ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
3.99
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本棚登録 : 2682
感想 : 463
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白い。
    なんとなく吉田修一と同じカテゴリーなのだが、奥田の方が会話とテンポ、人物キャラの細かさは秀でているようだ。ページは圧倒的に軽く、気づかぬうちに畳み掛けられている。それにしても穴だらけのいわば「不完全犯罪」がテーマであって、ここまで犯人サイドにエンパシーを終始向けさせるものは珍しい。二部構成にツイストを仕掛けると予想したがそれもなし。
    このように展開も含め主人公たちと翻弄されることこそ醍醐味にしてくれている。
    途中からのサスペンスはジェットコースター。強くも賢くもない女性たちへの応援が最後までやめることができない。

  • 正反対の性格、全く違う生活を送る友人同士
    親友がDVにあっていたら自分なら何が出来るのか
    仕事でも困難に直面し、親友がDVにあう、秘密が暴かれそうになる
    頭がオーバーヒートしそうな局面で、意外に冷静になる2人
    最後までドキドキしながら読みました。

  • 奥田英朗さんは平均打率が高く、基本詰まらない本が無いイメージです。本作もスリリングな展開で、犯罪を犯したはずの2人を応援しながら読んでいるとあっという間に読み終わります。まずDV男が大っ嫌いなので殺害して頂けて非常にすっきり。そしてその後は予想通り夫の足取りを追う警察や家族との手に汗握るやり取りも熱いです。
    最初はいけ好かないと思っていたキャラクターが、重要な味方になる展開も非常に楽しいです。
    一つ残念なのは都合良すぎる展開が続き後半の息切れが感じられる所です。勢いは良いんですよ勢いは。エンターテイメントはリズムが大事ですから、十分に及第点だと思います。名作映画テルマ&ルイーズを思い出しました。

  • ミステリ読みとしては、最初から’なんて杜撰な!!’としか思えません。あれもこれもとりあえず偶然が作用しただけ。でも実際の犯罪なんてそんなもんなのかもしれないとも思ったり。DV夫は絶対に許せないけれど、逃げるための選択が排除というのにはそもそも共感できないし女のこういう友情もちょっと理解し難い。なのにふと我に返るといつの間にか二人が逃げ切れるようにドキドキしながら祈り読み続けている自分がいました。これは作家さんの力なんでしょうね。ドラマも見ましたがこちらの方が断然好みです。

  • DV夫の暴力に逆らえない加奈子。正義感の強い親友、直美は離婚を勧めるが、復讐される事を恐れて離婚に踏み切れない。となれば夫を排除するしかない。二人で用意周到の殺害計画を練るが…。

    前半、ナオミの章は犯行に及ぶまでで、まあ何とか平静で居られた。ところが、後半のカナコの章は、計画が徐々に綻び、二人がジワジワと追い詰められていく展開で、もう読んでて心臓バクバク。ストーリーにはグイグイ引き込まれたけど、こういう展開は苦手。だいいち体に悪い気がする。

  • ★ページは進む★前半はご都合主義のストーリーだなと思っていたが、後半で追いつめられるための伏線だったことがよく分かる。一気に読めるし、爽快感もある。が、著者のほかの小説と比べるとするっと読めるだけのように感じた。動機のためか。
     そういえばこれはドラマになったんだな。ドラマにするには中国人のキャラも立っていて確かにいいかも。見てはないけれど。

  • 2016年にドラマ化された奥田英朗の原作。

    直美(ドラマでは広末涼子)はデパート外商部のキャリアウーマン。親友の加奈子(内田有紀)はDVに悩む専業主婦。

    ついには共謀して夫殺害し、夫そっくりの不法滞在者の替え玉と、認知症の顧客を使った横領のトリックを仕掛ける。

    しかし夫の妹によりトリックは徐々に崩されていく。果たして2人は逃げきれるのか?

    ドラマと小説ではラストが異なるので、2度楽しめます!

