解夏 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 2736
感想 : 373
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  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344404649

感想・レビュー・書評

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  • とても好きな本。徐々に視力を侵されいずれは失明する病を患いながら、残された時間を仏教の「行」に例え、故郷の景色を己の中に刻もうとする表題作は、視力を完全に失うラストシーンを決して饒舌な文章ではないのにあれほど美しく書き切ったのは見事の一言。また解説で重松清氏も引用した「大好きだった祖母は死んだ後この樹のどこかに住まわせてもらっていることにしよう、と思ったとたん隆之は自分が救われたような気がしたのだった。」をはじめ、所々見えるさだまさし氏の生死感や人への暖かな眼差しが心地良いです。全4編の短編集ですが、どの話も珠玉の出来栄えなのでぜひ読んでほしい。

  • 表題作の「解夏」がとても印象に残りました。目が見えなくなる恐怖を想像するだけで不安な気持ちが強くなります。一番辛いのは主人公だと思いますが、主人公の母親の気持ちを想像すると胸が痛いです。生まれる前から大切に育て、同じ時間を過ごしてきた我が子の目が見えなくなる。描かれてはいませんが、どうしてあげることもできないという気持ちの葛藤があったのではないでしょうか。
    この物語を読んで、私たちはたくさんのことを知り、想像する力をつけて行かなければならないと強く思いました。良い読書時間でした。

  • 著者は誰でも作風というか、語りの特徴というものがある訳だが、さだまさし氏の場合はそれが強すぎる様に思う…

    ただし、そうであっても、読者が本を閉じずに、最後まで読み進めさせるだけの力を感じるし、お決まりの“感動的終局”になると分かっていても、彼のテーマ選びのセンスが素晴らしいからか、その展開に身を委ねたくなってしまう…



  • 「解夏」が終わったところで短編集だと気付き、一旦休憩。

  • 同じ病気の為に読んでみた、短編集だったのね、なんか物足りたりなかった感はあるが、小説版、ドラマ版、映画版、それぞれに感慨深い部分がある。
    それ言うとドラマ版や映画版の脚本、演出はとても良かったのだなあ、と思う。

  • 短編集、どれも泣ける

  • 文章のいたるところで、「好奇心が試される」

    今の自分にとても寄り添うな、さださんの本。
    縁を感じる。

    最後の一文「解夏であった」

    とてもとても染み入った。

  • 故郷とのいろんな関わり。
    表現や感情が優しくて温かくじんわりと感動した。

    ダムに沈んだ故郷との対面なんて想像出来ないけど、どんなに切ないことだろうか。
    それでもそこに住んでいた人ごと沈んだわけでなく、人々はその人の人生をそれぞれ歩んでいるのか。

    解説も重松清で良かったと思う。

  • 失明宣告されるということ。
    「失明した瞬間に、その恐怖からは解放される」

  • 普段あまり短編小説は読まない。物足りなさを感じてしまうからね。でも、本屋でたまたま手にして、短編小説と知らずに買ったさだまさしのこの本はとても良かった。

    どの話も登場人物たちの家族や夫婦、人生や運命などについて、悲しいような、ハッピーなような、胸が熱くなる話だった。本のタイトルにもなっている解夏以外が結構良かった。

    さだまさしはいいね。

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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