女が読む太宰治 (ちくまプリマー新書 109)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 209
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480688125

感想・レビュー・書評

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  • 山崎ナオコーラの文章が結構好きかもしれないと思った。
    それに彼女がレビューを書いていた「駆け込み訴え」大好き。


    「はいはい、申し送れました」の下りは私もぞっとした。
    この時のユダの気持ち、なんかとってもよく解ってしまうんだ。
    大好きで大好きで、それゆえに何だかどうしたらいいか解らない。
    この気持ちがどうにもならない。苦しい、ただ苦しい。
    そして最後に見るぞっとするくらいの人間っぽさ。
    たまらんねえ。黒くて汚い感じが、たまらんよ。

    山崎ナオコーラとの見解はちょっと違ったけど、やっぱ好きだ。



    それから平ら安寿子の文章も良かったなあ。


    「心の芯をぎゅっとつかまれて、凄いエクスタシーだ。」
    「そのことが恥ずかしい、口惜しい、それなのに忘れられない。」
    「セクシーなことなんてひとつも書いてない『女生徒』で官能直撃、悪い人だ。」


    私の気持ちを代弁してくれてありがとうございます!!!笑



    太宰の小説って、別に情事について細かく説明されている訳じゃやないのさ。
    なのに、なのに、なぜかものすごい色気を感じてしまう。
    とりあえず、良いです。


    これから太宰を読もうとしている人にも
    何から読もうか決めるのにオススメです。

  • サトエリの寄稿はちょいがっくし。「眉山」「千代女」は読もう。
    今まで読んだ太宰では「斜陽」が一番好きだし、戦後の作品のほうがメジャーでその後の顛末を知ってるからイメージしやすいけど、戦前の作品もちゃんと読み直そう。

  • 太宰は絶望や反逆や苦悩の中で最終的に自殺を選んだが、でも絶対に感謝があった人であると思う。
    恥ずかしさを胸に抱いて、それでも生きてる自分を確かめながら、その有難さを筆に込めていたのではないだろうか。
    太宰は精神医学の世界でしばしば取り上げられる症例。自分は特別にすぐれた人と万能感を持ったかと思うと、次の瞬間には自分は最悪の人間と落ち込み、安定したペースで仕事を続ける友人などに嫉妬の環状を思える。自嘲的に見せつつ、太宰が実は芥川賞などの社会的な評価に固執しする。

  • 女性作家12人が編集部に依頼されて書いた「太宰治について」。全く読んだことのない人から、太田治子さんまで、という、多彩といえば多彩(安易とも言う?)な人選。で、読んだ感想は・・・う〜〜ん、やっぱりちょっと太宰に関する温度差がありすぎて微妙かな。皆さん、一癖も二癖もある作家さんたちだから、他の人とは違う角度から攻めたい、といったような「書く姿勢」が太宰に対する思いを超えてたみたいで。初めて読んで、好きでも嫌いでも、へぇ〜〜〜と思った感想でも面白かったと思うんだけど、きっとそうは言いたくないんだね・・・。太宰治は、青春の書と言われるくらいだから、大人になって初めて読むと、すとんと入り込めないものがあるんじゃないかな。ただ、平安寿子さんが中二のころに読まれたという「女生徒」に関する感想がよかったんですよ。私もちょうどそのころ読んで、「人間失格」ほどの驚きはなかったけれど、やはり、あぁ、これは私だ!と思ったことを思い出してね・・・。以下、ちょっと長くなりますが、まんま、引用します。“作中の女生徒は、読書の影響でえらくなった気になって他者を見下す傲慢さを、言葉で把握している。なのに私は自覚できてなかった。それがショックだった。わたしは自分が思っているほど利口じゃないんだ。「女生徒」の主人公は、わたしの肥大した自意識が持っていた、根拠のない高慢を暴き出した。それだけでなく、知的レベルでわたしを負かした。”平さん〜〜〜!!! 上手いよぉ〜〜〜!将来プロの作家さんになった人と、今現在一主婦の私の中学時代を比べるのも比べるのも変な話だけど、私は、ただ、あ、私と似てる!しかも、その自意識の強さがイヤな奴だなぁ、と思っただけなんだもの。まさに、言葉で自分を把握されていた平さんに、なんで私が中学時代にあんなに「女生徒」が気になったのかを今教えられてしまった・・・。それだけでも、この本を読んだ価値がある!と、これはホントに嬉しかった。(#^.^#)ちょいとブームに乗ってみました、といった本っぽくて、校正ミスもあったり、なんか編集部の安易さが感じられたりもしたんだけど、太宰治に免じて許してやらぁ、なんて・・。あはは、今、ちょっと太宰モードが入っちゃってますので、ゴメンなさい、であります。

  • ダザイは好きな方ですか?それともなんとなく敬遠してる?山崎ナオコーラ、西加奈子、津村紀久子といった現在を代表する女性作家や香山リカ、雨宮処凛など話題の論客、サトエリにダザイの娘で作家の太田治子まで、
    女性たちが語るダザイとのつきあい方。読書案内にどうぞ。

  • 太宰は読んだことありませんが、これは面白かった。でも太宰はやっぱり読みません。

  • 12人の女性が太宰について語っています。

    特に面白かったのは山崎ナオコーラと 津村記久子。

    山崎ナオコーラは「私は『太宰治』が好きではない。」という一文から始まっていて、
    太宰風に太宰を語っているのが面白い。

    津村記久子の文は「水位の低い多幸感」という言葉が印象的だった。

    とりあえず太宰はやっぱりもてますよね!

  • 生誕100周年を記念して作られたものかな。
    どの方にも太宰を好きなことが感じられて、
    いろんな作品の一節が載せられたりしているのを読んだりすると
    改めてもう一度読んでみたいと思った。

    2009.8定価購入  /  2009.8.16読了

  • 生誕100年記念本。女性作家たちが好きな作品を1作取りあげて書く、小さな太宰論。自分との関わりが絡んだ軽い読みもの。ワカマツカオリの挿絵もおしゃれ。
    中沢けいの『津軽』論がよかった。

  • 2009.7.10読了。

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