星の子

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 1887
レビュー : 286
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514745

感想・レビュー・書評

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  • なるほど、なるほど…。

    今回の芥川賞候補作として発表されたこちら。

    何より装丁が素敵。
    色が良い。

    内容は新興宗教ものなのでだいぶデリケートなんだけど、
    切ない暖かさがつまっている。

    友達、みんなこんな風なら良いのにね。
    そうしたら色んなこと乗り越えられるね。

    愛するひとの信じることを自分は信じられるのか。

    お友達の、みんな騙されてるのかもしれないという話のくだりに哲学を感じた。


    ラストの余韻が凄い。
    きっとあの夜のあと、色んなことが大きく変わるんだと思う。
    良い方向だけでは無いだろうけれど。

    あえて描かれない部分に深い奥行きを感じる作品だった。

  • 病気がちな女の子として産まれたちーちゃん。か弱い娘をどうにかしたくて新興宗教にどっぷりとはまる両親。そんな家庭環境に生まれた時からおかれてるちーちゃんは、両親を信じ、友達を信じ、宗教の仲間を信じる。

    新興宗教側から見た日常を描くと、こんな感じになるのかなと想像する。新興宗教を弾劾する作品ではない。一般的に胡散臭いものと思われるものでも、当事者からしてみれば純粋な存在である。チャラチャラした男を好きになるのも、そこに信じる何かがあるわけで、信じることについては、新興宗教も人を好きになること、友達と過ごす日常も、等しく人間の純粋な気持ちが生み出すものだ。

    偏見とは自分勝手な概念だ。ちーちゃんのニュートラルな行動を見ると、偏見を持たないことがどれだか難しいのか思い知らされる。

  • 今日の天気のせいではあるけれど、冷え冷えと、寒々とした話。
    主人公が赤ん坊のときに虚弱体質だったことが引き金で新興宗教にどっぷりそまってしまった両親。
    長女は脱出するのだが、主人公は親との絆を切るには至らない。
    登場するだれもが、情に流され理に弱い。
    典型的な、悪気のない人たち。。。
    ぶるぶる。。。。。
    育てるものがこのように弱ければ、理は学校教育から学び取るしかない。
    主人公の通う学校も登場するのが、教師という立場の希薄さも伝わって来る。唯一、遠慮を知らない級友たちは、キッカケを与えられるかもしれないのだけれど。。

  • 初読

    おお…
    不穏さ、心のざわつき。
    そんな言葉が浮かんでも、ぴたりとハマる感じがしない。
    小川洋子曰く「読み手の言葉を奪う」
    三浦しをん曰く「あらすじを説明してもこぼれ落ちるものの方が多い」
    うん。その通りだ。

    水入れ替え事件のまーちゃんとか
    エドワードファーロングとか隣の席の田所君とか
    なべちゃんと彼氏の新村くんとか海路さんのやきそばとか
    うまいなぁ……

    これどう終わるんだろうとドキドキして
    娘を真ん中に抱き締め合う親子にあぁ…としか言えないのだった。

  • 太宰治賞の受賞作「こちらあみ子」がとても印象的だったので引き続き同じ作者の作品を読んだ。次女の生後の酷い虚弱体質が知人の紹介で快復したので夫婦でその某宗教に嵌まったが否定する人々との軋轢も。主人公はその次女ちひろ、当たり前のように両親からの宗教的な影響を受け成長していく。姉は否定して家を出たけど ちひろは否定するでもなく肯定するでもなく緩く受け入れている。中3になった彼女の今後がどのようになるのかは気になるところだけど。
    昔 騒がしかった霊感商法 霊視商法がベースにあるようだけど、何故に作者が注目したのかな?

