現代語訳 学問のすすめ (ちくま新書)

  • 筑摩書房
4.10
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感想 : 672
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480064707

感想・レビュー・書評

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  • 1.論語と算盤とセットで読んだ方が良いと友人から言われたので、読むことにしました。

    2.なぜ学問をしなければならないのか?という疑問に答え、国に所属している人間として、どのようにして生きていかなければならないのかが書かれています。
    学問は読書をするだけ、文字を読み書きするだけでは意味はなく、読書を通じて判断力を高め、議論し、実生活に影響を与えてこそ初めて「学問をした」ということができます。ですが、それができる人が少なくなっており、評論家気取りで何も生み出さない人が増えてしまった現代にも通ずるところがあります。
    本書では、学問とは何なのか、人生を豊かにするために、社会を豊かにするためにはどうしたらいいのかが書かれています。

    3.「勇気とは、ただ読書をして得られるものではない。読書は学問の技術で会って、学問は物事をなすための技術に過ぎない。実地の経験を得なければ勇気は生まれない」という言葉がとても刺さりました。引っ込み思案の私は、自信をつけてから挑戦するというやり方にこだわっていましたが、これは怖がっているからにほかならなういのです。場数を踏んだ数だけ自信が高まるし、失敗の数だけ本当の意味で成長をすることができません。今年の私は「動く」ということをテーマにしているため、本書に背中を押してもらえました。この調子で走り続けていきます。

  • なんで今まで読まなかったんだろう。
    この一言に尽きます。
    過去に書かれた内容なのに今に通ずるものがあり、遠い未来でも通用するのではないでしょうか。
    自立した人、そうした人々の代表である政府、全体としての国。すべては一個人に依るのであり、今の政府は今の国民の写し鏡である。ということ。
    学び方、国のあり方、コミュニケーションなど今日必要な内容がこもった一冊だと感じました。

  • 新鮮な驚きが詰まっている一冊でした。
    「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
    誰でも知ってるこの一文ではじまる「学問のすすめ」。
    著者は慶応義塾の創始者である福沢諭吉でありますが
    この人だてに一万円札の肖像はってません。

    確かに、理想論や極論に感じるところや、ちょっぴり苦笑してしまうところもあったけど
    21世紀も10年以上過ぎた今読んでも、全然普通に受け止められて納得できるはなしがいっぱい。
    幕末、明治維新と激動の世を体験しているとはいえ、明治の時代にこんな教えを説いていたとは、すごい革新的で想像力のある人だったんだなぁ。
    歯に衣を着せぬ物言いで、バッサバッサと一刀両断していくけど
    すごく柔軟で本質を突く観察眼のあることがよく分かります。

    この本もっと学校の教科書とかで使えばいいのに。
    でも、子供のころ読んでも今ほどは響かなかったかな。
    大人になってからのほうが素直に読めるかもしれません。

    • moti0314さん
      学校の教科書で使えばいいのにという感想に共感しました。
      学校の教科書で使えばいいのにという感想に共感しました。
      2021/06/30
  • 変なビジネス書読むなら、大人しくこれ読んで下さい。

  • キーワード: 実学、学問、怨望、品格、人望、判断力

    今回この本を読んで「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な言葉の意味を初めて理解した。人は生まれた時点では基本的に平等だが、その後の過ごし方で優劣が決まってくる。この優劣は人間的な意味ではなく、社会的な意味での優劣。そしてこの社会的な成長を促すために必要なのが様々な学問。
    まず「実学」が重要だと言っている。

    福澤諭吉の言う「実学」というのは、実生活で役に立つ学問。文字の読み書き、簿記などの生活していくうえで助けとなる知識のこと。これらは初歩的なことで、人生を自由に生きていくには、歴史、宗教、地政学などを学ぶべきだとという。
    (これらはリベラルアーツを学ぶという認識でいいのだろうか。)
    これらを学ぶことによって判断力が磨かれ、人生において大事な選択が迫られたときに懸命な判断ができるのだろう。

    次に「怨望」が人間にとって唯一の欠点だという。常に不平不満を抱き自分に害を与えるならまだしも、他人にまで害を及ぼす。ここで重要なのは「自由」という言葉の意味をしっかり理解すること。自分のやりたいことは好きにやっていいが、他人に危害を加えることは決してやってはいけない。

    「品格」についての要点は「物事のようすを比較して、上を目指して、決して自己満足しないようにすること」と言っている。ここで重要なのは比較する対象を間違えてはいけないということ。高みを目指すのなら、個々のあれこれを比較するのではなく古今の人物を広くみることが大事だという。
    「きちんと生活し勉強するのは人間として当然のこと。ほめるほどの事ではない」という。

    「人望」については、他人のやっていることに対しただ批判するだけでは尊敬に値しない。それならば自分が実際にやってみるか、それがどれだけ重要なのか、難易度はどれくらいなのかを知ってうえで建設的な批判をするのなら尊敬に値する。このようなことを言っていてとても身に染みた。
    また、人望を獲得するためには自分の軸、道徳心、見た目の印象(言語や表現)や交際の幅(いろいろなことに関心を持ち、多方面に人と接する)が重要だという。

    • moti0314さん
      まとめ方上手いですね
      まとめ方上手いですね
      2021/06/06
  • 「天は人の上に人を作らず、人の下に人を造らず」で始まる「学問のすすめ」の現代語訳。この本は1872年~1880年の9年間で計17編の分冊が70万冊も売れた大ベストセラー。当時の日本はどのようにすれば国や個人が独立し、植民地化を防いで近代化できるのか、皆で考えなければならない状況にあった。(あとがきより引用)

