二人が睦まじくいるためには

著者 :
  • 童話屋
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本棚登録 : 534
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887470378

感想・レビュー・書評

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  • ほぐす
    という作品が印象に残りました。

    誰かと関係を築いて行く過程よりも、関係を終わらせることの方が、よほど難しい。その人が居なくなって初めて、2人の時間や共有した感情がいかに尊いものだったか。
    固く結ばれた紐を解いている時にふと思った、というような詩。

    未来への期待や不安ばかり育てるのではなく、ちゃんと目の前の人や自分の感情と向き合っていくことこそ、幸せを考えるということなのかなと、思いました。せかせかしすぎてて、瞬間を見落としてたなと、ちょっと反省。

  • 一昨年の誕生日に貰った詩集(?)
    詩集を読む機会がないので、どう読み解くのかが未だ分からない。結婚、出産、家族などがテーマの詩が集まっていたので、まだピンと来ないのかも。

  • 小ぶりしっとりと手に収まる装丁は、吉野弘さんの誌に流れる、静かでやさしい調べと美しく調和しています。また一つ、大切な本が増えました。

    「祝婚歌」は結婚式のスピーチでよく読まれる詩らしいです。とてもよい詩でした。
    彼女と喧嘩したり、自分の正しさを押し付けそうになったり、非難しそうになるたび、この歌を読み返そうと思います。

    2人の娘に対する詩もいくつか収載されており、自分が父になった時、また感じ方が変わるんだろうなぁと思います。

    巻末の茨木のり子さんの「祝婚歌」にまつわるエッセイも、とてもよかったです。

  • 結婚して20年余り、イビキをかいて寝ている妻の横で祝婚歌をかみしめる夜。

  • 4.1/478
    内容(「MARC」データベースより)
    「二人が、そして人が睦まじくいるためには」という祈りにも似た願いを込めた詩集。詩人の意を超えて多くの人の口にのぼり心に届いた「祝婚歌」を始め全32篇を収録。

    目次
    祝婚歌 /ひとに/早春のバスの中で/生命は/白い表紙/身も心も/母・舟・雨/夕焼け/伝道/雪の日に/二月の小舟/顔/日向で/一枚の絵/奈々子に/紹介/初めての児に/三月/遊び/創世記ー次女万奈に/虹の足/小さな出来事/立ち話/ほぐす/ウエストを/風が吹くと/父/過/素直な疑問符/滅私奉公/第二の絆/I was born
    「祝婚歌」茨木のり子
    編者あとがき



    『祝婚歌』
    (冒頭)
    二人が睦まじくいるためには
    愚かでいるほうがいい
    立派すぎないほうがいい
    立派すぎることは
    長持ちしないことだと気付いているほうがいい
    完璧をめざさないほうがいい
    完璧なんて不自然なことだと
    うそぶいているほうがいい


    『二人が睦まじくいるためには』
    著者:吉野 弘
    出版社 ‏: ‎童話屋
    単行本 ‏: ‎157ページ

  • 吉野弘といえば「I was born」だが、この「祝婚歌」もなかなかいい。今は仲のよい結婚したての息子夫婦に贈ることにした。いつまでも睦まじくあれ、と願って。

  • 一番好きな詩は「夕焼け」

  • 詩集って、読むのに文学的センスが必要で、少し敷居が高いイメージがあったけれど、この本に載せらせている詩に関しては、しみじみと深みはあるけど、読みやすくて理解しやすいものがほとんどだった。

    個人的には特に、
    祝婚歌/生命は/一枚の絵/奈々子に/ほぐす

    はすーっと心に染み込んで、勇気をもらえた。
    いつまでも心に留めておきたい大事な出会いになった。

    茨木のり子さんによるあとがき(?)によると、
    この「祝婚歌」は知り合いのドイツでの結婚式で、ドイツ語に訳されて聖書の一節とともに読み上げられ、現地の出席者にも大きな感動を与えたらしい。

    それを聞いた吉野さんが喜んだことに対して、
    「文学畑の人々に読まれ云々されることよりも、一般の社会人に受け入れられることのほうを常に喜びとする、吉野さん…」とのこと…
    詞がストンと胸に落ちる理由が分かった気がした。

    とは言え、まだ自分の人生経験の浅さゆえ、理解が及ばない詩もあったので、ぜひまたいつか読み直したい。

  • 祝婚歌で有名な吉野弘さんの詩集。
    代表作の祝婚歌以外にも、読みやすく、すうっと入ってくる詩が散りばめられている。
    加えて、装丁の淡い色使いや中の挿絵?マークのようなものもかわいらしい。

    やはり、祝婚歌は、夫婦になるときに心がけるべきことを柔らかく表現されていてそれでいてぐさっとささる。常に心に留めておきたいと思う。

    その他で好きだったのは、
    p66の奈々子に という詩

    _φ(・_・ 途中抜粋

    ひとが
    ひとでなくなるのは
    自分を愛することをやめるときだ。
    自分を愛することをやめるとき
    ひとは
    他人を愛することをやめ
    世界を見失ってしまう。

    お前なあげたいものは
    香りのよい健康と
    かちとるにむづかしく
    はぐくむにむづかしい
    自分を愛する心だ。

  • 吉野弘さんを初めて知ったのは、是枝裕和監督の「空気人形」という映画に、「生命は」という詩が引用されていた時でした。それ以来、吉野さんの詩を読むようになりましたが、そこには国語の教科書で習った「I was born」や、何故か何処かで見たのか、「祝婚歌」など有名な詩がありました。

    本書には吉野さんの様々な詩集から厳選された詩が編まれていますが、その一篇一篇は素晴らしく、どのページを開いても吉野さんの優しく、しかし鋭い洞察、視線、思いを感じて、切なくなったり、なんと言っていいのか、言葉にならない思いが次々溢れてくるのです。

    茨木のり子さんが寄せられた文章からも、吉野さんのお人柄、ご夫婦のあり方、茨木さんとのエピソードなども知ることが出来、読み応えがありました。
    先日の茨木のり子さんの詩集でもそうでしたが、出版社の童話屋 田中和雄さんが編者あとがきとして巻末に寄せられています。
    詞華集を作ることへの熱い思いや、何より詩、作品そのもの、作者への愛がしみじみ感じられ、このあとがきを読んだだけでとても幸せな気持ちになれました。
    童話屋さんの本をまだまだ読んでみたくなりました。

    タイトル「祝婚歌」ではなく「二人が睦まじくいるためには」と決まったときのエピソードも本当に素敵です。

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著者プロフィール

1926-2014 詩人。山形県酒田市生まれ。代表作は「夕焼け」「祝婚歌」など多数。校歌・社歌も多く作詞。詩集に『贈るうた』『夢焼け』『吉野弘全詩集』など。読売文学賞詩歌俳句賞、詩歌文学館賞受賞。

「2015年 『吉野弘エッセイ集 詩の一歩手前で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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