死の扉 (創元推理文庫)

制作 : 小林 晋 
  • 東京創元社
3.42
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本棚登録 : 145
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488225025

感想・レビュー・書評

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  • ところどころに挟まれる探偵小説の話や辛辣さを含んだユーモア。それ以外はとりたてて特徴のない普通のミステリという印象でした。多様な犯人が生み出されてきた今となっては犯人も意外性はなく、早い段階で察しはつくのではないかと思います。目を見張ったのは解決編のディーンの視点の転換。根拠の不足は認めつつ、想像で埋めることなくフェアに事件の真相にたどり着いた過程は説得力のあるものでした。
    作品、作者への傾倒が窺える訳者の解説が秀逸です。作者のバックグラウンドを把握した後に本編を読むとまた興味の持ちどころが変わってきそうです。

  • 図書館で。
    公立高校の歴史先生が犯罪に挑む!のは良いんだけど… 助手の生徒が可愛くないな!実に(笑)
    そして極悪人ではないけれども小悪人だったおばあさんがねぇ… なんか哀れ。
    まあ最初からダンスに行った妻は変な反応だなぁとは思ったんだけど…。でも彼があそこまでしないと犯人があぶりだせなかったというのもちょっと、ちょっとな、と思いました。
    下手したら死んでたかもしれないのに呑気な先生だなぁなんて思いながら読み終えました。

  • スマートな資産家で歴史教師のキャロラス・ディーンシリーズの第一作目とのこと。
    主人公のキャラクターは品が良く嫌味もなく、強引さには少し欠けるかもしれないけれど強い意志を感じさせる好ましいキャラクター。
    警察と近すぎず遠すぎずの関係なのも、探偵小説的に無理を感じさせない程度で良かったです。
    二件の殺人事件解決に関する手がかりは全て開示されているので、読み直して確認するのも楽しいかも。
    街の人間もそれほどどぎつい変人がおらず、全体的に地味だけど味わいのある世界でした。
    解説も丁寧で読み応えがありました。

  • 登場人物全員のキャラクターがたっていて、しかも描写がお茶目で素晴らしい。このキャロラス・ディーンシリーズを順番に読んでいきたいけど、翻訳されていない作品が多いみたいで残念。愛に溢れた訳者あとがきも好き。

  • 表紙のイラストもいいのですが、中身も古き良き時代の英国ミステリーという感じで知的かつユーモラス。

  •  これもまた往年の名作。こういうのが復刻刊行されるのはうれしいことだ。「英国が誇る名探偵、キャロラス・ディーン」などといっても知らなかったのだけど。
     イギリスの片田舎の深夜、強欲で因業な老婆が殺される。たまたま巡回中だった警官が不審に思って家に入り発見したとたんに現場にいた犯人に不意を襲われて死亡、という事件。小さな町ということもあり、嫌われ者だった老婆に対する動機をもつ者ばかり。しかもみながみなそれを隠そうともしない。誰が犯人でもおかしくないとう状況で、そのキャロラス・ディーンなる教師が素人探偵として捜査を開始する。
     最後に明かされる真相は、意外や意外というオーソドックスな本格探偵小説の王道を行くもので、確かにその着想には感心させられた。まあ、行き詰ったらひっくり返して考えるというのは基本ではあるけれどね。直接証拠がないので詭計によって犯人を誘い出すという間一髪のスリルもあり、最後は関係者全員を集めての謎解きという絵に描いたような結末、と多少は古くさいのはしょうがないとしてもまくまとまっていると思う。
     よく読むとちゃんと伏線も張ってあるし、随所にヒントが散りばめられているし、帯にある「フェアプレイで謎解きを」はあながち誇大ではないことがわかる。最近のいいかげんな名ばかりミステリよりはよほどまともだ。ひとつ、かなてこというのが凶器で出てくるのだけれど、これは若い読者にはわかるだろうか。同じものでもバールといえばいかにもの凶器なんだけど。

  • 1955 年の英国本格ミステリを、
    新訳で復刊というだけで、
    めでたい気分になる 1 冊。

  • なかなか面白かった。
    同年代のアメリカの警官小説 Ed Mcbein の87分署シリーズ第1作 cop hater を思い出させる展開といったら、知っているひとにはネタバレかな

  • 2012/07/16読了

  • 古き良き英国ミステリー。
    小さな雑貨屋の店主と巡回中の警官が殺されるという事件が起き、パブリック・スクールの教師が素人探偵となって謎を解く。
    ストーリーは地味だし、殺人事件らしからぬのんびりとした雰囲気に溢れているが、事件はきっちりまとめているし、キャラクタがそれぞれユーモラスで楽しい。レオ・ブルースの小説はどこか和むので好きだ。これはシリーズ第1作なので、続編の翻訳が待たれる。

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著者プロフィール

Leo Bruce
レオ・ブルース
1903年、ケント州イーデンブリッジ生まれ。本名ルーパート・クロフト-クック。さまざまな著作活動を行いながら、ブルース名義で1936年に最初の本格ミステリー『三人の名探偵のための事件』(扶桑社ミステリー)を発表。ビーフ巡査部長を探偵役とする長篇を8作刊行したのち、『死の扉』(創元推理文庫)で新たな探偵キャロラス・ディーンを登場させる。その後計23作のディーン・シリーズを遺し、1979年死去。

〈扶桑社ミステリーのレオ・ブルース作品〉
『三人の名探偵のための事件』
『ミンコット荘に死す』
『ハイキャッスル屋敷の死』
『ビーフ巡査部長のための事件』

「2022年 『レオ・ブルース短編全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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