アベノミクスで一見して景況が浮揚してきたように錯覚す昨今ですがグローバル勢にコテンパンいやられている国内電気メーカーや震災復興状況を見る限り未だ閉塞感を感じる今日この頃です。
そんな現代にタイムリーに一石を投じた出光左三氏(出光石油創業者)をモデルにした素晴らしい作品でした。
終戦とともに全てを失い日本の主要都市は瓦礫の焦土と化しGHQからの統制を余儀なくされる昭和20年に還暦も越えた一人の民族系事業家が日本の復興と民族の誇りのために石油事業を通して再生に向け立ち上がります。
店員(社員)を家族として愛し人間を尊重し強大化した業界の魔物に立ち向かいます。
世論を動かし政治家や官僚の胸襟を正し、そして欧米大国に屈することなく日本復興のために私利私欲をもたず信念を貫き通す姿には唯々、感銘するばかりでした。
著者:百田 尚樹の創作も多分に盛り込まれているのでしょうが事実に基づいた経済小説は艱難辛苦・夢・復興を通して大きな感動を与えてくれました。
そんな時代にそんな日本人がいた、読者の私も日本人に生まれたことを誇りに思わせてくれました。
一言で「ロマン」などというと軽薄ですがまさに事業家のロマンのすべてが詰め込まれていました。
現代日本の震災復興、本物の経済再生、世界の中での日本の存在意義に日本人の誇りを取り戻してくれる素晴らしい本でした。

読後感=日本人の誇りに触れ・・熱き胸に勇気をとりもどし・・

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2013年5月20日

読書状況 読み終わった [2013年5月20日]

レビューは下巻にまとめて書きます。

2013年5月20日

読書状況 読み終わった [2013年5月20日]

「ディアスポラ」それはギリシャ語で「まき散かされたもの」の語意ですね!
まき散かされる造られたTV報道やセンセーショナルなだけのTV報道、政府に情報統制されたTV報道が蔓延し、一方で近未来ネットメディアが更なる進行を遂げ、信頼性を失いつつあるTVメディアを舞台に繰り広げられるサスペンス小説でした。
報道現場の苦労在り、ネット生Vあり、マインドコントール、カルトあり、無差別テロありとサスペンスらしくかなり奇抜なストーリーですが面白く読ませていただきました。
しかし近年の民放の報道姿勢をみていると時折TVメディアの危機を感じさせることがしばしばあります。
そんな近代TVメディアに疑問の一石を投じる物語でもありました。

読後感=今、TVメディアが危ない・・・

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2013年4月11日

読書状況 読み終わった [2013年4月11日]

2013年148回芥川賞にノミネートされた作品ですが残念ながら受賞は叶いませんでした。しかしながらなかなかの作品です。
肉骨茶はバクテーという名でアジア料理店でも見かけます。
大茴香、桂皮、丁子、胡椒、大蒜など漢方系スパイスとポークリブを土鍋で煮込んだ薬膳料理でもあり元々はマレーシア・シンガポールの低賃金の苦力たちが肉屋が捨ててしまう骨に残る肉で作った料理が始まりとの由。
物語の主人公は、うら若い拒食症の女の娘「赤猪子」。
拒食症の女性の精神状態と考動がリアルに心理描写されています。
一方、対比的に健康な友人女性「ゾーイー」(日系マレーシア人)とその使用人であり大食漢アブドウルは対極の好食人間。
ささやかな嫉妬心から始まる悶絶の夕食の末、赤猪子の心理はいかように・・・。
読み応えのある若手作家、高尾 長良氏の作品でした将来がたのしみですね。

読後感=膨満感がそのままつわってきました。

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2013年3月28日

読書状況 読み終わった [2013年3月28日]

昭和初期のアールヌーボーな空気の中、昭和モダン華族社会を舞台にしたミステリーでした。
主人公の子爵は複雑な訳あって容姿は老若問わず女性を振り向かせるクオータ・・その上、機智に長け理知的であり大変リベラルとくれば男としては羨望の極みです。
ロマンスとは何ぞや?愛するがための強迫観念と代償行動は心の何を満足させたのか?
きっと華族社会そのものが隔絶した密室のような世界なのでしょうね。
切ない結末まで読み応えのある一冊でした。
民主主義とはいえ尊皇社会の中で堕落した華族の醜聞や昭和維新・尊皇討奸などもモチーフになっていて当時の社会背景を垣間見ながら楽しませていただきました。

読後感=切なく・・昭和アールデコ・・・

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2013年2月28日

読書状況 読み終わった [2013年2月28日]

