- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784761512866
感想・レビュー・書評
-
・セット:デザイン+運用
・未来を考える
・中立な立場としての学生
・勢いが大事(←多様を巻き込む)
・日本の課題6分野
(防災/子育て/交通事故/食/医療・介護/外国人・移民)
・課題解決2法(直接デザイン/コミュニティデザイン)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コミュティデザインとは、社会課題を解決するためにコミュニティの力を高めていくデザインのこと。
そして、人と人をつなぐ仕組みをつくり、地域や社会をよりよいものに変えていくのが、コミュニティデザイナーという仕事。
コミュニティをデザインする仕事を打ち立ててきた著者の原点となる本。
中立的に動くことのできる学生を活用して、地域に住む人の話を聞くことから始まり、地域に潜む課題を地域自らの人が解決するためのコミュニティデザインの数々のプロジェクトが書かれている。 -
板倉一枝先生 おすすめ
22【専門】318.8-Y
★ブックリストのコメント
地域コミュニティを考える際によく言われる「まちづくりはひとづくり」という言葉。実際に人と人とがつながる仕組みを作った事例がたくさん紹介されています。地域課題を解決する人になるためのヒントが満載です。 -
コミュニティデザイン
-
(01)
本書に記録された事例から10年が経ち,日本の社会の様相もさらに変わりつつあるように思える.
変わりつつある時代には,良質な記録が生まれる.おそらく日本の民俗学や帝国的で参与的なフィールドワークも,そのような変化への意識と無意識により発生している.
本書が切り取った時代の様相の断面も,また貴重でもある.デザインサーベイでもあるこの具体的な調査は,調査対象に大きな影響を及ぼすコンタクトでもある.学生やスタッフが,既存既製のコミュニティに介入し,働きかけていく様は,うさん臭さやはた迷惑さも伴いつつ,風通しのよい交流(*02)を生んでもいる.逆に,公園や店舗のような空間に人間とコミュニティを関係づけていく方法は,学生やスタッフなどの運営側だけでなく,従来では運営される側にあった市民を運営側に巻き込む戦法でもあるように感じた.
(02)
デザインという観点からは,本書に挿入された図表の質にも目を通しておく必要がある.一方で,記録写真に見える人たちの立ち位置も求めておきたい問題でもある.
人物が着座し,座学の恰好が収められた写真もいくつかあるものの,多くの写真では,人が立ち,動いている.ポーズがあり,笑顔があり,語りかけがあり,指先までのアクションがある.こうした活動的な写真をセレクトしているといえばそれまでだが,その選択の背景にあるものを読み取ることができる.
記録者と記録対象との距離,その場をつくるまでの過程,動きを引き出す話力やジェスチャ,記録や撮影が日常的になるまでの地道さなどが読者のもとまで伝わってきている. -
”地域の課題を地域に住む人たちが解決するコミュニティデザインに携わる山崎亮さん(studio-L)。その山崎さんの“人がつながるしくみをつくることの魅力を感じ取ってもらいたい”という強い想いが伝わってきた。島根県海士町や鹿児島県マルヤガーデンズ、いえしまプロジェクトや +design 活動など、どの事例からも関わった人たちの息遣いが感じられる。
僕自身、「人がつながるしくみ」づくりに強く興味をもっている。山崎さんは、そのしくみを街や地域という場・コミュニティに適用しているけれど、この手法や考え方は「職場」にも持ち込める気がする。
いろんな職業や得意技をもった人が集まる地域コミュニティはもちろん素敵である。一方、いろんなバックグランドをもった人たちが集まる職場コミュニティというのも、世の中によいサービスや商品を生み出していくには必要ではないか。山崎さんが「おわりに」に書いた次の言葉からもそんなことを考えさせられた。
---
東北の復興にコミュニティデザインが必要なのは言うに及ばず、無縁社会化する全国の地域にも人のつながりが求められている。非常時のためだけでなく、日常の生活を楽しく充実したものにするために。信頼できる仲間を手に入れるために。夢中になれるプロジェクトを見付けるために。そして、充実した人生を送るために。(p.252)
---
この『コミュニティデザイン』を、僕と同じように企業や組織へ適用する観点で読んだ奇特な方(笑)、もしいらっしゃればお声かけください。ぜひ意見交換しましょう。
さいごに、読み始めてから読了までずいぶん時間がかかったけれど、この本に出会えてよかった!
