考えてるつもり ――「状況」に流されまくる人たちの心理学

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478015940

感想・レビュー・書評

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  • 本書では「状況」が人々に与える影響について、
    「見たまんまのちから」「匿名のちから」「集団のちから」「比較のちから」「期待のちから」「慣れのちから」「分類のちから」と、
    様々な角度から丁寧に、時折ユーモアを交えながら解説されている。
    この「状況」が持っている力について知ることで、人間の心理の動き方が理解できる。
    とても読みやすかった。

    思考停止していないと思っていても、しているのだ。
    ほとんどの人がそうだ。私もそうだ。
    「考えてるつもり」でも考えが及んでいない部分、そのひとつが「状況」だ。
    でも、状況がもつ力を知ることで、知らなかった頃とは別の対応ができる余白が生まれ得る。



    「お粗末な政治決断に軍の残虐行為、そして大量殺人。私たちは、そのような行動を異常なパーソナリティのせいにし、一部の腐ったリンゴの仕業だと切りすてる。しかし、それでは"見たまんま"の罠に陥ってしまい、状況の力や組織の影響について考える義務を怠ってしまう。」p.93

    「人間が周囲に同調する傾向の影響力と、その社会的影響力が潜在的に秘めた愚かさや非情さを、リーダーが本気で利用しようと決めた時、いったいどんなことが起きるのだろうか?」p.119

    「目にする回数の多さは好意を生む強力な要因なのである。」p.125

    「社会的カテゴリーが存在しないふりをするのがよいわけではない。(中略)問題を解決するどころか、かえってべつの問題を引き起こしてしまう。(中略)差別がいつも憎しみから生まれると考えることが単純化しすぎであるように、そもそも集団の違いに気づかないふりをすれば偏見を避けられると考えるのは、あまりに子どもっぽい。」p.275

  • 私には難しすました。
    また、大人になったら読みたいです。

  • リバプール38、そんな、事件があったのか。
    イギリスでの残酷な事件。
    状況が左右した、もっとどうにか出来たんじゃないかと感じた。

  • 考えるより、状況に流されていることが多いことを認識すること。
    相手の身になって考える。

    周りに人がいると責任を放棄する=状況に従っているだけ。
    行動を起こさないという慣性の法則は多くの人と一緒にいるときのほうが強く作用する。

    深刻な話をしながらも、ウエイブをする=状況を裏切らないよう努力する。
    他人が間違った答えを言い続けると、それに同調したくなる。

    本当の自分、は存在しない=20個の「私は~」を書き出して、違う状況でまた行うと、答えは重ならない。状況が違えば違う人間になる。

    男の子か女の子か、を判断するのは洋服などの状況による。

    物理的な近さ、は親しみの原因、見覚えがあるほうが恋に発展しやすい、など。状況に影響されている。

  • 2016/05/03

    状況で変わる!

  • 人間というのはいかに偏見があり、状況に流されて判断しているか。

    自分だけは違う、というのがいかに間違っているかがよくわかります。

    非常にウィットに富んだ文章で読みやすいです。

    この本で伝えたかったのは人間の意志の脆弱さではなく以下の文章に集約されている。

    「自分が偏見を持つ存在だと認めることで、潜在的なものを顕在化させ、ひっそりと潜む先入観の力を削ぐのである」(本文引用)

    とても面白かったです。おすすめです。

  • 筆者は「人間は自分で思うほど主体的な存在ではない。周囲の世界はつねに私たちに影響を与え、考えを色づけ、行動を導いている」つまり、私たちは状況に長されながら生きている。
    社会が自分と違った方向に流れているとうすうす気が付いていても、それについて行動を起こさない。状況にながされている方が楽なのだ。怖い話である。

  • 心理学の実験結果を豊富に引用し、状況の力にあえて目を向けず「見たまんま」を原因と捉えようとする性質を明らかにしている。本書で引用される実験は、「授業中、質問の時間に誰も手を挙げない」「グループ全体に連絡を一斉送信すると、レスポンスが少ない」といった、あるある!とうなずいてしまうようなものが多く、それらの原因を心理学的見地から説明している点が、非常に面白いと感じた。

  • 状況が大事であることは理解できた

  • 第五章、男女差の項など特に興味深い。数学テストで水着を着て受けると、得点は男性の方が高いが、セーターを着て受けると差がなくなるという例など、社会的、環境的に置かれている状況、それもリアルタイムなものに人間の思考や振る舞いが影響されるという説明は、他の心理学の本ではなかなか見ない記述スタイルで面白い。扱っているテーマ自体はどれも有名だが、それを「魅せる」書き方がうまいと感じた。

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