両親の離婚から父と離別し、イジメから引きこもりニートとなった主人公「人生」、そして似て遠からぬ複雑な母子家庭で育った対人恐怖症の童女のような「つぼみ」、亡くなった同一人物の父(義父)をもつ二人は亡き父の愛に導かれるように祖母の暮らす蓼科に引き寄せられ茅葺の古民家で三人の暮らしが始まります。
痴呆症の祖母の生き様を知ったことを切っ掛けに「自然の田んぼ」で始まる、お米の有機栽培を通して、人間として大らかに成長していく二人の物語は清々しく成長する稲そのものでした。
「一粒のお米の中には7人の神様がいる」尊い教えに象徴されるようにコメ作りの大変さと豊穣の喜びを知るスローライフは羨ましくもあります。

著者:原田マハ氏の物語はいつも読者の私を心地良い空間に引き込んで心を温めてくれます。
いじめ問題・地域コミニティ・高齢者介護・農業衰退など現代の社会問題を、さり気無くうまく絡めたストーリーテーリングには流石と唸らさせて頂きました。

読後感=おにぎり食べたくなりました・・手塩にかけて握ったやつ・・

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2013年2月21日

読書状況 読み終わった [2013年2月21日]

芥川賞作家 津村 記久子氏の作品です。
私は本を無作為に選び任意に読みますが、それでも商用小説が多い昨今に、時折このような文学と言える本に出会います。
古い椿ビル西棟で日常を送る人々の呉越同舟ぶりが微細な心の搖動とともに描かれています。
ビルの中の様子や店子の生活描写はきっと「ドメイン」(棲息域)がテーマなのでしょうね。
共有物置での姿の見えないコミニケーションや豪雨帰宅難民騒ぎにウィルス感染疑惑を通して古いビルの存続は揺れ、物語は進んでいきます。
同じビルの中でも棲息する者は人生観も年齢も職業も夫々で抱える事情も違いますが同じ棲息域を共有しています。
舞台となった古いビルはおそらくは1970年前後に建てられたビルなのでしょうか?そこに棲まうものの「居心地感」が感じられ価値観として上手く表現されており登場人物の生活臭を興味深く味わい深く読ませていただいた一冊でした。

読後感=無味乾燥な最新オフィスで働くよりこんなビルに棲息したい・・

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2013年2月16日

読書状況 読み終わった [2013年2月16日]

楽しく読めたミステリーでした。
舞台は「質屋」と「芸大」といったとが興味を引くテイストになっています。
主人公「円」は物に触れると、そのものに刻み込まれた記憶のメモリィが読み取れる特殊な能力を持つ女子大生であり質屋の跡取り娘、溌剌として正義感も強く事件を感じれば放っておけない、可愛いおせっかい娘です。
現代っ子の語り口と質屋主人のオババとの掛け合いも微笑ましく謎解きは進みます。
エスパーのような特殊能力をモチーフにしたミステリーはままありますがTVドラマ感覚で読める面白さがありました。

読後感=私は千里眼能力が欲しい・・・

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2013年1月31日

読書状況 読み終わった [2013年1月31日]

人とはただ生きているだけで事の大小を問わず罪を犯しているものですね。
生きている限り好むと好まざるとにかかわらず波瀾に巻き込まれ望まぬ結末に陥ることがあります。
取り返しのつかないことも真摯に生きることで、やがて雪が解け、花が咲き、灼熱の太陽に耐え、秋風にやすらぎ、季節が巡る如く少しずつ清らかになって行くものなのでしょう。
舞台となる海辺の寒村、地塩村「尽果」は伝説の如く、現代の非弾圧者、世捨て人、罪人が引き寄せられ寄り添う桃源郷なのかもしれません。
そして故郷のようにそれを優しくつ包む「尽果」の風土は読者の私も一緒に心地の良い空間にインナートリップして読み進めることができました。
ミステリー風に仕立てられた物語は人生のひと時に行き会う不幸の中で罪を犯し苦しみ苛んでさえも罪を償うために生き続けていくそんな人としての正しき生き方を見させてくれました。

読後感=聖書の教えを・・ふりかえり

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2013年1月25日

読書状況 読み終わった [2013年1月25日]

久しぶりに手に取った 田口 ランディ氏の作品でしが、どれも彼女らしい感性で書かれた4編でした。
愛は駄男への愛しさであり、弱者への博愛であり、師への敬愛であり、父への尊厳と家族愛でありました。
過去の代表作にもある、いつも人間心理の根底に響く作風は田口 ランディ氏独自の世界を読ませてくれます。
特に読み入ったのは4編目の「森へ還る人」、主人公をや登場人物をとおして人間愛について多く共感できるものがありました。

