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はつ恋 (新潮文庫)
- ツルゲーネフ
- 新潮社 / 1952年12月29日発売
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奔放なジナイーダが蠱惑的。想い人を奪われたというのに、父親に対して嫌悪の感情は湧いてこないのが不思議だ。
2014年6月2日
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城の中のイギリス人 新装版
- アンドレ・ピエール・ドマンディアルグ
- 白水社 / 2009年3月1日発売
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澁澤さんの他著にて知り、読みました。
こういう小説なんていうのかな、怪奇小説でいいんだろうか。
ある男の、城の中で行われる淫靡で破滅的な行為の数々。その城に招かれた主人公はこれまで見たこともないような料理などのもてなしを受ける。
その料理の描写が実に細かい。徹底的に細部まで書ききったその料理がゲテモノだったりするのが残念だが(笑)
さすがに物語終盤、母子を「壊す」シーンは気分が悪くなった。
そして、すごく読みやすい訳をつけている澁澤さんありがとうございます!序盤で黒人の言った台詞、「おっと合点承知の助」には声を出して笑いました(笑)原文は何て書いてあったんだろう?
2013年12月9日
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ジェニィ (新潮文庫)
- ポール・ギャリコ
- 新潮社 / 1979年7月27日発売
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猫を題材にした小説は数多くあるだろうけど、ここまで詳細を緻密に描いたものはそうそうお目にかからないのではないだろうか。
例えば、ミルクを飲むときに舌を上に巻いて飲もうとするもうまく出来ないピーターに、ジェニィがレクチャーする。
「あたしたちは舌を上や、まわりに巻き上げないで、舌に巻くのよ、ぐるりと」
そんなところまで観察したことがないから真偽のほどは分からないけれど、そのような些細な事柄さえも丁寧に描写したギャリコの猫に対する愛情の深さに感嘆する。
猫となったピーターの、ジェニィとの触れ合いのなかで立派に成長していく姿を見て、思わず笑みがこぼれる。
相手を慈しむ愛情や、一時の過ち、宿敵との戦い、など、様々な事柄を通して強く逞しく育つピーター。とても素敵な冒険譚でした。
2013年11月27日
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青年のための読書クラブ (新潮文庫)
- 桜庭一樹
- 新潮社 / 2011年6月26日発売
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読書クラブを軸に起こる、様々な時代の様々な事件。それらがひとつの川のように連なって、ラストに繋がったときの爽快感。いいですね。
登場するキャラクター達も不思議な魅力を持った子たちばかりで楽しかったです。僕が好きなのは「シラノ・ド・ベルジュラック」を題材にとった一話目。
彼女らのような立場に立ったとき、そのような役回りを演じ徹することが出来るのだろうか。このテーマは個人的に好きなものでした。
2013年11月11日
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トリツカレ男 (新潮文庫)
- いしいしんじ
- 新潮社 / 2006年3月28日発売
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面白かった!
読み終えて、すごく幸せになれます。
ジュゼッペが「トリツカレ」た物事を活用して(その自覚はないのかもしれないけど)活躍するのなんて、ワクワクしてたまりません!
なんて素敵なおはなしなんだろう!
2013年11月11日
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レインツリーの国 (新潮文庫)
- 有川浩
- 新潮社 / 2009年6月27日発売
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有川さんらしい!
読み終えた感想がそれ。
こってこてで、あまーい恋愛小説。もちろん喧嘩やいさかいはあるんだけど、そういうのも含めて甘々な話でした。
主人公の関西弁が、読みながら少しめんどくさいなと思った以外は特にマイナス評価するとこはなかったです。
二人が初めて会うとき、本屋さんで待ち合わせしてたのが素敵です。憧れですね。あー、恋したいな!そういう気持ちにさせてくれる作品です(笑)
2013年11月11日
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狭き門 (新潮文庫)
- ジッド
- 新潮社 / 1954年8月3日発売
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つらい、つらい、つらい。
どうしても異なる宗教への理解が不足しているので、アリサがなぜそのような行動をとるのか、本質では理解が出来ない。
もちろんそれを間違っていると非難することはないのだけれど、なんの飾り気もない感想としては、いやだ!というしかない。愛する人には、隣にいてほしいじゃないか。隣で微笑んでくれるだけでも幸せになるじゃないか。
愚直なまでにひとりの男を愛し抜いた、これもひとつの愛のかたちなんよねぇ。
2013年11月11日
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ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)
- ロンゴス
- 岩波書店 / 1987年3月16日発売
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若き男女の初恋の物語。
ご都合主義のオンパレードではあるものの、恋を知らないふたりの心の機微が繊細に描かれていてとても微笑ましい。
ほかの登場人物もなかなかにキャラが立っていて面白い。
こんなものが紀元前に書かれていたのかと思うと、驚くと同時に、人間の感性の普遍さにニヤリとしてしまう。だってラブストーリーのテンプレみたいなんだもの!
