- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393332658
感想・レビュー・書評
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17歳向けの書籍であるが、自分の価値観を見直すという意味では、今の大人にこそ読んでもらいたい内容だ。
どういう経緯で今という世界が出来上がっているのかを知ることは本当に重要だと思う。
世界の分断は宗教の歴史でもある。
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教。
これらが入り混じって今の世界をを形成しているのは間違いない。
ヨーロッパの歴史も本当に面白い。
一方で、アジア世界はどうか。
仏教はどういう経緯で中国経由で日本に伝えられてきたのか。
インド仏教と日本の仏教の考え方の違いと、日本独自に発展していく中での宗派ごとの特徴も。
そもそも「日本を知る」ということは、日本人として本当に重要だと思う。
日本という国がどういう経緯で形作られて、今に至っているのか。
というか、我々は自分自身の背景を知らな過ぎる。
私という存在は、生まれた時から私自身かもしれないが、実はその背後には今の社会を作ってきた歴史があるということなのだ。
社会の構造に留まらず、文化だったり、価値観だったりも含めてのことだ。
まず自分の背景にある価値観を知る。
そして他者の価値観も理解する。
これは特に自分以外の外国人に対しては、必要なことだと思う。
だからこそ、若い内にドンドンと旅をしなければいけない。
広く世界を見なければいけないのだ。
もちろん大人になっても、世界を学習する必要がある。
特に国際情勢は益々複雑化している。
それはなぜ起こっているのか。どういう背景で起きているのか。
歴史を学び続け、他者を理解しようとする姿勢が、世界を少しづつでも平和にしていくだろう。
本書冒頭で、著者が価値観の違いを認識するエピソードが出てくる。
この話は本当に示唆に富む。
盲目の著者の叔父が、デパートの前まで来た時に「風鈴の音が聞こえる」と言ったのだという。
当然周囲に風鈴なんてない。しかし、著者と一緒にデパートの5階に上がって、エレベータの扉が開いたら、目の前が風鈴フェアだった。
それで著者はものすごくビックリしたのだというエピソードだ。
こんな体験したら「目の見えない人たちには、一体何が見えているのだろうか?」が気になってしょうがないはずだ。
この叔父は、生まれた時から盲目の方で、人生の途中から目が見えなくなった訳ではないらしい。
だからこそ、我々が見ている世界とは全く異なる世界線がこの叔父の中には形作られている。
自分だけが見えている世界が全てではないと知ることはものすごく重要だ。
人それぞれに見える世界は違う。
その範囲も解像度も、そして色すらも異なるのだ。
自分だけの小さな価値観が全てだと留まってはいけない。
人々は「物事を見る力」を養わなければいけない。
一つの価値観が全てだと思うことこそ、危険なことはない。
常に新しい考え方を柔軟に取り入れて、価値観をアップデートしていく。
特にこれから変化の激しい時代において、この考え方はすごく重要だと思う。
大人こそ意識する必要があると感じるのだ。
(2024/1/21日)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キヤノンは観音から。
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海外留学に行く前に読んでほしいです!もちろん、大人にも。異文化を知ることは、コミュニケーションにとってとても重要なことで、英語を話せることよりも、重要だって思います。異文化に触れることが、旅したい理由になってるんじゃないかな。
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著者(せいごー先生)がとても面白いです。話の内容がとても練られていて、理解しやすく、面白くてすいすい読んでしまいました。割と日本に立脚しながら、世界との違いがどこから生まれるのか、それは主に宗教ではありますが、世界・社会・歴史をしっかり学び、観て、考えることの重要性を学生に語り掛ける文体で、よくぞここまでわかりやすく面白く講義できるものだと、先生の力量に感服しました。
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2023.07.19 品川読書会オフで紹介を受ける。
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世界史を勉強していないとチンプンカンプンな話がガンガン出てくる。日本にたどり着くまでが長い…
世界が随分近く感じられるようになった今、日本人として知っておきたいこと、感じるべきことがざっくり書かれているのは魅力的だ。 -
父に勧められてたものの、大人になってやっと読んだ一冊。大人になっても共通点、相違点、関係から見る世界はとても魅力的だった。
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うーん。世界史と日本史を一気に頭に詰め込まれたような感覚。
あまり内容覚えてない。。教科書っぽかったから、、?
