- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575514834
感想・レビュー・書評
-
因果応報。
この作品に横たわるテーマはそれだ。
本作では故意であろうと無意識であろうと、相手の人生を少なからず歪ませた人間はシンプルな因果により苦しめられることになる。
一人は作品の盗作をしたことで。
また一人は痴漢をしたことで。
他の登場人物達も因果応報に苛まれる。
だからこそ、遺書を遺した少女は自らの死を選ばざるを得なかった。
本作はその描写を最後に、物語を締め括っている。
だが、この作品の恐ろしい所は、
残された人々はこれからどうなるのだろうか。
そう考えてしまうところにある。
世界から退場した少女の視点からは、世界のその後は語られない。
因果応報をテーマにした作品世界のその後に、読者は想像を巡らせる。巡らせてしまう。
本作の登場人物達は因果により、どのような人生を送るのか。
湊かなえ先生の作品はやはり心に残る素敵な作品でした。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
点と点でつながっていた人間関係が線になり、
最終的に「因果応報」の円になる作品。
そして、
由紀と敦子
紫織とセイラ
タッチーと昇
という3種類の親友同士が出てきますが、
それぞれ美しい友情もあれば、自己陶酔に利用していると思われる場面もあったりと
素晴らしいだけではない、人間のクセのある友情がいくつも見れて面白かった。 -
もう、さすが港さんとしか言いようがないくらい本作も人間の闇が出てますね。
ネタバレ無しに感想を書くのが非常に難しい、と思うぐらい全ての伏線がキレイに回収されます。
予想できた伏線も何個かあるんですが、「リバース」同様、「へっへっへ、どうせこうなるんだろ、わかっちゃったよ」と読者に優越感を与えておいて更に上からぶっこんでくるスタイルはおそれいりました。
よく出てくる「因果応報」ってのがひとつのテーマなんでしょうね、とだけ言っときます。
作中のおっさんらへんの年齢なのですが、率直に思ったのが「やっぱり女って怖い」ということ。
特に高校生ぐらいの女の子の、心変わりの早さ、自分にとってどうでもいいと思う相手への無慈悲さ、謎の被害妄想と視野の狭さ。
学生の頃から嫌悪感があった、そういう女の子の闇側の特徴を的確に描いてます。
つくづく男に生まれてよかったと思いますわ。
冤罪は勘弁ですが。 -
最後の1文まで読んでやっと話が繋がった感じ。
伏線回収は面白かったけど、現実にはあまり起こりえない内容で個人的には感情移入しにくかったかも。 -
テンポよく読めてかなり面白かったです。
まさに最後は因果応報ですね。
学校掲示板は一昔前の時代ですね。
イヤミス?の部類らしいですが、読み終わって嫌な感じはしませんでした -
とにかくいろいろ考えさせられる小説。伏線たっぷりで2回読んでやっと全貌が見えた感じ。