岩波文庫的 月の満ち欠け

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000014113

感想・レビュー・書評

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  • 322ページ
    1600円
    6月4日〜6月5日

    小山内の娘、瑠璃は7歳の時突然高熱を出し、それを機に人格が変わってしまったと妻は言う。知るはずのない昔の歌を歌ったり、短歌を知っていたり、挙げ句、家出をしてしまう。そして数年後、小山内のもとに瑠璃の生まれ変わりだという緑坂るりが現れる。

    時の流れが前後するのがうまく章立てされていた。あれから何年後だろう?とか、今何歳だろう?と、わからなくなりながらも、そこはうまく補填されていき、あまり気にならなかった。ただ名前が同じ瑠璃であるから、混乱しそうにはなる。最後、妻の生まれ変わりが存在するとわかったそこに着地することと、るりと三角が再会した後が詳しく描かれていないのが、この話の良いところなのだろう。


  • とってもピュアな純粋な物語だった これぞァンタジーって感じ。

    前世の記憶ある子どもって 本当におったりするんやろか?

    大きくなったら忘れるけど 小さい時に胎内記憶語ったりする子 おるよね 死んだおじいさんに会ったとか
    信じる信じないじゃなくて もしあったらステキやなーっと思った
    想うことって、時としてすんごーい力を 発揮するもんね

  • 瑠璃、何回もうまれ変わってくるけど、その度親をはじめ周りを不幸にしてるし、もう生まれてこんでよかろう!としか思えなかった。アキヒコくんに会えても年齢差が広がるばっかりで、会えたところでどうなの?
    瑠璃のは純愛ではなく、思い出補正され純愛風ラッピングがかかった執着だと思う。だから何回生まれ変わってもアキヒコくんに会うことが大事で、自分の気持ちだけが優先されるから、周りを不幸にする。生まれ変わる人は相手の気持ちを考えてあげれる人から生まれ変わって欲しい。言ったもん勝ちみたいなん嫌やあ!と思う。
    それでも面白くて、読むのが止まらなかった。


  • 小山内がタバコの煙が目に入って痛がっている様子だったりとか、小山内の奥さんが真剣な話をするときに無意識にする行動だったり、幼い瑠璃の身長から見る景色だったりとか、些細なことなんだけど、その描写があるのと無いのとでは全然違うと思う。そんな細かい所まですごく意識されて書かれているなーって感激しました。
    当たり前だけど私にはこんなにすごい想像力はない!
    最初から最後まで夢中になって読みました。

    本なら時間を忘れて夢中になるのに、映画となると途端に集中力がなくなってしまうので、映画は観ないと思いますが、本はまた読みたいです!
    同じ人いるかな〜…

  • おもしろかった。けど、時系列と登場人物の関係性がこんがらがりなかなか難しかった。もう一回関係を整理しながら読みたい。

    もっと泣ける感動モノかと思ったけど、前世の記憶・生まれ変わりを題材にしたSFフィクションな印象。映画の予告が純愛風にしてあっただけに、それを期待しちゃってると肩透かしをくらうんだろうな。

    この一冊に何人もの人生が詰まってた。「月が満ちて欠けるように、生まれ変わって違う人生になっても愛する人にだけ分かるように合図する」というとこだけ切り取るとロマンティックなんだけど…なんとなく不気味なのが実際なんだろう。読み応えバッチリ。

  • 樹木のように子孫を残し死んで行くか?
    月の満ち欠けのように生と死を繰り返すか?

    愛の深さが条件なら他に生まれ変わる資格のある人はたくさんいるよ。


    場面の切り替えが、上手に出来なくて、つまづきながら読んだのは 自分の読解力が圧倒的に不足してるからのです(笑)

    映像化されるよぅなので そちらも楽しみです。


    正木竜之介……
    そんな悪い人じゃなぃょ(泣) たぶん……

  • 前情報全くなく読み始めて困惑している。これはホラーSFなのか?

  • 私はいつも、次生まれ変わったら…を考えます。
    ただし、今の想いを引き継ぐという発想はない。
    考えているのは、現世をちゃんと真っ当に生きなくちゃ、次、生まれ変わるのは蛇とか、蜘蛛とか…、もっと行いが悪いと深海に生きる生物だったり、見た目が気持ち悪い変なものに生まれ変わることになると恐れている(笑)

    この小説では、愛する人に気づいてもらうまで、何回も生まれ変わるんだけど、ちょっと怖さも感じた。
    壮大な愛の軌跡、登場人物の人生が織り交ぜられ、整理しなくちゃと何回か前に戻って読み直しました。

    ラストは、鳥肌が立ったけれど、その後、どうするんだろう。。。
    やっぱり、たとえば生まれ変わって愛する人のそばに行けたとしても、気づかれない方がいいのではないかと私は思う。
    なんとなく、亡き妻に似てるなとか、亡き娘ぽいとか、なんとなく感じるのがいいと、私は思う。



  • 最初に読んでいると男性側からの強い愛情を感じて、
    まるで女性はそれを受け入れているだけに読める。
    だけど途中からそれは大きく変化して
    瑠璃はアキヒコくんを、梢は堅さんを目に見える以上に強く強く愛していたことに衝撃を受ける。
    それは何度でも生まれ変わって何度でも会いたいと願うほどに。
    どんな形であっても一緒にいたいと願うその気持ちは静かな狂気を孕んでいる。
    そしてそんな狂気も孕んだ瑠璃の深い愛情を待っていたアキヒコくんのラストシーンは印象的で、幸福な気持ちになった。

  • 再会のため月の満ち欠けのように転生する話。時系列が変わり複雑な構成。転生を繰返すたび恋人との年齢差が開いてしまう非情な運命。最後の一言で報われた気がする。
    岩波文庫的!

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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