朗さんの小説。
    流れるような文章で、ついつい引き込まれた。共犯者になったくらいの、近しさでよんだ。
    ところどころのキャッチが素敵。
    デパートの外商の仕事や心構えにもなるほどと思った。

  • なんと浅はかな計画!とミステリー本を読む私は思ったけど、それが逆にリアルだったのかも。完全犯罪?!と思えた2人の計画には綻びがあり、陽子がそれを突き詰めていく…ハラハラしながら最後は一気に。でも、DVされても殺しちゃだめよね。ハッピーエンドだったのかあ、、となんだかな。

  • ハラハラドキドキで一気読みでした。
    だんだんと綻びが出てきて、義妹の陽子は鋭く粘り強く追いかけて来て、許されない事をしたはずの2人が逃げ切れるようにハラハラしながら読みました。
    日々耐えるしか方法がなかった加奈子が、自分を救ってくれようと本気で考えてくれる直美に励まされ、どんどん強くなっていく様子に応援すらするようになりました。
    最初はとんだ人だと思っていた中国人女性の朱美さんがいいキャラだった。!

  • オーディオブックにて

  • ドキドキしながら一気読み
    先が気になって読む手が止まりませんでした

  • ハラハラドキドキ

    凶悪犯罪者なのに読み進むにつれて何故か応援したくなる感覚になりました。
    弱い面が目立つかなこが任意同行されてから、人が変わった様に強くなっていく様が、もしかしたらどんでん返しのハッピーエンドもあるのでは、と淡い期待感を持たせてくれたのもあり、最後の最後までハラハラドキドキでとても楽しめました。

    余談ですが
    重箱の隅をつつく様な疑念は捨てて読む事をお勧めします。

  • 親友と夫を殺す話

    義実家の人々が憎たらしくて
    殺人犯サイドの肩を持ちたくなる
    夫を排除した罪悪感は微塵もなく
    それが読後の爽快感に繋がっている
    冷静な状態で練った計画ではないから脇が甘いのが少し心配になったけど最後の小姑との鬼ごっこはハラハラドキドキして一気に読了!面白かった!

  • 大1 ◎

  • 初奥田英朗作品。

    DV夫を殺す完全犯罪。
    読み終わっても、しばらく胸がドキドキしたままでした。自分も一緒に追い詰められたような緊張感や焦燥感がこみ上げてくる。そして、上海へ逃げおおせることを祈っていた。
    そして彼女らの唯一の救いは、DV夫を殺したことへの後悔や恐れがないことです。「心の中に避難場所を作れるようになった」これは、多重人格に結びつく世界(加奈子の歳ではそこまでいかないが)に違いない。そこまで追い込まれていることを、DV夫は理解できない。これは何があっても許されていいわけがない。精神的に支配され、逃げることもできず、黙ったままに過ごす日々。自分を失うことでしか耐えられない世界に。

    二人が追い詰められていく展開がすごい。「わたしにも確固たる意志がある訳じゃない。でも、何か行動しないと、辛くて、辛くて」「自分でも説明がつかない。でも、主な理由はあんたが無抵抗だからだよ。」の直美の科白が私たちの気持ちに木霊する。見ているだけで辛い世界が。そして抜け出せない世界が。

    犯罪計画は、偶然とラッキーでうまくいったようなものだが、その過程で、加奈子がどんどん強くなっていくところは見どころです。自分(直美、お腹の中の子どもも含め)の生存がかかっているからでしょうか。自分を取り戻す選択に、自分をかけたからでしょうか。
    そして、きっと、上海でも(ビザも何もなくても)二人ならやってゆける。そう信じれるエンディングでした。

  • 大学同級生の2人が殺人を犯す。完全犯罪はなりたつのか、と言った切迫感のあるストーリーが軽妙に、しかしスリリングに展開して行く。いいよーいっちゃえーみたいに応援したくなるやら、バレたらどうするのと心配したり、なかなか楽しかった。ありそうで、あまりない軽いけど本格ミステリ。

  • P212
    女にとって車道は弱肉強食の世界に見えた。車を運転したがらない女が多いのは、そこが男社会で、思いやりの気持ちがほとんどないからだ。少しもたついたくらいですぐにクラクションを鳴らす。女が運転していると見ると、露骨に顔をしかめる。きっと大きな鉄の箱を操ることで、男たちの頭の中に全能感でも湧いてくるのだろう。思い返せば自分の父も、ハンドルを握っているときは、ほかの車に対して「この下手くそが」としょっちゅう毒づいていた。これからそんな世界に身を投じるのかと思うと、直美は心底憂鬱になった。

  • 前半ナオミ編、後半カナコ編。
    DVの夫を完全犯罪で「排除」した2人だが、全然完全犯罪じゃなかった。著者の初期の名作「最悪」のワクワク感がよみがえるような名作。

  • 久しぶりに読書の波が来たけど、久しぶりすぎて何から読めばいいか…と思ったときに目に留まった作品がこれでした。
    奥田作品といえば伊良部シリーズの印象だったので軽い気持ちで読み始めたら、DV旦那の殺害からの急展開で、後半はハラハラしながら一気に読みすすめました。

    殺人が最良の選択とはどうしても思えないけど、最後は応援してしまっていました。

  • 続きが気になってぐいぐい読み進めてしまう本。
    DVについて昔調べていたので興味を持った。
    前半、直美の章で出てくる外商の仕事内容も個人的に興味深かった。

  • DV男を排除する手に汗握る話。逃亡のあたりなんてもう。
    朱美と直美のやり取りは痛快だったなあ。
    陽子、もうね。
    ナオミがカナコの被害に執着しすぎるところに理由が欲しかった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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