- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988021128179
感想・レビュー・書評
-
ヴィム・ヴェンダース監督を見よう。(あんまり厳しくないものを…)
白黒ロードムービー
ドイツ人作家フィリップは執筆のためにアメリカを放浪するが、溜まるのは写真ばかりで原稿は書けない。見たものを映しておくと言っているけれど、自分を見失って書けない時期に陥っている。
仕方なくドイツに帰ろうとする空港でリザとアリスの親子に出会った。
リザはフィリップに「アリスをアムステルダムに連れて行って欲しい」というメモを託して姿を消す。
アリスは9歳でキュートでしっかり者。リザはどうやら彼氏と別れてドイツに帰ろうとするのだけれどもかなり揉めているようで倦怠感を漂わせている。フィリップは良く言えば若々しく、しかしいつまでも「自分を見失って、自分の人生に証明が欲しい」という態度が職場の人やガールフレンドから「いい加減にしろ」と思われている感じ 笑
アムステルダムに着いたフィリップとアリスだが、約束の日になってもリザは現れない。アリスを置いていけなくなったフィリップは、言葉の分からないアムステルダムでアリスの記憶と通訳を頼りにアリスの祖母の家を探すことになる。
ロードムービーなので、流れていく街の風景や二人の会話を楽しむ。アリスは置き去りにされたはずなのに悲壮感はないし、お金もなく人生の迷子中のフィリップも案外淡々と振り回されている。さすがに途中でフィリップがしびれを切らしたり警察にアリスを預ける時もあるが、完全に離れることはなく仲良く悪態を付き合いながら旅を続けることに。
こんな数日を過ごしてせっかくたどり着いた祖母は家を引っ越ししていた。ここまできたらフィリップも腹が座ったのか「自分の実家に連れて行くよ」。フィリップにとっても久しぶりの里帰り。しかしその道中で祖母と、母リザの居場所が分かる。
映画ではフィリップとアリスの別れの場面は描かない。フィリップがニューヨークで写真を撮っていたのは「特別な体験だと、自分が特別だという証明が欲しい」からだった。アムステルダムに着いてからは写真を撮ることは少なくなった。家に帰って「落書き」を仕上げるという。
ラストでジョン・フォード監督の訃報記事が出たので舞台は1973年らしい。このころは見ず知らずの成人男性と少女が一緒に旅をしてもそんなにうるさくなかったようだし、あったばかりの男女が同じ部屋に泊まってもなんということもない。(ある場合もあるが)
冒頭のニューヨークの都会から、飛行機でオランダ、列車、車と乗り継ぎ終盤のオランダの田舎町、そしてラストのドイツへ向かう船から長距離列車。移動手段は代わり風景は代わり気持ちも代わり故郷に帰っていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1974年に公開されたWim Wenders監督、Rüdiger Vogler、Yella Rottländer主演の西独ロードムービー。ヴィム・ヴェンダースのロードムービー3部作の第1作です。作家が空港で出会った9歳の少女と少女の祖母の家を探す旅に出るお話。Yella Rottländerが演じるアリスが、時折生意気な感じがするけど、とても健気でかわいらしい。映画のラスト、この先2人はどうなったのだろうか。
-
物書きの青年と、母親に置いて行かれた少女が辿る奇妙な旅路。
日常から抜けだして、街から街へと移り渡る放浪の日々。
そんな彼らの姿に、あてどなさと同時に、かすかに胸がさわぐような予感を覚える。それは遥かな旅情でもある。
都市から郊外へ、彼らの舞台背景となる「街」の描き方も非常に魅力的。
うらさびれたモーテル、エンパイアステートビル、懸垂式モノレール、深夜のガススタンド、前庭の大きな住宅街…
街フェチな方にもオススメな映画かと思います。
台詞も多くはないし、ストーリーに関する説明も必要最低限にとどめられている。
しかし、だからこそ
近づきすぎないことで、語られないことで、切り取ることのできる世界があるのだと感じた。
フィリップと一緒に撮った写真を翌日コッソリ眺めているアリスの穏やかな表情が、とても印象的だった。 -
モノクロームのロードムービー。
ポラロイドカメラが欲しくなった。あの時間差が素敵。
2人が写真を撮るシーンがかわいらしい。
あと、ジュークボックスの隣でアイスを食べてる少年が印象的だった。
映画館で何度も寝そうになったけど、こうやって今思い返すと良い映画だった気がしてくる。 -
昔みて、理由もわからずなんか好きだなと思った作品。