  • 主人公はどこかとぼけていて、作品全体も明るいのに、名状しがたい不気味さがそこはかとなく漂う。
    それが今村夏子の作風なんでしょうね。
    衝撃のデビュー作「こちらあみ子」、完成度の高さに脱帽させられた「あひる」、「こちらあみ子」に併録された「ピクニック」「チズさん」も、それぞれの要素に濃淡はあれど、そんな作品でした。
    得難い作家です。
    本書の主人公は、あるきっかけで新興宗教に入信することになった両親を持つ女の子。
    女の子の1人称視点で、物語は進みます。
    両親は聖水を飲むだけでなく、聖水を浸したタオルを頭に載せて暮らしています。
    家族で教団の教会に行って、集会に参加することもあります。
    母の弟が家族を脱会させようと一計を案じます。
    なんて書くと、「名状しがたい不気味さがそこはかとなく漂う、なんて嘘。もう立派に不気味。っていうか怖い」とムキになって食って掛かる人もいそうです。
    まあまあ、早合点しなさんな。
    あのね、上に紹介したようなことが、無垢な女の子の視点で淡々と語られるのです。
    正邪善悪の判断は一切なし。
    分別のついた大人の読み手としては、書かれていないことがあまりに多い。
    ぅでもね。
    この「書かれていない」ということが、今村夏子の作家としての稀有な才能の発露なの。
    凡百の作家は、書いてしまうんだ。
    だって書くのが作家だもの。
    でも、今村夏子は書かない。
    書かないで、読者の想像力を喚起する。
    こうやって簡単に書いているけどね、なかなか出来ることじゃない。
    やっぱり凡百の作家が同じことをしたら、それは単なる「不足」と指摘されるのがオチだもの。
    ラストも素晴らしい。
    ここからややネタバレだから気をつけてくださいね。
    いいですか。
    いきますよ。
    このラストの場面は、家族が同じものを見ているようで、全く違うものを見ているという暗喩だと思いました。
    主人公の「私」はやがて巣立つのでしょう。
    心に沁みる、切ない場面です。
    うん、素晴らしい作品です。
    ただ、「こちらあみ子」にあったような、巧まざるユーモアが足りない気がしました。
    ファンは欲張りなんです。

  • 短いのであっという間に読めた。
    第三者からすると悲惨そうな人生も当事者からみればそんなに悲惨なわけでもないのかもしれない。
    だって、本当のことは当人にしかわからない。

  • なべちゃんみたいになりたいと思った。
    文体はとても優しい感じなのに、宗教の偏見や差別について考えさせられた。

  • 初読み作家。芥川賞候補作。
    ちひろは、生後まもなく原因不明の湿疹にかかり、その治療を契機に両親が新興宗教にはまっていく。親戚の忠告にも耳を貸さない両親。そんな家に嫌気がさして家出してしまう姉。ちひろは成長するにつれ周囲とのずれに気がついていくも、自分の為に宗教にすがった両親の愛情から離れることもできず・・・
    独特の雰囲気のある話で、恐怖感すら覚える箇所も。ちひろの周囲には、いい人が多いのが救いか。子供には荷が重い話ゆえ、けなげさが。

  • 第137回芥川賞候補。新興宗教の熱心な信者を両親に持つ女の子の話。主人公は信仰を生活の一部として受け入れている様子が自然で、モデルがいるのかなーと思いました。素直な両親は、親切そうな落合さんに利用されているように感じました。人気者の南先生の性格も良くないし、様々な表と裏とか、本当と嘘とか、淡々とした物語の中に複数の面が描かれていて、読後なんとなく考え続けてしまいます。夜の散歩のエピソードは、両親との別れかなーと私は感じました。主人公は納得しないかもしれないけど。物語の先にいろいろな可能性があって、良い結末だと思いました。

著者プロフィール

今村夏子(いまむら なつこ)
1980年広島県生まれ。2010年「あたらしい娘」で第26回太宰治賞を受賞。「こちらあみ子」と改題、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞受賞。2016年、文芸誌『たべるのがおそい』で2年ぶりの作品「あひる」を発表、同作が第155回芥川龍之介賞候補にノミネート。同作を収録した短篇集『あひる』で、第5回河合隼雄物語賞受賞。2017年、「星の子」で第157回芥川龍之介賞候補ノミネート、第39回野間文芸新人賞受賞。 2019年、「むらさきのスカートの女」が第161回芥川龍之介賞を受賞した。

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