読後感=愛するものの心は何処でもいつでも誰でも普遍なりし

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2013年1月19日

読書状況 読み終わった [2013年1月19日]

私的に最近、気になる作家 「原田マハ」さんの作品です。
マハさんの描く海千山千でありながら純粋で真っ直ぐなアラサー、アラフォー女性はピカイチですね。

ご自身も創作執筆活動の合間に年間150日以上の旅をされるとの事で本書でも旅の楽しみ方や旅の意義、旅のあるべく姿が主人公、通称「おかえり」丘えりかを通して綴られていました。

読者の私事ですが私も仕事柄、年間150日前後の仕事旅をします。
もちろんビジネスが目的ですのであまりドラマチックなことはありませんがそれは旅する者の心がけのせいでしょうね!?
本作を通して感じたことは季節や人の心や生き様が旅をより良いものにしてくれと言ったところです。

心を暖かくさせてくれ、とっても元気のもらえる一冊でした。
是非シリーズ化していただき、また「おかえり」の笑顔や泪や人情を読ませていただきたいと感じました。

読後感=うつせみの人の世は旅なり

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2013年1月10日

読書状況 読み終わった [2013年1月10日]

島国日本・・・日本の文化は島だからこそ育ちました。
シーカヤック・セーリングカヌーでアイランドホッピングを趣味にする私にはたまらない一冊でした。
島の形状・風土・特徴・産物などフルカラーで紹介されており楽しく島めぐりをさせていただきました。
あちこち200島以上はリアルにめぐっていますが本書に載っている433島全部巡ってみたいものです。

読後感=日本島図鑑「無人島編」も出版ほしいものです♪

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2013年1月12日

読書状況 読み終わった [2013年1月12日]

マッドサイエンスものです。
脳科学、分子生物学、情報工学の集大成でしょうか?
この物語を書き上げるのに参考とした、あとがきに紹介されている文献が、また層々たるものです。
科学に支えられた物語は奇天烈、ナンセンス、ジョークの塊ですがですが主人公のアカネは純真まっすぐでカオスのなかの白いバラの花のよう♪
アカネの周りでジェットコースターのように進む物語は笑いながら科学していきます。
アインシュタインのような亜玖夢博士の論理解説は中々お勉強になりました。
ワハハと読める娯楽小説の正体ははニューサイエンスなのかもしれません?

読後感=混沌とした世の中は全て科学で説明がつかないところが面白い!

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2012年12月31日

読書状況 読み終わった [2012年12月31日]

哲学的なアプローチで書かれていた7話の中短編は静謐な印象のある文体でした。
現代でも少し前のシュールリアリズムといった雰囲気が好いですね♪
私的に一番気に入ったのは「理想的な月の写真」でした。
仕事の依頼者の家族で今は亡き故人を対象に実在したかどうかも不明な人物を思いやり哲学的想像のもと音楽とともに物語が進んでいく辺りは人間の持つ刹那的味わいを楽しませていただけるものでした。
合ったことのない人の過去を通して客観的に人生の悲喜交々を心や感情の動きとして表現しているところは中々の手法です。
読む側としては一味違った楽しさがありました。

読後感=淡々と濃厚に哲学♪

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2012年12月17日

読書状況 読み終わった [2012年12月17日]

芥川賞作家の田中慎弥氏の作品ですね♪
少し文学路線から外れて日常の遊び心が感じられる37話のショートショートです。
ブラックユーモアありウィットジョークあり、さりげなく殺人ありムフフ・・・と笑わせていただきました。
下関海峡町ネタもキッチリ織り込まれています。
出張移動時間の合間に小刻みに楽しましていただいた一冊でした!