2013年11月11日
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陽だまりの彼女 (新潮文庫)
- 越谷オサム
- 新潮社 / 2011年5月28日発売
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女子が男の人に読んでほしい小説!というコピーに惹かれて購入。越谷さんの作品はこれで2作目だったわけです。
ヒロインの真緒がとてもかわいらしく、素敵な恋愛小説…と思いきや。
そこらに散らばった伏線に思わずうなってしまうミステリ要素と、想像していなかった真緒の正体…そして結末へのファンタジーでハートフルな展開。
僕は、ハッピーエンドだと思います。
2013年11月11日
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智恵子抄 (新潮文庫)
- 高村光太郎
- 新潮社 / -
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穏和にして凄絶。
やさしさ、やわらかさを感じつつも、強烈に感じるのは、すさまじいほどの、愛。
うまく言葉に言い表せないけれど、そんなことを感じました。
2013年11月11日
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雪のひとひら (新潮文庫 キ 2-3)
- ポール・ギャリコ
- 新潮社 / 1997年11月1日発売
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かわいい!
なんてかわいいんだ!
まずはそう言いたい。
雪のひとひらが空から降りてきて、冬を越え、町へと流れていき。
大切な人との出会い、試練、そして別れ。
ひとりの女の一生を擬人化したもの、ではあるんだろうけれども、そうじゃなくてもっとシンプルに、もっとナチュラルに。
絵本にして子どもちに読み聞かせられる、そんな作品であると同時に、考えさせられる深い教訓を内包した作品でもある。
なんて綺麗なんだろう、と思った。
2013年11月11日
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林檎の樹 (新潮文庫)
- ゴールズワージー
- 新潮社 / 1953年8月10日発売
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妻との旅行で立ち寄ったとある田舎で、男は若かった頃の恋を思い出す。そのように回想として始まる物語。
これは…
なんといっても田舎娘のミーガンが可愛らしい!主人公のシーツをくんかくんかしていた彼女にメロメロです(笑)声を出して笑ってしまいました。
時に情熱的に、時にいじらしく、
心を捕らえて話さない彼女の不思議な魅力に惚れてしまいます。都会に出てきて主人公を探す場面の悲壮感、胸がギリギリと痛むようでした。
ミーガンが素晴らしく愛らしい女性であるだけに、身勝手な主人公にはイライラしてしまいます。彼の気持ちは分かるけど、やっぱり自分本意の言い訳でしかないんですよね。
全編、主人公の語りではありますが、彼に感情移入するのではなく、ミーガンというひとりの女性の恋物語と捉えると、もしかしたら良かったのかもしれません。
2013年11月11日
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田園交響楽 (新潮文庫)
- ジッド
- 新潮社 / 1952年7月17日発売
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ジッドの作品はこれがはじめて。
宗教に関する問題は、やはり他の宗教観を持つ者には理解しづらいものかな、と。
でもそこに気をつけて読んでみると、四人の男女のそれぞれの愛のかたちが分かりやすいくらいに見えて、なかなかに面白い話でした。
なかでもジェルトリュードが美しい世界を全身で感じ、学んでいく前半。彼女の心の美しさに、思わず優しくハグして頭を撫でてやりたい気持ちになりました(笑)
しかし、目の手術が終わり、今まで感じていた世界を「見た」ことから物語は一気に転げ落ちます。そりゃもうころころなんてもんじゃなく。一気呵成にごろごろっと。
ジェルトリュードを愛でる気持ちだけで一気に読めます(笑)
ページ数も少なく、読みやすかったです。
2013年11月11日
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春琴抄 (新潮文庫)
- 谷崎潤一郎
- 新潮社 / 1951年2月2日発売
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谷崎文学をもっと読みたい!そう感じさせてくれた作品。盲目のお嬢様とそれに仕える使用人の、悪魔的で耽美な物語。
ほんのワンシーンだけ、お嬢が優しい言葉をかけるんだけど、この言葉を聞くためにここまで読み進めたのか!と納得してしまうくらいのありがたみが含まれていました(笑)
美しい作品。自信をもってそう言い切れます。
2013年11月4日