  • かなり出来が悪い

  • 面白かった。

  • 女性の親友同士の逃避行。

    ・ナオミの章
    ・カナコの章

    百貨店の外商部に勤めるナオミは、大学からの親友であるカナコが夫からのDVで悩んでいることを知る。

    ナオミは取引先の強引且つパワフルな中国人の女性経営者に感化され、カナコの夫を殺害することを計画し、カナコとともに実行する。

    狭まる警察や義妹からの包囲網。

    つかまることを恐れ、嘘を重ねていく二人だが、カナコは覚醒していく。

    2人の運命は!?


    警察小説として読んでは駄目です。

    女の特にカナコの覚醒は目を見張るものがありました。

  • 犯行の準備段階からの不安要素が陽子の手によってどんどん露呈していくのは心臓に悪かった。でもそこで加奈子の「自分は絶対に捕まらない」という自信になぜかホッとさせられる。不安な時に自信のある人が周りにいてくれると心強い。もはや共犯者目線。
    無事逃げおおせて良かった…2人ならこれから幸せに生きていけるはず。
    全体の人間関係を見ていて、中国人の仲間感覚についての話が興味深かった。誰を信じるかは自分が決めていい。そこを肯定された気がした。

  • デパート外商のナオミと親友で主婦のカナコ。DV夫の殺人計画を2人で遂行する話し。
    二人がお互いを思いやりながら寄り添っていく様子がよく描かれていた。

  • 外商の直美と主婦の加奈子がDVの加奈子の夫を殺害し彼の失踪を装う。外商のお客や中国人達も彩りで厚さを感じずに読めた。DVシーンがない所為か理由はどうあれ犯罪者という印象が強く、感情移入するより捕まるのを待つような気持ちで読み進めたけれど、義妹から逃げ切られるか否かには思わずハラハラした。二人仲良いなあ。

  • 完璧に見えた計画が、偶然の産物であり、一気に音をたてて崩れていくストーリーにページをめくる手がとまらなかった。

  • 一気読み必死。以前広末涼子と内田有紀でドラマ化。ドラマ見てないけど、原作にマッチしている感じ。

  • 最初から最後までスリリングなストーリー。
    ずっとナオミとカナコを応援して捕まるな捕まるなと思っていた。
    彼女たちは、法律上はもちろん犯罪者で捕まるべきであって罪をつぐなうべきであるのだろう。
    でもある意味、常識にとらわれずに人生いろんな道があるし、それができる方法もあるんだなと思った。(決して殺人、殺人遺棄がOKといってるのではなく)
    自分がコントロールされて、逃げられずいつ死ぬかと震えながら過ごす毎日で正常な判断はできないんだなと改めて思った。
    第三者に相談することは良し悪し必要なんだなと。

    これから、2人が中国に入国できたのか、そして安全に暮らせたのかもわからないけれど、彼女らにはもう一瞬たりとも気の抜ける生活はないのだなと思うと苦しい。

  • えーー!!!!
    逃げたー!!!!
    杜撰すぎてはらはらしたけど、まさかの展開でした。

  • これで完全犯罪なんて無理だろう・・・と思っていたが、そのせいで後半はラストまでドキドキすることになった。

  • カナコがどんどん強くなっていく。ハラハラドキドキの展開。こんなに瞬時に判断できるのかな?と思う展開、こういう全能感や覚醒された感覚、手に入れたくなる。

  • 奥田さんは女性を描くのが上手い。
    女性の心がどうして分かるのだろう…?