読後感=言葉をつくるならグレーユーモア♪不思議な楽しさあり。

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タイトルRepair・・・「修復」「修理」という意味ですね♪
私も、リペアマニア的趣味があり物語に出てくるリペア技法は楽しく読ませていただきました。
本物語は女革職人のアトリエを中心に物語られるミステリーです。
この世には直してでも大事にし続けたいモノが沢山あります。
そんなことをしっとりと考えさせてくれました。
リペア(修復)することで壊れたり傷んだモノは確かに治るのですが完全に元通りには戻りません。しかし直すことで別の味わいや想いが湧いてきます。
本書では主人公の女職人、透子の周りで拠無く色々な人間や人間関係が壊れてたり疲弊したり劣化していきます。
それでも職人気質でそれに立ち向かう透子の姿は真摯であり優しく厳しく排他的倫理の中の不遇でも人としての在り方が描かれていました。
そして痛んだ透子自身の心が自身によってリペアされて行く姿は健気でもあり清々とさせてくれます。
紐解かれて行く謎もある意味でリペアブルと言えるのでしょう。

読後感=直らないものは治らないなりに直すことがリペア・・・

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2012年12月7日

読書状況 読み終わった [2012年12月7日]

「Apocalypse」はギリシア語で「覆いを取り除くこと」を意味するそうです。「Apokalypsis」を語源に、「秘密の暴露」「神による秘密の開示」という想いで書かれた小説のようです。
本書アポカリプスは少女コミックっぽく物語れる悪魔の化身に恋した葉子の物語であり悪魔の化身に自身の愛を捧げるファンタジーでした。
生身の肉体である「覆いを取り除き」心を許した「悪魔神による秘密の開示」が黙示として語られていました。
モチーフとしてはなかなか面白いのですが率直な感想は、もう少しオリジナリティが欲しかったと思いました。
神や悪魔の黙示は献身(生贄)と独善的愛に成り立つもののようです?
日本語で「Apocalypse」を語ろうとする小説でした。

読後感=ギリシャの神々のように・・悪魔神に魅せられる・・

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2012年11月23日

読書状況 読み終わった [2012年11月23日]

幼馴染はいつも言葉に代えがたい共感が持てるものですね。
そんな思春期から大人になりかけた想いを、したためた物語でした。
小中学同級生からの不安定な友情を大事にしながら大人になりかけた友愛小説です。。。
少しくすぐったく感じながらコミック感覚で楽しく読ませていただきました。

少年少女時代の思い出を共有しながら幼馴染は共に大人に成長していきます。
旅立ちたいのに旅立てない現代若者のジレンマが切なく面白く書かれていました。
私にもこんな青春もあったかな?・・・・
なかったかな?・・・
思い過ごしだったかな?・・・
デモあったよな?・・・
とわが身の青春時代を少し振り替えさせてくれた小説でした。

読後感=一人で旅立ちたかった・・あの頃の・・・

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2012年11月22日

読書状況 読み終わった [2012年11月22日]

ノンフィクション作家 平山 譲 氏の作品です。
年齢を問わず子供から大人まで読めるエイジレスな小説であり、またスポーツへの興味の有無を問わず読めるボーダレスな小説でした。
7話の実話はパラリンピック選手やそれを育み支える人々の物語です。
7話とも短編ですがその物語の中には長編小説なみの内容が凝縮されていました。
スポーツを愛して止まない想いの丈が簡潔に物語られていますが、登場人物の人生観やチャレンジャーが費やす健常者の1万倍以上の努力がヒシヒシと伝わってきます。
身体障害者という気負いもなく希望に向う人たちの姿は潔く清々しく心に響きます。
(引用):パラリンピックの父と称される医師ルートヴィッヒ・グッドマンの名言である「失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ」:
の言葉は健常者、身体障害者に関係なく人として生きていくための教訓ですね。
勝つ事を考えるより負けない心を持つこと、諦めるよりはまず始めること、仲間と笑い共に生きることを教えていただけた一冊でした。

読後感=パラリンピックから贈られた「希望」を受け取らせて頂きました。

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2012年11月12日

読書状況 読み終わった [2012年11月12日]

著者:太田光氏は沢山のバライティ番組でご活躍され政治・社会現象から芸能・ゴシップなど幅広く司会やコメンティターとして独自の感性で笑いの共感を提供してくれることで人気がありますね。
本書もそうした感性で童話・寓話風に22話の短編ファンタジーがおさめられていました。
それぞれのお話はオムニバスとして少しずつ関連性があり、またアンソロジー風に物事を見る角度を変えたりと面白く編集されていて太田光氏の物書きとしてのチャレンジ精神も感じられました。
宮沢健二の童話を彷彿とさせてくれる暗喩や祈りも感じられましたが読者(私)が期待する著者のオリジナリティとしてはもっと天才マルチ芸能人の持ち物を読ませてほしかったと感じました。

読後感=次回作品に期待・・・・・・

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2012年11月11日

読書状況 読み終わった [2012年11月11日]