<読書メモ>
★建築や講演を設計するだけでは解決できない課題(でも解決すべきだと感じる課題)を見つけてしまった人。「デザインにできることは売れる商品をつくること以外にもあるんじゃないか」という想いに蓋ができなくなっている人。デザイナーだけではない。行政や専門家だけが社会的な課題を解決しようとしても限界があることを実感している人。自分たちが生活するまちに貢献したいと思っているけど何から始めればいいのか分からない人。こういう人たちに本書を読んでいただき、人がつながるしくみをつくることの魅力を感じ取ってもらいたい。(p.19-20:はじめに)
#誰に読んでもらいたいか、についての山崎さんの強い想い。やらずにいられないほどの使命感をもっちゃった人なんだよな。
・有馬富士公園におけるキャストは、(中略)関わってもらうにあたって、まずはいくつかの団体にヒアリングを行った。活動の内容について語ってもらい、そのなかで困っていることを聞き出した。「会議室を借りる費用がかさむ」「チラシのコピー代がかかる」「活動のための道具をおいておく場所がない」「若い人が団体に入ってきてくれない」「発表の場が少ない」など、活動する上でネックになっていることが整理できた。こうした課題をパークマネジメントの中で解決できないか考え、行政の担当者や博物館の研究者と相談しながら運営計画を策定した。(p.34)
#やっぱり何かがよくならないとね。
・設計の進め方については、「参加型のデザイン」なるものを試してみたいと考えていた。公園をつくる際に、将来その公園を使うはずの近隣住民に集まってもらい、どんな公園にしたいのかを話し合ってもらうという、ワークショップ方式の公園づくりというやつだ。(p.41)
#兵庫県あそびの王国のデザインについて。
★最初に伝えたことは、まちづくりで最も重要なことはコミュニケーション能力である、ということ。卒業研究にあたって、どこか有名なまちづくりの事例を調べて、その特徴を整理し、同じような手法でまちづくりを提案するというのはコミュニティデザインの訓練にならない。見ず知らずの土地に突然入っていって、抜群の笑顔とコミュニケーション能力でまちの人たちと会話し、そのまちの課題を聞き出してくることが大切だ。(p.91)
#「まちづくり」をテーマに卒業研究に取り組もうとする学生スタッフへの教え。
★家島町に住む人が来訪者に紹介したいと思う場所は、どこかで聞いたことのあるような名所ばかりだったのである。(略)島外から来た僕たち自身が感じている家島の魅力を素直にまとめたガイドブックをつくってみる必要があると思えた。
島に住む人たちは当たり前だと思っている風景のなかに、島外から来た人間にとってすごく魅力的なものがある。それを発見して冊子にまとめるプロジェクトを立ち上げるにあたっては、(略)島外の人が島を使って楽しませてもらうプロジェクトなのだから、参加者が自ら費用負担すべきだと考えたのである。自分たちでお金を出して島を探る。その結果を、楽しませてもらった島にお返しして帰ってくる。そんなことをイメージして、「探られる島」というプロジェクトを立ち上げた。(p.95-96)
#中にいる人には魅力はわからない。よそものこそがそのコミュニティのよさを発見できる。これを企業や職場に適用するには???
・10人でできること 「昔は良かった」をやめる。
(略)
「昔はよかった」という話をやめてみませんか。その代わりに「今度これをしようと思うんだ」、「一緒にやろうよ」という話をしてみることです。
建設的な会話こそが、わくわくするような「いえしま」の未来をつくるきっかけになるはずです。(p.111)
★コミュニティデザインにおいて「ゆっくりであること」は大切なことだ。(p.123)
・今回のミッションは結構ハードルが高い。触れてはいけないポイントがたくさんあるし、短時間で地域の奥さんたちと友達にならなければならない。そこで、studio-L のプロジェクトに参加している学生のなかでも、飛び抜けてコミュニケーション能力の高い学生を11人集めた。(略)別々の大学から集められた学生たちにダム事業の詳細を伝え、今回のミッションを伝えた。フィールドワークによって地域資源をたくさん発掘するとともに、地域の人的資源(つまり奥さんたち)を見つけてはどんどん友達になること。友達になった奥さんたちと何度も会う機会をつくり、さらにたくさんの奥さんたちと知り合いになること。こうやって奥さんネットワークを広げて、地域の良さを語り合ったり、地域の将来について語り合ったりするなかで、ダム事業や付随する事業が本当に必要なのかを考えるきっかけを生み出すこと。そして、こうした奥さんたちの旦那さんたちにも参加してもらい、最終的には地域のみんなと仲良くなること。そんな目標を設定した。(p.160)
#壮大なスケール! でも、ミッションが段階的でとても具体的。
・どうせ建設が進むのであれば、周辺住民とマンション開発会社がお互いに少しでも納得できる点を見つけながら進めるほうがいいはずだ。何より、新しく出来上がるマンションに入居するであろう未来の地域住民たちが、招かれざる住民としての疎外感を持たされるのは避けたい。僕が関わることで少しでも状況が好転するのであれば、近隣住民から怒鳴りつけられようとも対話の場をつくる必要があると考えた。(p.172)
#すばらしい使命感。こういう人がいないと押し付けられた計画になる。企業の中にもいっぱいあるんじゃないか。オフィス移転、部署統合、制度・ルール設計 etc.