心が動く箇所も少なかった。
「ふーん」、「へー」というような感じで、、 -
<感想>
人類の歴史を神話や宗教の観点から説いている本。いわゆる歴史の本は戦争や文明の発達といった観点から描かれることが多い。本書では神話・宗教・文化といった共同体への影響から歴史を捉えていると感じた。イベント単位で説明されることが多い歴史本と比較して、因果関係(過去にああだったから、今こうなっている)があり、徐々に影響・変化していく宗教・文化の話はとても面白かった。
<アンダーライン>
★情報というものは区別しなければ見えてこないんです。区別できていないものは、漠然として情報にならないんですね。もしここにいる150人の諸君を私が区別できなかったとしたら、私にとって諸君は情報にはならない。烏合の衆である。
★生命とは何かというと、一言で答えるとすると「情報である」
★人間の三つの脳
★進化の途中のまま止まってしまった「ワニの脳」が残っているんです。さらにその上に「ネズミの脳」があって、それも発展途中のまま組み込まれてしまい、その上にやっと「ヒトの脳」というものが発達してきたんですね。
★「ワニの脳」というのは反射脳のことで、大脳基底核のあたりにあってR複合体などとも呼ばれています。動物の激しい行動を司っているところです。
★ネズミの脳」は情動脳ともいわれて、哺乳動物に共通するもので、大脳辺縁系というところにあります。何が有利だとか、何が快感になるかを司っています。
★いわゆる「ヒトの脳」が理性脳に当たります。言葉や音楽を理解する大脳皮質の部分です。
★「ワニの脳」というのは残忍な脳で、人をやっつけたい、攻撃したいという本能を人間にもたらしています。「ネズミの脳」はずるがしこく、狡猾です。自分だけは得したい、ずるく立ち回りたいという考えをもたらす脳です。ヒトはこれらの残忍な脳と狡猾な脳を、進化途中で充分に処理しきらないまま残して、その上に理性的な「ヒトの脳」をつくっていったわけです。
★★★ヒトが何とか理性の脳を維持し続けようとするところから、宗教が誕生してきます。仏教では「煩悩を断ちなさい」ということを教えていますが、これはまさに、「ワニの脳」と「ネズミの脳」を抑えなさいということですね。
★存在というのはそういうものなんだな、いなくなるということを前提に存在しているんだな
★★★★★(受苦(パッシブ))自分が苦しい思いをしたり困難に出会った時に、自分が不運であるとか損をしたと考えるのではなく、その苦難によって何か聖なるものを受け継いでいるのかもしれないと考えるわけですね。
★★多くの宗教では、どこかで「悪」の絶対性をつくっておく必要があったんです。「善」を否定する「悪」というものを絶対化しておくのです。なぜ、そんなことをしたのでしょう?それは神を絶対化したからです。だったら悪も絶対化して、絶対悪をつくっておく必要があったんです。
★★★★★「善」というものは「悪」があることによって、それに対するものとしてしか名指しできなからです。
★★★神の姿は目には見えないにもかかわらず、悪はつねにリアルなものです。
★★★キリスト教にあっては「悪」やアンチキリストを恐ろしいイメージすればするほど、その「悪」を退けてくれる「善」なる神の力がいっそう強調されるというわけで、神像を描かないキリスト教においても、「悪魔」のほうは非常に具体的な描き方をしていくことになります。
★★マリアのカウンター・イメージとして使われたのが、「魔女」
★★★★キリスト教的にいえば、このような好奇心というか知の探究精神そのものが、たいへんに異教徒的だったわけです。
★★★あえてそこに「負」をつくることによって、新しい「正」が見えてくるようにする方法です。
★★芝居小屋も遊郭も、漂泊の民を定住させるためにつくった、幕府の管理システムのひとつだったわけです。 -
17歳といわず大学生でも社会人でもお母さんお父さんでもおじいさんおばあさんでも読んで欲しい一冊。