コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761512866

感想・レビュー・書評

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  • ○京都造形芸術大学教授、studio-L代表で、コミュニティデザイナーである山崎亮氏の著作。
    ○地域振興の手段としてのコミュニティデザインについて、著者自身が携わって事例を紹介しながら、具体的な解決策について提案。
    ○本文中に「デザインは社会の課題を解決するためのツール」とあるが、本書は、まさにそのための方法論について解説しているもの。
    ○地域の課題は地域の住民で解決するという、極めて基本的かつ本質的なことを、様々なワークショップや企画と通じて実現している。
    ○日本全体で見ると、地域の課題は山のようにあるが、その一つ一つに目を向けて考えていくと、意外と身近なところに答えがあるのかもしれないと感じた。いかにコミュニティを活用するのか、地域の輪、絆をつなげるのかが課題。
    ○地域振興に関する新しい視点を学べる一冊。

  • 町興しなどを住民・都市等との繋がりの中で、継続的に発展する仕組みを実現する活動案件の例を説明。分析的ではなく、本当に事例集で泥臭い。視点が好みに合ってなくてモヤっとする。しかし確かに実効性ある。この辺を認めるのが俺の今後の課題だと思った。

  • 山崎亮『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』学芸出版社、読了。従来「器」の整備とされた概念だが、本書は「使われ方」や「育て方」に注目する。「モノをつくるのをやめると人が見えてきた」。10年にわたる著者の仕事を概観する中で、認識と実践を一新する。非常に面白い一冊。

    そもそもコミュニティとは人と人のつながりであり、箱モノ整備やデザイナーの作品発表とイコールではない。原点に立ち返り、著者は「ひとがつながるしくみ」を作っていく。と言っても復古ではなく、新しい自生的連帯。人々が歩み寄る社会創出の見本を見る。

    地縁血縁社会には限界がある。だから反動としてつながりの弱体化が招来されたといってよいが、そのままで良い訳でもない。「日本を取り戻す」してもはじまらない。その意味でコミュニティデザインとは、人々が参加する仕組みづくりでもある。

    ひとびとが積極的に社会に関わりたくなること。そのきっかけづくりと選択意志を育てることがデザイナーの仕事との指摘には瞠目。協同とは外発的ではなく内発的に誕生する。現代社会を俯瞰し、未来を構想する上で本書の知見と実践は非常に有益だ。

    著者インタビュー。 http://www.gakugei-pub.jp/chosya/028yama/index.htm 

  • 2013年3月10日のブログより。 
    http://jqut.blog98.fc2.com/blog-entry-1760.html


    最近、読んだ本をぜんぜんアップしてないのですが、この本は少し書いておきます。

    著者の山崎亮さんは、もともと建築やランドスケープのデザインに取り組みながら、「それだけでは解決できない何か」が自らの中で無視できないほど大きくなり、現在の「コミュニティ・デザイン」に辿りついたのだといいます。先日、「カンブリア宮殿」に出演されていたので、ご覧になった方にはご理解いただけると思いますが、ぱっと聞いて分かりやすい概念ではないかもしれません。

    ランドケープデザインというのは、言葉のとおり風景をデザインする仕事だそうです。個人の庭、公園、広場、大学のキャンパスなどその対象は広いですね。なるほど、よくよく考えると、そういうものってきちんとデザインされているんですね。実は細かいところまで、デザイナーは心を配っているわけです。でも、そんな公園が10年もすると人もまばらな寂しい場所になったりします。これは開園後の公園マネジメントの問題ですが、通常ここまで建築家は立ち入りません。そして、それを手掛けたのが著者の山崎亮さんです。「つくらないデザイン」への挑戦だともいえます。

    建築物は人がいて初めて生きるものなのだと思います。人が集い、人が愉しみ、人が使う「場」にするために、人をどう巻き込むか、そしてそんな「場」をどう創るか、つまりコミュニティをデザインするということです。そして、この活動は、地域社会のリ・デザインにまで広がります。瀬戸内の家島や隠岐諸島の海土町の仕掛け人も山崎亮さんだったんですね。

    「地域に住む人がそれぞれの地域に住む課題を自分たちで乗り越えていく」のを手伝うことが、コミュニティ・デザイナーの役割だとすると、これは極めて重要な役割です。そして、ますます重要になるはずです。行政がすべての役割を適正に担えないことは既に今の時点でも明確です。これからの私たちの国は人は減り、公共予算も減ります。人口はいずれ昔の水準に戻るともいわれています。しかし、昔の日本に戻ればいいのではなく、21世紀の新しい人口が減った日本の姿を私たち皆で模索しなければなりません。