    (印象に残った箇所)
    ・「一身独立して一国独立する(個人の独立があって国も独立する)
    >まずは自分自身が独立するようにつとめ、余力があったら、他人の独立を助ける。これによって一国を豊かにすることができれば、西洋人の力など恐れるに足りない。道理がある相手とは交際し、道理がない相手はこれを打ち払うまでのこと。」

    ・忠臣蔵四十七士の敵討ち>「乱暴人の私裁」とバッサリ。

    ・正しい自己アピールの方法
    1.言葉遣い>より多くの言葉を使って簡潔に説明する。
    2.表情>笑顔
    3.関心をさまざまにもち、多方面で人と接する・・・。
    「人間のくせに、人間を毛嫌いするのはよろしくない。」

  • 「天は人の上に~」の言葉がなぜ学問の大切さと結びつくか知っている人が現代にどれほどいるのだろうか?
    他の方のレビューにもあるとおり、中高生の国語の教科書にして3年くらいかけて深く学んで欲しい本。(自分が、この時期にこの本に書かれていることが分かってれば人生違ったかもと思う)
    明治時代にかかれたのに、まるで現代人に向けて書かれたかのような内容である。これは、明治時代から、現代で変わったことは、生活スタイルや制度であって、日本人の本質、気質みたいなことは変わっていないことを示しているのかもしれない。つまり、現状を変えるには、この日本人の気質(歴史から学ばない、モノに支配されやすいなど)を変えることが必要なのである。
    近年、思考しない人が増えたといわれるが、思考するために学問(教養や知識)が必要なのである。つまり、学問がない人が増えたということである。これは大学全入時代といわれる現代において考えさせられることではないだろうか?
    本著を、日本人全員が読むことで、学問の大切さを理解している人物が増えて欲しいと思う。それを理解したうえでそれでも勉強(テストの点をとるという意味に限らず)しないというなら、それで収入などに差が生じても不満は生じないのではないだろうか。
    本著からは、そんなことを考えさせられた。

  • 難しいけどわかりやすい

    想像力があまりないのでじっくり読みながら考えることが大変でした。

    解説をよんでようやく理解しやすくなりました。

    竹を割ったような性格の福澤諭吉さんは好きだなと思いました。

    男女平等について語られた部分では勇気づけられました。

    また、時代が違うので理解できない部分もありましたが、大方今に通じるような本質が書かれていてすごいなと思いました。

    次は福翁自伝を読みたいです。

  • いつか読みたいとずっと積読していた本。
    好きな斎藤先生が現代訳しているし、知っておきたい本だと思っていたが、古典だしとっかかりにくそうということで中々手が伸びなかった本。
    古典だしとイメージで置いておくにはもったいないほどの実用本ですね。

    妾制度に反対だったんだな。女性の権利について、男性の方々へよく考えるようにと書いてある。
    同じことを女性がしていて問題なければ、何も言うまい。←家長制で男尊女卑の時代にすごいな。

    封建制度から明治維新の激動の時代。世のルールががらりと変わる時代の中でなんてカラリと合理的。
    レビューや斎藤先生の評にもありましたが、サバサバと合理的。
    今読んでも納得することが多く、私達が生活している価値観はこんな時代から培われていたものなんだなと感じた。近代日本の礎。
    江戸時代から明治時代に移行する時代の流れも感じられ、大変革の時代だなと。年号の羅列だけではあまり感じられないが、その時代を生きていたら感じるイデオロギーはどんなものだったのか。
    切り捨て御免なんて凄いよな。
    政府と人民が対等の考え方。幕府の時代は御上様。

    気になる章から読み始めているが、さっぱりとした人柄で一万円だから好きだった福沢諭吉だけれども、読了する頃には一万円の人だけでない感想が味わえそう。


    読書再開
    長い年月支配され続けていた日本国民の気風から明治維新を成し遂げ、各国列強と肩を並べるくらいに国の枠が変革するなど、奇跡としか言えないなと思った。
    現在のようにインターネットやテレビもなく、情報を伝える手段もアナログな時代に、今の日本の礎が造られたと思うと、なんて偉大な先人達なのか。

    忠臣蔵を私刑として、バッサリ切っているのも面白い。

    文中にいまわれわれが古人を尊敬するように、そのときの人たちがわれわれの恩恵を感謝するようになっていなくてはならないと書かれていたが、
    今読んでも思想に共感できこの本が100年前に書かれているなんて信じられなかった。
    およそ100年以上に渡って影響を与え続ける福沢諭吉の考え方。
    中で、福沢諭吉も西洋文明の歴史の最初から17世紀までを読んで、その後19世紀まで読んでみれば時代の進歩に驚くであろう。→そこから更に100年以上先の令和の時代なんて想像も出来なかったと思うけど、そんな生活環境や国のあり方も大きく変わって行く中で、今尚刺激を受けられるこの本ってとてもエネルギッシュだなと思った。

  • 福沢諭吉さんの人柄はよくわからないですが、脱亜論だったりまあまあ過激な感じ好きです。
    赤穂浪士の討ち入り批判とか、なかなかできないでしょう

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著者プロフィール

1835~1901年。

「2024年 『福澤諭吉 教育論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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