女生徒 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 256
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099155

感想・レビュー・書評

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  • これを書いているのが成人の男性であるということが信じられないぐらい、まさに女学生の頭の中だった。
    『皮膚と心』が特に好きだった。

  • 一番始めの燈籠が大好きです。

    なんでこんな面白いギャグみたいな小説を書けるのでしょうか。

    好きになった水野さんのために海水パンツを盗んで、
    牢屋に入れられて、

    あ!そういえば水野さんはもともとお金持ちの育ちだった事忘れてましたって。笑

    そんな。

    そして最後は、
    自分の家族の愛おしいさ、小さな幸せに気づいて。
    他人にはわからない家族しかわからないものってあるよなーって。じーんとしちゃって。

    あれ?これはなんの話だっけ?

    よくこんな話を書けるものだ。
    本当に天才なんだと思った。


  • 初めて太宰治の作品をきちんと読んだ。もともと文豪と呼ばれる作家が苦手だと思っていたので、避けていたがこの女生徒が入っている短編集はとても面白かった。すべて女性一人称で書かれていて、これが男性が書けるのかと驚く。時代は古い感じはするが、女心は今も昔も一緒。
    皮膚と心、きりぎりす、葉桜と魔笛はきれいな感じで家族を思う女心。
    恥、饗応夫人は女の悲しい性とか読んでいて恥ずかしくなるほどの女の気持ち。
    読まず嫌いせず、読んでみる事をおすすめしたい。

  • 自分の個性みたいなものを、本当は、こっそり愛しているのだけれども、愛していきたいとは思うのだけど、それをはっきり自分のものとして体現するのは、おっかないのだ。

  • 私はまだ若いから、16歳だから太宰治にこんなにも入れ込めるのだろうか。1行、1文字ずつ大事に読んだ。好きなところは繰り返し繰り返し読んだ。大人になった時にこれを読んでくだらないと思うのか、それともやっぱり好きだなあと思うのか楽しみ。絶望と後悔の中の一条の光を私も見つけたい。この人のように。

  • かなり訳のわからない内容だが、多分その訳のわからなさが新鮮だったのだろう。今も昔も少女というのはそう変わらない生き物だと思った。

  • 「女生徒」「貨幣」「饗応夫人」
    それにしても太宰は奇人・変人である。一緒に居たくない人である

  • 大分昔に読んだけど、女の子の気持ち、微妙に揺れ動く感情を見事にみせてくれました。でも後にそれは太宰の恋人か誰かの日記だたのかと知った時はヤッパリかと少し残念でした。でも彼なりにいじり完成させた文学的価値はさすがでした。

  • 女性視点の私小説風の短編でまとめられた一冊。
    表題作が描くのは、天使と娼婦に同時に憧れ、自らを愛しながら疎む、ザ・思春期…こういう言い方をすると安っぽくなってしまって申し訳ないのだけれど、それが安くなく非常に上手いのがさすが。
    他の作品もガラス窓をそっと爪で引っ掻くような、小さいけれど忘れられない音がした。
    特に、「おさん」がお気に入り。

    「男のひとは、妻をいつも思っていることが道徳的だと感ちがいしているのではないでしょうか。他にすきなひとが出来ても、おのれの妻を忘れないというのは、いい事だ、良心的だ、男はつねにそのようでなければならない、とでも思い込んでいるのではないでしょうか。(中略)ひとを愛するなら、妻を全く忘れて、あっさり無心に愛してやって下さい。」

    ため息が出るほど文章自体も中身も見事な一作だった。

  • 北村薫「太宰治の辞書」から、なんとしても女生徒を読みたいと思い購入。

    表題作を含む短編14作は、どれも女性目線の独白小説で、太宰を読みつけない私にとっては男性作家のこの形式はとても新鮮だった。

    さて、お目当ての女生徒。
    この短編集の表題になるべくしてなっているな、という感想。
    思春期の少女が持つ潔癖さ、傲慢さ、いじらしさ、一瞬先でさえ自分の感情をコントロールできない不条理、なんとも言えない焦燥が1日の中で目まぐるしく押し寄せる。
    賢く、正しく、美しく生きたい。
    自分の理想はあるのだけど、
    それに近づけない、頭でっかちで、嘘つきで、まさにロココな今の自分。
    疎ましく嫌だと思いながらも、
    どこかナチュラルに他の人と比べて、自分の方が優れていると思う土台の上からいろいろな目の前の出来事を判断する感じ。
    俯瞰する自分と、出来事にリアクションする具体の自分を統合できなくてぐちゃぐちゃになる、あの感じ。
    めっちゃ出てる。
    そして、それはここにおさめられている全ての作品に通底しているようにも感じた。乱暴に表現するなら、少女性…というか。

    これだけ女性目線の作品ばかりなのに、母性があまり見えないな、と感じるのもそのせいなのかもしれない。

    そしてこれはやはり太宰治という人の人生がそうさせているのか。

    この作品集を読んだ後、Wikiで調べてみたけど、既知の事実も作品を読んだ後に改めて読むとなんとも味わい深い。

    そのうちまた、いろいろ読んでみよ。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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