- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904863183
感想・レビュー・書評
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書き下ろしの「ブックモビール」が秀逸♪ 伊坂さん、やっぱりいいなぁ・・・肌に合うというのかな。。。夜のうちに、新潟を出て仙台に来てくれた電気工事のトラックのくだりに涙しようとしたら、すぐ先に「もしかすると震災後、最初に泣いたのはその時かもしれない。」と書かれてあり、伊坂さんも泣いたのか~、と思う。また、伊坂さんは、震災以降しばらく、小説も読めず、音楽も聴けなかったという。でも、そのエッセイの最後は「僕は、楽しい話を書きたい。」締め括られる。未曾有の震災の最中、周りの状況から意識を切り離して楽しめたのは、伊坂さんの「マリアビートル」でした。そして私は、よかった、ちゃんと笑える、と思ったのです。伊坂さんは、前のエッセイ集で「小説というのは、理不尽なことに悲しんでいる人に寄り添うものなんだよ」という言葉を教えてくれた。伊坂さん、これからも楽しい話を、たくさん書いてくださいね♪
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こなれていないところが、面白いと言えば面白い。でも伊坂幸太郎はやっぱり小説だなあ。思っていたより、まともというか普通というか、小説では感じられる非凡さがこのエッセイではあまり感じない。すごく身近。(でも、やっぱり違うんだろうけど)
あとがきにはタイトルほど仙台を感じさせるものがないと書いてあったが、いやいやどうして、学生時代に過ごした仙台を思い起こさせる部分があった。
「~が多すぎる」しばりも、結構成功していると思う。出版社の関係かもしれないけど、もうちょっと世に出回っていてもいいような。震災後に書かれたものもあるけど、多くはそれ以前。 -
伊坂幸太郎という人が、まるごと、好きだ。
ちょっぴり自意識過剰で、あらゆるささいなことにいちいち心配しまくって、それでも真面目に毎日を生きている伊坂さんが、大好きだ。
前半の「多すぎる」シリーズは普段の生活を覗き見ることが出来てほのぼのと心が温まり、後半震災後の部分は、うろたえ戸惑い手探りで進もうとしている伊坂さんに心が痛む。
こうやって史上最大の復興を進んでいくんだ! -
"震災のエッセイをまとめることで、この本が「震災の本」としてひとくくりにされてしまう危惧もあり"というのが印象に残った。少し前まで、「実家は神戸です」というと必ず「地震は大変だった?」て言われてた時に感じた気持ちと近い気がする。
前半のエッセイはほんとに面白かったー。自分が猫好きなせいか「ずうずうしい猫が多すぎる」に大笑い。「飼うつもりもなかったくせに。もてあそんだのね」とか「惰性で付き合っているだけにしか見えなかった女性が、唐突に、あなたと一緒のお墓に入りたいな、と身体をくねらせて寄ってきたような」とか、表現がほんとに素晴らしい(笑) この白猫嬢の行動も猫にしてはとても珍しい行動で、まさに作家の猫に相応しい猫だわー。
後半、伊坂幸太郎さんの繊細さが滲み出てくるようになり、とても心配になってしまった。大好きな作家さんが、また楽しい話を書けるようになりますように。 -
エッセイももちろん楽しんで読めるし、伊坂さんの人柄が伝わって、思わず涙ぐみます。書き下ろし短編の最後も感動的でバスの中で涙しました。
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前半は、仙台にはタクシーが多すぎる、といったエッセイ。後半に、東日本大震災とその後の心境の変化が綴られている。あの頃の、自分に何ができるかという無力感と、傷ついた人や頑張ってる人を見ては感じる罪悪感。そう、そうだったなぁと思い出した。
その葛藤の中で著者がふと気づいたことは、
楽しい話を書きたい。
ということ。
不安なときにニュースもワイドショーもネットの書き込みも、何を見ても情報はたくさん得られるけれどだから安心できるのかと言えば逆に不安になるだけだ。
それなら、楽しい話を読んで一時現実を忘れて、また現実を一つ一つ頑張っていくほうが良いじゃないか。マンガだって良い。人は辛いときに真面目な話なんて読めないんだ。 -
早く仙台行きたいな……
ってな事で、伊坂幸太郎の『仙台ぐらし』
伊坂さんが震災前に書き始めた仙台での暮らしのエッセイ集じゃったが、その途中で震災にあってしまう。
震災前と後での伊坂さんの心の持ちようと言うか、誰でもあの震災を体験すれば気持ちは滅入ってしまうじゃろう……。
わしは震災から2年後に出張で東北も担当する事になり初めての東北、そして仙台へ訪れた時、仙台空港の周りの家々は津波で基礎だけ残して無かったり、学校や空き地には瓦礫の山が鬼の様に積まれてたり、ホント現実とは思えなかった真実を目の当たりした時の震えは忘れられない。
で、本の内容は仙台での伊坂さんの日常生活で思った事、感じた事をつらつらと書き流している様で、出張で仙台へ行った時に伊坂さんに遭遇するんじゃないかと妄想してニタニタしながら読んでしまう
伊坂さんの極度の心配性や芯が強そうと思ったら、実は柔軟に柔らかく色んな物事を受け入れられる寛大な人なんじゃろなぁとキュンとしました(笑)
これを読んでる日の夜中にチビチビ呑んでたら、偶然?にも『重力ピエロ』が放送してたので運命感じた
重力ピエロは読んだ様な、読まなかった様な感覚で観たけど、原作は読んで無かったな
それで今日、図書館行って動力ピエロ借りようと思ったら借りられてた
他の人が昨日の映画観てわしみたいに借りたんじゃろな(笑)
2020年24冊目 -
伊坂幸太郎のエッセイ。半年に一度の連載をまとめたものらしい。東北の地震後の描写には、胸を打たれる。
書き下ろしの短編、ブックモービルは震災という骨組みはありながらも、出てくるキャラクター像は伊坂幸太郎作品という感じがあり、震災の話ではなく、そこにいる人間の話として、面白い。
『うまくは言えないのだけれど、その時、僕は、「ああ、そうか」と思うことができた。「僕は、楽しい話を読みたいんだ」と気付かされた。』 -
伊坂幸太郎さんのエッセイ、初めて読みました。
仙台に親戚が住んでいるので、震災前と後、こんな日常があったのかなぁ、と思いながら読みました。
「想像する」という言葉の使い方への指摘にはっとしました。
言葉によって人が傷つくことがあるということを、常に忘れないようにしなければ、と思いました。