ヴェンダース作品の中では一番好きだったかも。
今見ると、なんだろう。
あまりにフラットで生活感がなくて、ちょっと不思議な感触の映画だなと思った。
例えば、アリスは「こんなものは食べたくない、もっとまともなものが食べたい」というようなことを言うが、何を前にこんなものと言い、何をまともなものと捉えているのかが見えづらい。
その視点の遠さがこの映画の魅力のひとつな気がする。
全てがただ、あるのだ。
うまく表現出来ないが、「異常さ」や「狂気」みたいなものがここまで全く感じられない映画も珍しい気がする(フェティシズム的なものも含めて)。
凪の海のような平らな目線でどこまでも進んでいくような印象を持った。
体操やおよぎながらののしり合うシーンはなんとなくカサヴェテスのハズバンズを思い出したが、ずっと静かでおくゆかしく(ハズバンズの友人葬式後のこれらのシーンも大好きだ)、これはこれで見惚れてしまうあいらしさだった。 -
-
自分を見失ったフィリップと居場所を無くしたアリスが偶然出会い、心を通わせ、旅を続けていく。
例えば、フィリップの怒鳴らない優しさであったり、...自分を見失ったフィリップと居場所を無くしたアリスが偶然出会い、心を通わせ、旅を続けていく。
例えば、フィリップの怒鳴らない優しさであったり、アリスの泣かない強さであったり、ふとした感情がとても魅力的だった。
アムステルダムで二人でプールで泳いだり、インスタントカメラで一緒に写真を撮るシーンが好き。
ライターの仕事を最後まで落書きと言われ続けて、苦笑いをするフィリップが良かった。
アリスもレオンのナタリー・ポートマンぐらい可愛い。
テンポもゆったりしていて、いい映画だった。
出てきた写真はヴェンダースが撮った写真だろうか?2013/02/07
-
-
中年の男と女の子が車、飛行機、モノレール、船に乗って移動していく、ただそれだけの映画なのだが、流れるようなシーン展開がモ
ダンでいい。
電車で読んだ新聞で、ジョン・フォードの死を知るあたりが、なんとも映画的でいい。
【ストーリー】
アメリカ東海岸の遊歩道。海辺でポラロイド・カメラで風景を撮り続けながらさすらっているフィリップ・ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)は、ドイツの出版社と約束している旅行記のストーリーが書けないまま1ヵ月が過ぎていることを気にかけていた。
航空会社の入口の回転ドアでフィリップは不思議な少女と出会った。9歳の少女アリス(イエラ・ロットレンダー)は、母親のリザ(リザ・クロイツァー)に連れられてドイツに帰ろうとしている所だったが、全便欠航になり翌日までアリスを預かってくれとリザから頼まれる。
翌朝、リザはメモを残して出かけ、フィリップとアリスが待つエンパイア・ステート・ビルの展望台には現われず、ホテルに書きおきしたメモがあるだけだった。
ニューヨークからアムステルダムに行った2人。しかし約束の日にリザはこない。アリスの祖母の家を探してヴッパタールへの車を走らす。しかし、2人が入ったカフェで、おばあちゃんが住んでいたのはヴッパタールではなかったとアリスは言う。アリスを警察に預け、ロック・コンサートを聞きにいくフィリップ。ホテルに帰るとアリスがやってきて、おばあちゃんの居た所が思い出せたという。
小さなアルバムの写真を手がかりにその家に向うが、もうすでに2年前に家主が変っていた。やがて、警察から、祖母もリザも見つかったと連絡が入りミュンヘンへと向かう。
旅行記を書くために旅に出た青年作家と、彼が偶然出あった9歳の少女アリスとの触れ合いを描く。製作はヨアヒム・フォン・メンゲルスハオゼン、監督・脚本は「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース、脚本協力はファイト・フォン・フェルステンベルク、撮影はロビー・ミュラー、音楽はCANが担当。出演はリュディガー・フォーグラー、イエラ・ロットレンダーほか。 -
ヴィム・ヴェンダース
第一作
ニューヨークの空港で会った母子と仲良くなり、その子供を預かってドイツへ帰る
映画全体を通して、抑揚は特にないが、やっぱりロードムービーの大御所だけあって雰囲気抜群。
あやふやではっきりしない目的地へ向かうまでの当てもなくさまよう感じが良い。
個人的にはパリ、テキサスの方が好き。どうやら初期ロードムービー三部作の一番目らしいのでのこりも見よう。
独り言は、独りで聴くものだ。
というセリフが印象的。
BGMはCANが関わっているらしいが、気付かなかった。 -
あんまり好みじゃない