働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書 15)

著者 :
  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840136617

感想・レビュー・書評

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  • BSEの研究の話が興味深い。目先の役に立つことばかり研究するのが良しとする昨今。いざというとき何が役に立つか誰にもわからない。プリオンを研究している人がいなかったら、狂牛病の対応はもっと時間がかかっていたし、被害も拡大していたということか。

  • アリは働き者である、という言説が存在する。
    しかし、実際にはそんなことはなく、1-2割のアリは全く働いていない。では、なぜそのようなアリが存在するのか?それは、閾値が異なることで、周りのアリが手に負えない仕事量になるまでは「仕事ができない」からなのだ。では、なぜこのような機能が必要なのか?全てのアリの閾値が同じだと、ホンマにヤバイ時に誰も手が空いておらず、コロニーが死滅する危険性があるからだ。
    これら生物の機能は、環境(自然環境、外的環境)に対して適応するために、自然選択の中で進化してきた、非常に合理的なシステムなのだ。

  • 最新版が出ているにもかかわらず、あえて2010年初版(2011年第8刷)をAmazonの中古でポチ買い。
    これがあの「20万部超えのベストセラー」本なのかと。
    最新版は表紙が文字だけなので、やはりこの”怠け者のアリ”のイラストはインパクト大。この方がよい、良い。
    日経の記事で、先に結論部分を読んではいたが、あらためて筆者の考えがよくわかり、通読する価値あり。

  • ・一部のアリの種では普段7割が働いていない。
    反応閾値の差、多様性
    仕事に過敏に反応しスグに働き出すすもの(巣内の温度など)と、感度が鈍く動きも鈍いもの(働きたいが働けない)が同居することでコロニーの生存率が高まる。何故なら、途絶えさせてはいけない仕事を継続するには普段休めている交代要員が必要であり、急な巣の修復など急場に人員の増減が可能である。また、羽根を羽ばたかせる事で巣内の空気を入れ替えて温度調節する際には、ワーカー個々で反応値が違うことが適温を保たせる調節作用にもなる。

    体の大きい兵隊アリは、敵と出会うと逃げ出し代わりに小柄なアリが戦う。体の大きいアリの方が死傷した時のコストが高いからと考えられる。

    外回りのアリは主に老齢アリ。

    完璧でないアリが幾らか居ることが、結果効率的となる。(ルート間違える→結果、もっと良いルートが見つかるなど)

  •  40ページくらいまではおもしろかったんだけど、最初から最後までずっとアリや昆虫の話に終始しているから、内容が詳しくなればなるほど興味を失ってしまった。アリの分析で得た知識を、他の動物や人間に(無理やりではなく自然に)還元するような内容だったらもっとおもしろかっただろうなと思った。ひろゆき推薦だから期待してたんだけど、残念。

  • アリの話から仕事に活かせるヒントをもらえたらいいな、程度の気持ちで読み始めた。

    表題の働かないアリ(働きたくなくてサボっているのではなく、働きたくても他のアリに先を越されて働けないアリ)が存在することで結果的にコロニーが長く存続できる、と言う話や、遺伝を多く残すためには自分で子供を産むより妹を育てる方がより濃い遺伝子を残せる話など、社会性生物の驚くべき仕組みを知ることができ、非常に興味深く読めた。

    仕事に活かせる観点として次のようなことを考えた。
    ・全ての社員が同じような考えを持って全力で働く組織より、考え方や労働意欲にバラツキがある組織の方が変化に柔軟に対応しやすいのではないか。
    ・近視眼的に利益を求めることは、短期的には業績向上に繋がるかもしれないが、長期の目線で見た時にそれが最適とは限らない

    全編を通して、”ちっぽけなムシ”の研究をしている筆者の、それでもいつか何かの役に立つかも知れないし、我々の研究は面白いという矜持のようなものを感じることができた。

  • 生物学のことが素人にもわかりやすいように書かれていた。それでも遺伝子の話は理解するのに時間がかかったけど。
    働かないアリは余力なのだそうです。ただ、種類によっては本当に働かず周りに便乗しているアリもいる。社会が発展すればそういう個体が出てくるのは致し方ないのかな。
    人の体も細胞の群という話が面白かった

  • 働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書) 新書 – 2010/12/31

    女王バチのために黙々と働く働きバチや、列を成して大きな荷物を運ぶアリたちに共感を覚えた経験は誰にもあるはず。しかし実際に観察すると、アリもハチもその7割はボーッとしており、約1割は一生働かないことがわかってきた。また、働かないアリがいるからこそ、組織が存続していけるというのである!これらを「発見」した著者による本書は、アリやハチなどの集団社会の研究から動物行動学と進化生物学の最新知見を紹介。人間が思わず身につまされてしまうエピソードを中心に、楽しみながら最新生物学がわかる科学読み物である。生命の不思議に感動すると共に、読後には社会・会社・家族などへの考え方が少しだけ変わる、ラクになる。

    内容(「BOOK」データベースより)
    7割は休んでいて、1割は一生働かない。巣から追い出されるハチ、敵前逃亡する兵隊アリなど「ダメな虫」がもたらす意外な効果。身につまされる最新生物学。

    著者について
    進化生物学者。1961年東京生まれ。北海道大学大学院農学研究院生物生態・体系学分野動物生態学研究室准教授。観察、理論解析とDNA解析を駆使して主に真社会性生物の進化生物学研究を行っている。実験から得た「働かないアリだけで集団をつくると働くものが現れる」などの研究で話題を呼んだ。主な共書に『親子関係の進化生態学 節足動物の社会』(北海道大学図書刊行会)がある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    長谷川/英祐
    進化生物学者。1961年東京生まれ。北海道大学大学院准教授。農学研究院環境資源学部門/生物生態・体系学分野/動物生態学研究室所属。観察、理論解析とDNA解析を駆使して、主に真社会性生物の進化生物学研究を行っている


    余力を残している事が実は重要
    2015年12月23日記述

    長谷川英祐氏による著作。
    2010年のもの。

    野口悠紀雄氏の超集中法の中で本書が紹介されており興味を持った。
    アリというのは童話アリとキリギリスのイメージで勤勉という印象を多くの人が持っていることだろう。
    実はそんなことはなく巣の中にいるアリの7割が特に何をするでもなく過ごしているという事実に驚くはずだ。

    途中遺伝子の話など少々テクニカルな部分も出てくる。しかし多分に問題はない。
    卵を舐め続ける仕事や疲労の問題を考えると暇なアリもいた方が良い。
    コロニーを維持する為にも余力となるアリがいるから長期的に見た時に意義があるのだそうです。
    一見理不尽、不合理に見えるような事であっても自然界は実によく出来ている。

    私達の持っていた何気ない常識(アリは勤勉)とは全く違うという意外性、そしてつくし氏による表紙絵、いずもり・よう氏による本文イラストで本の魅力がより高まっていると思えた。
    今回本書を読む前にもこのカバーイラストは覚えていたし。

  • なるほど、そういう人います。

  • 進化って、生き物って不思議

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著者プロフィール

進化生物学者、北海道大学大学院准教授

「2022年 『面白くて眠れなくなる進化論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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