・「府と市と経済界との関係調整が難しくて」というもっともらしい言い訳を聞くたびに、時代の転換期には大都市から新しいことなんて生まれないのかもしれないという気分にさせられる。僕が知る地方の基礎自治体は危機意識がとても高く、変化への対応能力が高い。行政と市民とが本気で協働しなければ、目の前にある課題を乗り越えることができないのが明確だからだ。(p.219)
・利子の増大が無いプロジェクトであれば、ゆっくりと確実に育てるのがいい。在庫の木材を使い、学生の力で小屋を組み立て、すでにある機械で家具づくりスクールを始める。あせらず、ゆっくりとプロジェクトを進める。そうすれば、至らない点がいろいろ見えてくる。それを修正しながらプロジェクトのスキームを固めていく。自分たちだけで解決できないことが見つかると、それを手伝ってくれる人を探す。そうやって少しずつ関わる人たちの輪を広げていく。地域の人たちにも少しずつプロジェクトを理解してもらい、外からやってくる学生たちと交流してもらう。新たなコミュニティを生み出していく。(p.232)
#マイプロジェクトである本屋も、企業内のコミュニティ育成も、こんな風にゆっくりと進めたいな。
★デザインはデコレーションではない。おしゃれに飾り立てることがデザインなのではなく、課題の本質を掴み、それを美しく解決することこそがデザインなのである。(p.235)
・注目すべきは、学生が提案したアイデアが実現に向けて動き出したことである。日本発の保育ツールである母子手帳をさらに充実させえようという学生の提案が、プロジェクトメンバーによってさらにブラッシュアップされることになった。筧氏のチームが作ったウェブページとツイッターを通じて全国の保護者から母子手帳に関する意見を集めるとともに、都市と中山間離島地域とでワークショップやインタビューを行って実際に保護者の声を聞いた。こうして集まった情報から新しい母子手帳の試作品をつくり、再度ワークショップやインタビューを行うとともに専門家の意見も聞きながら最終版の母子手帳を作り上げた。(p.242-243)
#放課後+design の合宿ワークショップの成果。出来上がった手帳のページはこちら → http://mamasnote.jp/
★本書の原稿を書き終わる頃、東北地方を巨大な地震が襲った。いろんなことを思い起こして原稿を書く手が止まった。原稿執筆よりもやるべきことがあるのではないかと悩んだ。しかし同時にコミュニティの力を信じた頃の自分を思い出した。こんなときだからこそ、コミュニティデザインに関する原稿を書き上げるべきだと自分に言い聞かせた。(p.250)
★東北の復興にコミュニティデザインが必要なのは言うに及ばず、無縁社会化する全国の地域にも人のつながりが求められている。非常時のためだけでなく、日常の生活を楽しく充実したものにするために。信頼できる仲間を手に入れるために。夢中になれるプロジェクトを見付けるために。そして、充実した人生を送るために。(p.252)
<きっかけ>
情熱大陸放送を見て、山崎さん自身に興味をもった。「人がつながるしくみ」テーマにもすごく興味あり。” -
コミュニティデザインを説明する難しい。。
-
こうやってみんなで問題解決して行きたい!話し合いや、取り組み方の手法って学んで起きたい。
公務員必読じゃないでしょうか。 -
社会