    実は私たち人事担当者が社内で奮闘していることも、コミュニティデザインなのかもしれません。制度や組織というものがランドスケープ、もっといえば「箱物」だとすると、そこで働く人、正社員だけではなく外部スタッフも含めた人がそこでどう「それぞれの組織にある課題を自分たちで乗り越えていく」ことへの支援、まさに私たちの仕事ともいえます。組織内コミュニティ・デザインです。ある意味、【ちゑや】的活動もこの文脈にあるといえます。山崎亮さんの活動をみると、効果的なワークショップを活用されています。今、人事の世界でもワークショップ流行りですが、どちらかというと新しい「手法」としてブーム的に取り入れているきらいもあるのは気になります。

    「カンブリア宮殿」では、山崎流「つながる」極意のステップとして以下の3段階を整理していました。
      ①自らがつながる
      ②住民同士がつながる
      ③町がつながる
    これは、企業組織の活性化への取り組みのステップとしても同じはずです。私たちのビジネスにおいても、山崎亮さんのような方々の活動から学ぶところは大です。ただし、私たちは行政側としての立場も組織内で持ち合わせているというか、そちらが本務として見られますから、また1つ2つ違った工夫も必要になってくるのかと思います。

    自分は都市部にすんでいますが、日本の人口推移をみている限りでは、今、過疎地で起こっていることはちょっと先の未来に日本のすべてで起こることだというイマジネーションを持つ必要があります。「カンブリア宮殿」の最後に村上龍さんがまとめていた言葉は、まさにその危機意識から生まれています。

    「世間」は消失しつつあるが、それに代わるコミュニティは育っていない。宗教的規範が機能している国だったら、人々は教会やモスクに集まり孤独から逃れられる。山崎さんの活動を知って、自分はシリアスな変化に気づいていなかったと思った。疲弊した地方の現実、人口減少による全国的な過疎化への想像力が足りなかった。コミュニティの復元は、単なるヒューマニズムではない。生産性の急落を防ぐという経済イシューなのだ。そして、山崎さんの活動は「ひょっとしたらすべてが手遅れかもしれない」というニヒリズムとの闘いでもある。

    でも、あせっても何にもなりません。自分のフィールドでできることを自分ゴトでやるのが何よりも大切なのだと思います。頑張っている人たちの活動からパワーをいただきながら。

  • 20130307

  • この先自分は何ができることが自分のために、そして周りの人にも嬉しいことになるんだろうか、とか考えていて読んでみた一冊。これまでも「人は人に会うことで成長する」と思ってイベントごとの企画は数えきれない程してきて、それをコミュニティとしてつくっていく方がより効果的だと感じて最近は動いている。このタイミングでそんな自分よりも数年か数十年分、前を歩いてる人の活動ハイライトが読めたのはとても刺激的で学べることばかりでした。
    目の前に発生する/している社会問題についてこういう人も同じような考えを持って、もっとうまいやり方で取り組んできてるっていうのは自分の余地もまだまだあるぞ、と勇気をもらえた一冊。

  • コミュニティデザインの事例集として使える。建物とコミュニティをどうつなげるかというのは新鮮。大学生が果たせる役割についても納得。これまで仕事としてやってきたことと重なる部分が多い。

  • 事例をあげて、コミュニティデザインを紹介。
    つくらないデザイン。つくるのをやめると、人が見えてきた。と、ものづくりの前に、コミュニティづくりが重要と感じた。
    住民のコミュニティがあり、それに、行政が関わっていく。これからは、そんな時代。

  • 【選書者コメント】日本を全体で見ると明らかに落ち込んでいる今、地域を盛り上げることも必要。それを感じてもらう。また、盛り上げるためには様々な分野で勉強が必要であると感じてもらう。

  • 318.8||Ya

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著者プロフィール

山崎亮(やまざき・りょう)
コミュニティデザイナー。studio-L代表。関西学院大学建築学部教授。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)、『コミュニティデザインの時代』(中公新書)、『コミュニティデザインの源流:イギリス篇』(太田出版)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)などがある。

「2024年 『新版 生きのびるためのデザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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