- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480421746
感想・レビュー・書評
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衝撃的な展開があるわけでもなく
心に突き刺さるような言葉があるわけではないが
この本を読んでいる数時間
スッと知らない街に招かれて
読み終えた後にはサラッと現実に戻してくれる
気持ちのいい後味の良さ
まるでつむじ風みたいだったなぁ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごい不思議な感じがする本だった。すごく好き。どんなジャンル?って聞かれても答えられない。通っているカフェの本棚でたまたま見つけて通っている中で何回かにわけて読んでた。そのカフェにはこの本を読みに行っているような感じだった。すごい私好みの本。
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月舟町にある月舟アパートメントの屋根裏に住む通称雨降り先生を中心に、古本屋の主人デニーロ親方、読書家である果物屋の青年、謎多き帽子屋の桜田さん、駆け出しの舞台女優・奈々津さんなど、つむじ風食堂に集う人々が紡ぐ、温かく少し不思議な物語。
取り立てて大きな事件は起こらない、終始穏やかな小説。描かれているのはたくさんの日々に埋もれそうな些細な一日の出来事だけど、話の流れが何だか不思議だったり、哲学的な言葉や思想が紛れていたり…淡いのにぴんと張りつめているような空気もある、独特な読み心地だった。
時折挟み込まれる、手品師のお父さんのエピソードがおもしろく、そのおもしろいところが切ないという、これまた独特な感じ。
これは文章の雰囲気によるものなのか、それとも内容やエピソードの組み込み方によるものなのか。
両方、かな。
怖くない寓話というか、穏やかな中に色んな教訓が隠されているような。
うまく言えないけれど(笑)癒やされながら読んだのに妙に心に残った。
既に映画化もされているらしいからそれも気になる。 -
使いこまれたシルバーのカトラリーや、きちんと繕われたツイードのコートを(勝手に)連想させる、ていねいに綴られた物語。抽象的な話題が、ゆるやかに成立する空気が好き。情報過多な日々、時にはつむじ風食堂に集う人々みたいにあったかくてのんきな哲学したいなあ。
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2015.6.28に閉店してしまったくすみ書房さんで閉店前日に購入した本のうちの一冊。
本の内容とは違うけどちょっと本屋さんの感想。
くすみ書房さんは、すみずみから経営している人がいかに本が大好きなのかが伝わってくる、本当にすばらしい本屋さんでした。見て回っているうちにどうしてこういう本屋さんがなくなってしまうのかやるせなくて涙がでそうになるくらい。
そこで特設コーナーをおいて紹介されていたのが筑摩書房の本。その中でもひときわ美しい装丁のこの文庫本を、二度と来ることが叶わない本屋さんの形見にと購入しました。
本の内容はある街と、ある物書きの男性を中心とした淡々としながらも一つ一つ美しいお話。
白い皿、オレンジ、星の本、人工降雨、果物屋の青年、手品、エスプレーソ、クロケット。どれも骨董みたいに美しくて滑らかな文章は読んでて心地よさを感じました。文庫なのに凝ったつくりになってて洒落てるのに童話のような優しさがある本。大切にしたい。 -
「種も仕掛けもございません。」ーあるじの心意気の食堂、お父さんの手品、ドーナツカウンターの喫茶タブラ、夜更けの果物屋さん、どれもあったらいいなぁ。幻想的で哲学的でしみじみとした、読むヒーリング音楽のよう。 三部作となってるそうでそちらも楽しみ。