ふふふふふ♪・・・昭和30ん年代に幼少期を過ごした私にはノスタルジーが共感できる11話の連続小説でした。
西平良平さんのアニメ「三丁目の夕日」より臨場感のある昭和30年代が描かれています。
それは大人の目で見た昭和30年代ではなく往時子供だった主人公が一人称で往時の子供の目の高さで見た世界を語るからでしょう。
街中で不可思議な送り提灯に迷子から救われたり。
心霊的な幻や夢を見たりと・・そうしたお話も昭和30年代らしいですね。
まだ町には大戦出兵の心の傷が癒しきれていないひと、戦後復興に一役駈った任侠関係者もでてきます。
戦後10年と少し昭和高度成長期に入るしばらく前・・貧しいながらも、やっと平穏で平和な時代が訪れた昭和の風景とご近所付き合いが子供の目線と感性で描かれていました。
子供の目から見た11人の昭和の奇妙な大人たちの姿はセピア色の懐古感たっぷりです。
また森田みちよさんの挿絵も見どころの一つで物語の抑揚を一層を引き立たたせてくれました。

読後感=タイムマシンがあるなら昭和30年代あの町にもう一度もどりたい・・

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2012年11月5日

読書状況 読み終わった [2012年11月5日]

タイトル「夢の栓」5章に分かれた長編小説ですが読んでみると5話の夢の中での安寧と夢告げ信仰そして緩やかなシャーマニズムがテーマのオムニバスの様でした。

大変丁寧に書かれた夢告げに象徴される物語は読み応えがあります。
「ねるよりらくはなかりけり」私もよく感じることです心身ともに疲れてくると眠っているときほど人にとって幸せなひと時はないもの思います。
一種の現実逃避でもあり心の洗浄でもあり再生なのかもしれません。

夢の中で何かとつながる感覚や夢の中で何かが壊れる感覚や夢の中で何かが満たされる感覚は夢告げ信仰や忘れられていた神や精霊を生み出すには十分な不可思議さがあるものですね。
そんな感覚を全部伝えてくれるお話でした。

戦争、高度成長、自然破壊、金満資本主義、宗教の相違などが複雑に絡まり合い、文化の変遷とともに変わりゆく世の中で私たち人類はは長い夢を見ているのかもしれません。そんなことを考えさせてくれる一冊でした。

読後感=寝るより楽はなかりけり・・想いは夢のなかへ溶ける・・

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2012年11月3日

読書状況 読み終わった [2012年11月3日]

太平洋戦争、その終戦はその場に立ち会った人々の数だけあるのだなと感じさせてくれる物語でした。
私の暮らす広島出身、著者:西川 美和 氏の叔父の手記をもとの書かれたノンフィクションです。
主人公は終戦間際に第二乙種合格として徴兵され三か月後に見習い通信兵として終戦をむかえ幸か不幸かその間に離れていた故郷広島は原子爆弾により完全破壊されます。
終戦のあり方は国体(こくてい)の存続のような大意的なものだけでなく終戦を迎えた人々の中にそれぞれのあり方があったことを教えてくれました。

小説のモチーフにもなっているポツダム宣言の中の1節「 the unconditional surrender of all Japanese 」そして原子爆弾は宣言書末節の「utter destruction. 」の通りに投下されました。
とつとつと語られる物語の中に無条件降伏からやがて始まる現代日本はポツダム宣言から何を学んだでしょうね?と省みさせてくれる物語でした。

読後感=日本はポツダム宣言12項「freely expressed will of the Japanese people a peacefully inclined and responsible government.」を現代にも当てはまる本当の意味で実現してほしいと願う。

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2012年10月20日

読書状況 読み終わった [2012年10月20日]

近代建築遺産をテーマにした小説でした。
鳥取のローカル線若桜鉄道のうぐいす駅の保存を巡って村民のなかで繰り広げられる物語は駅舎保存運動と絡め老齢過疎化や社会福祉などやんごとなき村事情もでてきます。
突然巻き起こる村長選の中でその行方が綴られていきます。
うぐいす駅は架空の駅舎ですが全国にはこうした駅も実際に多いことでしょうね?
最近私自身が身近で立ち寄ることあった近代建築遺産驛舎は関西本線JR奈良驛舎・井笠鉄道新山驛舎・そしてつい最近大々的にリニューアルOpenした東部伊勢崎線浅草驛ビルと東京丸の内駅舎でしたがマイナーでも小さな近代遺産でも、あちらこちらで沢山残してほしいものだなと微笑ましく読ませていた一冊でした。

読後感=古きを顧み新しきを創る・・・

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2012年10月18日

読書状況 読み終わった [2012年10月18日]
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