- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575236941
感想・レビュー・書評
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図書室
上に、下に。
色んな高さにぐるぐる回って
最終的には同じ場所に戻る。
観覧車って、家族だったんだ。
家庭内殺人。癇癪。
この物語の中の家庭が異常
なんじゃなくって、
きっとどの家にも
起こりうることだろう。
読み進めていくと、
自分の家庭と照らし合わせて
「これ、うちんちにもあるかも」
と、思う場面がいくつもあった。
もし自分の家で
殺人…が起きたら、どうなるだろう。
その可能性は0じゃない。
人を殺せそうな道具、あるし。
もし自分の隣の家で、
殺人が起きたらどうだろう。
左隣の家は1人暮らしだが
右隣は4人家族だ。
仲の良さそうな家族だと
思うけど、家族のことは
その家族にしかわからない。
十分、起こりうるだろう。
そのとき、
自分はどう思い、どう動くんだろう。
「家庭内殺人」
という非現実的な言葉。
でも、その可能性は
自分の身の回りにいつも転がってる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
誰にもどこの家族にも、外からは決してわからないし理解もできない「異常」があったりする。
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父親が被害者で母親が加害者
高級住宅街に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。
遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。 -
続きが気になってさくさく読める小説やけど、湊かなえにしては少し綺麗に終ってて、もっとブラックを期待してた。
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愛する父が殺された。それだけなら泣いただろう。大切な母が人を殺した。それだけなら彼女の無実を信じただろう。
でも同時にその両方が起こったら、一体どうすればいいのだろう一。
遠藤家と高橋家。
向かいに位置する2つの家庭。
それぞれが抱く傷や溝を照らし出しながら、順繰りに物語はめぐっていく。
他人の不幸を見なければ実感できない幸せなど、本当の幸せと言えるのだろうか。
…いや、言える。そうあってほしかった一。
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同作者の「告白」ほど極端な物語ではないために、にわか現実味を帯びて伝わります。そうなるとあまり気分の良いお話ではありません。
でもこの作者の、些細なことで心のバランスを崩す中高生の描写は本当に上手いと思います。
個人的に題名がとてもしっくりきました。この画像では分かりづらいですが、表紙もすごく素敵です。 -
「一気に読み終わったよ!!」
という義姉に借りて読みました。
一見、普通の幸せな家庭に見える家族の、それぞれの闇…
ミステリーではありますが、謎を解明すると言うより、他人の家庭を覗き見ているような感じで、野次馬の如く、ドキドキしながら、読みました。
登場人物にみんな悪意が無いのが怖いです。
湊さんはそういう本当の人間のイヤな部分をさらっと描く方ですよね…
金曜日の夜にドラマがやっているそうですが…
その時間帯に主婦が観るのにはピッタリだと思いました。
大人向けです。 -
真夜中に乗った観覧車は、
止まったり動いたりしながら、
夜明けに1周して戻ってくる。
高台にある高級住宅地「ひばりヶ丘」。そこで起きた殺人事件を軸に、3つの家族の視点でストーリーは進んでいく。
画にかいたような「理想の家族」である高橋家、ごく普通のサラリーマン一家の遠藤家、そして古くからこの地に住む小島家。それぞれ、まったく違うバックグラウンドを持つ人々が、事件と関わり、それぞれの抱える問題を露呈させる。
家族一人ひとりのキャラクターがとても繊細に描き分けられている。自分とは全然違う生い立ちや性格の持ち主なのに、その人たちの思考や言動の意図が痛いくらいに分かる。これは、単に極端なキャラクター設定を造っているからではなく、あくまでも筆者が丁寧に登場人物を描写(直接的・間接的に)しているからだと感じる。
この物語は、明確に「明るい希望」を最後にもたらしていると思う。数カ所に散りばめられている小島さとこの章が大きな意味をもつ。終始暗い雰囲気の物語で、こうした嫌味とか無理矢理感のない希望あるエンディングにつなげることができることに驚いた。 -
犯罪とまではいかないまでも、小競り合いは、どのような家庭でも ありそうな話で、ドキドキしながら、読み手が夢中にさせられた。
お隣の小島さんも何処にでもおられそうだ。
犯行の真相は、違っていたとなるのではとの思いで読ん でいたが、変わりなかったが、母親の想いを知った時 切なかった。どうぞ、兄弟仲良く明るい未来であって欲しいと願った。
しかし、自分も子供を叱る声や話声が お隣ご近所にも聞かれてるのでは、とゾクッとした。 -
閑静な高級住宅街。
立ち並ぶ家々はため息が出そうな程に美しく、
(一体、どんな人が住んでいるのだろう・・・)と、想像し始めた途端、
聞こえた様な気がした
「やめろ!」と言う絶叫と、乱暴にドアを閉ざす音。
物語中にそんなシーンもありはしたが、
私は全く別の意味で、
すべての家が、家族以外のよそ者を嫌悪しており、
関わるな、
近寄るな、
触れるな、
去れ!
と、家自体が出す暗い叫びを始終聞き続けていた様な気がした。
が、
その中の一軒の家に黄色いテープが貼られ、
警察と報道陣が、ようやくそのドアを開ける権利を得られた事により、
近隣の住民達と読者は
家が持つ暗い秘密を徐々に知る事となるのだ。
著者の作風はみな、こうなのだろうか?
殺人の起こった家の事情。
その隣の家の事情。
また、別の家の・・・。
時間とその経緯をぶつぶつ切りつつ、
場面を行きつ戻りつしながら、
ぐいぐい真相に迫りゆく手法は、
じれったくもあるが、ページを捲る手を決して止めさせない、
深呼吸したくても、
水面にあがろうとする足をぎゅっと掴まれているかの様な感覚。
この苦しみに耐えながらも
ドロリ、とした人の本質を知る為のドアを開けてみたい、と言う勇気のある人にはお勧め。