  • 完全犯罪を目指していた割に見落としが多くてイライラした。だからこそ最後までハラハラしながら読めるのが良いのかもしれないが。

  • 久しぶりの奥田英朗。やっぱりテンポの良い展開。あれ?これは少し甘い作戦などはあとでしっかり訂正してくれたり。最後の逃走シーンは素晴らしい。

  • 爽快な読書体験だった。読み終えたときは息をするのも忘れてしまうぐらい、そしてそれが心地よく感じてしまうような感覚を覚える。何を言っているのだろうか?分らないけれど、それぐらい爽快な一冊だった。まるで青春小説の読後のような感想だが、内容はむしろDV夫をぶっ殺し、その殺人計画の脆さが露呈していき、じりしりと追い詰められていくという暗澹たる内容だ。しかし彼女達は人を一人殺めてしまっても、後悔はしていない。そして追い詰められていこうが、最後はそんな最悪な状況だからこそ、自分達の強さを取り戻し人間らしく生きていく。こんな道理は現実世界では通るはずがない、しかしこれはあくまで小説の中なのだ、正義なんてものはすっこんでおけ、俺は応援したい人間を応援する。そして俺だってこの世界で追い詰められてしまったらどこへでも逃げて、逃げて、あがいてやる。そんな人間の傲慢さ、強さ、意地汚さを見せつけてくれる1冊だった。

  • DV。
    考えて犯罪をおかしても、
    結局は奇跡に救われていた部分がボロボロ出てくる所が逆にリアル。
    エンターテイメントとしては、
    もう少し救いが欲しい。

  • ドラマを観ていたが、改めて原作を読む。

    ドラマとはちがう展開の部分もあったけれど、読んでいる最中の緊迫感がこの上なかった。

    女友達の今後が気になることと、陽子さんの勘が恐ろし。

  • 最後までハラハラした。
    陽子の執拗さに苛立ち、怖さもあり、ナオミとカナコの逃げ道をつい一緒に探そうとしてしまった。

  • 奥田さんのエッセイをいくつも読んでいるから、どういう風に作品を書いてるかとか、どんな人柄かとか、思い浮かべながら読んで、いかにも奥田さんらしいなあと思えた。導入からすぐ展開があって、途中、これじゃあなあ、と思ってたら、やっぱり危なっかしい状況が出てきて、ああ、やっぱり、でも、最後、はあ、そんなところで終わっちゃうんだっていう、ところがね。すっきりした終わり方じゃないんだけど、でも、充分ハラハラさせて楽しませてくれた。奥田さん作品、いい感じに脱力して読める。やっぱり好きだなあ。

  • DV夫を持つ女性と親友の話。全体的に不穏な空気があって、中盤まで読むスピードが上がらなかった。サスペンスは好きだけど、これは好きじゃないな。

  • DVを受けた妻の完全犯罪と女の友情物語。
    いゃまあ、こうしますか、奥田英郎は。

  • 【あらすじ】
    二人は運命を共にし、男を一人殺すことにした。
    「わたしたちは親友で、共犯者」

    復讐か、サバイバルか、自己実現か——。
    前代未聞の殺人劇が、今、動き始める。

    望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。
    夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。
    三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に
    追いつめられた二人が下した究極の選択……。
    「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」

    すべては、泥沼の日常を抜け出して、人生を取り戻すため。
    わたしたちは、絶対に捕まらない——。

    ナオミとカナコの祈りにも似た決断に、やがて読者も二人の〈共犯者〉になる。
    比類なき“奥田ワールド"全開! 待望の犯罪サスペンス長篇!!

    【感想】
    現実でDVに苦しめられている人がこの本を読んだらどんな風に思うんだろうな、と読み終えた最初に一瞬、そんなことが頭の中をよぎった。この物語は親友を守るため、そして自分を守るための、文字通り命懸けの戦いだ。頭脳を駆使し、時には身を粉にし、二人でいろいろなものを欺いた。すごいとしか言いようがない執念だと思った。これは、女であるからなのか、それとも友情からくるものなのか、それか、もうここまできたらやるしかないという決意の表れだったのかー。とにかく二人のやることはすごいを超えて凄まじかった。でも、それが見ていてハラハラドキドキして、読み進めるのが楽しかった。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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