- Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784887470378
感想・レビュー・書評
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数年前に贈り物としていただいた詩集。ぱらぱら読んだきり、読み通せていなかった。
「二人が睦まじくいるためには」という題であるものの、別にお説教くさい内容ではなく、日常の風景や自然を切り取ったものから、子供の誕生に関わる詩まで、幅広く収載。
私が詩に感動するとき、その根底にあるものは共感だと思うのですが、必ずしも好きな詩ばかりではなかったです。もしかしたら子供ができたらまた感じ方が変わるのかも。
現時点で好きだったのは、『生命は』『奈々子に』『遊び』『虹の足』。
『祝婚歌』
二人が睦まじくいるためには
(略)
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
(略)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
夕焼け、奈々子に、小さな出来事が特に良かった。
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平易でわかりやすいのに、美しく柔らかく心を掴む吉野さんの詩は、何度も私を待っているようだと思った。
学校の教科書、大学入試の模試や赤本で10代の頃に読んだ「虹の足」や「早春のバスの中で」、「夕焼け」など、当時も当時で感じ入るものはあったが、20年経って改めて読むと、「あぁ、こんな詩だったのか…」と新たな気付きに立ち尽くしてしまうような気持ち。
また20年経って読んだら全然違うことを思うんだろうな。楽しみだな。
何回引っ越してもずっと本棚に置いておきたい本。
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小福のお店に貼られている詩
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優しいまなざしの観察者
母を、子を、神聖なもののように見つめている
奈々子に が特に好き
子に対する、これ以上の愛はないと思う
ひとはほかからの期待に応えようとして、自分を駄目にしてしまう
自分を愛することをやめるとき、ひとは他人を愛することをやめてしまう
自己肯定感が大切という風潮は最近のものだと思っていたけれど、ずっと前からそれを伝えている人がいたなんて -
◆きっかけ
『この声をきみに』
◆感想
図書館。冒頭の「祝婚歌」がドラマのなかで読み上げられているのを耳にして、文字で、他の作品と共に読みたいと思って。
以前借りて読んだ『贈るうた』に掲載されていたものも多く含まれていた。
祝婚歌、一言一言が、染み入る。それを心にいつも留めておきたい。購入して手元に置きたい。「愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい」「非難できる資格が自分にあったかどうか あとで 疑わしくなるほうがいい」「正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだ気付いているほうがいい」
「生命は」の「めしべとおしべが揃っているだけでは 不十分で」の部分を読んで、最近読んだ『春の数えかた』で、そのまま分裂して増えていけばいいところを雌花と雄花にわざわざ分かれているのは、世界に異変が起きた時に対応するため、突然変異をして生き残るためだというようなことが書かれていたことを思い出した。
親子、母子の詩も多かった。「奈々子に」は、そっくり、娘への気持ちと重なって響いた。「ひとが ほかからの期待に応えようとして どんなに 自分を駄目にしてしまうか お父さんは はっきり 知ってしまったから。 父さんが お前にあげたいものは 健康と 自分を愛する心だ。」
「創世記」の臍の緒のエピソード、長女の出産を思い出した。助産師さんに取り上げられた娘の、水を含んでパンパンな顔。想像より白かったへその緒。もうすぐ息子が誕生する。どんな出会いになるんだろう。
「虹の足」他人に見えて、自分には見えない幸福…。
「ほぐす」これも、ドラマの中で読まれていた。「結ぶときより、ほぐすとき すこしの辛抱が要るようだと」
「I was born」
巻末の、茨木のり子さんの解説も良かった。祝婚歌についてのあれこれ。銀婚式にも合うねという話。両親の還暦祝いと共に送ろうかと思って、目上の人に送るのもどうかなと思ってやめた。
2018/1/9
文庫の『吉野弘詩集』を購入したのでこちらの購入はやめよう。2018/3月 -
吉野弘の詩から「愛」と「いのち」にかかわるものを集めています。著名なものは収録されています。装丁もきれいで読みやすく、人に差し上げるのに最適です。
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あまり響かなかった。むしろ苦手な部類だった。