徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川文庫ソフィア 99 ビギナーズ・クラシックス)
- KADOKAWA (2002年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043574087
感想・レビュー・書評
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『徒然草』全243段から75段を抄訳した入門書であり、そのエッセンスを見事にまとめた好著。原文は角川ソフィア文庫の『徒然草―付現代語訳』(今泉忠義著)を典拠にしているので、烏丸光広校訂古活字本が底本。
図説や挿絵を交えた解説が充実しているので、これ一冊だけで理解ができたような気になるのだが、それを防ぐために探究書の案内コーナーも設けてある。ただ、そこに橋本治氏の『絵本徒然草』や岩波文庫の『徒然草』が含まれていないのが残念。
さて、この本の内容だが、ビギナーズ・クラシックスという位置付けだから仕方ないのかもしれないが、妙に読者にすり寄ったような現代語訳が気になる。あるいは、橋本治さんの『絵本徒然草』を意識しているのかもしれないが、訳語の選び方に洗練されたものを感じない。解説部分が理解しやすくて秀逸なだけに、とても惜しい気がする。とはいっても、入門書としては得るところの多い作品であることは確かである。 -
まぁ確かにそうなんだけど、
知識から得ても仕方ないから、
経験から実感しないと人間は。 -
解説や図解があって非常に理解しやすい。
中身が知りたくてもあんぽんたんな私に嬉しい一冊
外のシリーズも読んでみたいです -
人生のことが知りたい人必読。目からうろこが出る。下手なインチキ自己啓発本を読むのはやめて、いにしえの法師(僧侶)の随意な文章を熟読せよ!
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入門として読みやすい。いつか原文に挑戦したい。
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何度でも繰り返し読みたい本
読む度に新しいことに気付くような本である
高校時代古典が苦手であったが
訳が付いているので読みやすい -
深い本。人間のあるべき姿、一つの真理のようなものを吉田兼好による深い洞察から描かれている。
このようでありたいと思わされる内容があり、素敵な世界観をも感じさせてくれた一冊。
この本を読んで、昔行ったことがあるあだし野が有名な風葬場であると知った。
この本を読んで、深い洞察に基づき自らの見える世界観を表現するエッセイはいいなと思った。
自分の全てを開放できるならば歌でもスポーツでもどんな趣味でも構わない。
そこにほんとうの自分がいることに気づけば、それでよい。
自分を見つめ直す再発見の道はそこから始まる。
妥協だらけの日常の中でともすれば自分をみうしないがりになる。純粋な自分をとりもどる
「つれづれ」の時間をいしきして確保することが大切。
「自分史」をつづるのも「つれづれ」の活用であることが望ましい。
品位を生むには時間がかかる。長い年月が磨き上げた古さの魅力。
家柄と容姿は生まれつきでどうにもならない。
後天的な努力で、男の夢を実現しようと思ったら、学問と社交術を身につけること。
酒はほどほどに、歌もうまい方がよい。
どこでもよい、ちょっと小さな旅をすると目が覚めるような新鮮な気分になる。
自分の住んでいるところとは違うのだという旅の思いが家族への情愛をかきたて、気配りの
細かい頼りを書かせる。
未知のものに向かい合うときの、新鮮な心のたかぶりが旅の魅力である。
深夜、独り静かに思いでの品を整理していると、思いでの中から人の姿が浮かび上がる
思いでの人は生身の臭気が消えて、ただ清らかでなつかしい。
生身の人間と付き合うのは、様々な制約がある。けれども思いでの人とはどこでも、いつまでも付き合える。
思いではたんなる感傷に終わることなく、心に潤いを与える、。品物よりもそこに宿る思いでが尊い
あくせく働いて一体何が目的なのか
待ち受けているのは老いと死の二つだけ。一瞬もとまらぬ速さでやってくる。
万物は流転変化するという無常の原理をわきまえておくべきである。
時間をもてあます人の気がしれない。何の用事もなくて独りでいるのが人間にとって最高なのに
この世の真理を悟ることはできなくとも、煩わしい人間関係を整理して、静かに暮らし、
ゆったりとした気分で本来の自分を取り戻す。これこそが短い間でも、真理に近づく喜びを味わうといってよい。
つれづれの時間を自覚的に確保することが必要だ。
つれづれを活用して、自分の置かれている立場をチェックしてみよう。
まねる余裕のある人間は、善事をまねるか、悪事をまねるかで、人間の価値は決まる。
人格はまねることによって向上する。うそでも善事を続ければ人格者へと向上していく。
友人にするには向かないタイプが7つある
①地位や家柄のあまりに高い人 格差がありすぎる お偉いさん
②年の若い人 血気のコントロールがきかない 青二才
③病気一つしたことのない頑健な人 思いやりがない 不死身
④酒好きの人 飲んだくれ
⑤威勢がよく強がっている人 冷血漢
⑥平気で嘘をつく人 うそつき
⑦何にでも欲張る人 欲張り
最高の友には三つのタイプがある
①何でもものをくれる友 援助好き
②医者 医者
③頭のいい友 知恵者
本当の美は肉眼よりも心眼によって、心の銀幕に映し出される。その景色は自分の心が能動的に描き上げたもの
屋外の景色は外から押し付けられた受動的な映像に過ぎない
目を閉じて、まぶたの裏に花や月のさまざまな情景を自由自在に描いてこそ、自然の美を心底から自分のものにしたといえる
何事も最盛そのものではなく、はじめと終わりが味わい深い
恋愛もつらさに悩んだり、長い夜を独りで寝て明かし、遠い雲の下にいる相手に思いをはせ、荒れ果てた住まいに相手と過ごした当時を
死飲んだりする態度こそ、恋の真味といえよう。
恋の語源は乞いで相手の魂を求める心の動きである。相手を求める緊張感を失い、相手を永遠にわがものと思いこむ怠惰な安心に変わったなら、
恋はすでに終わっている。
人間というものは生活が安定しないと平常心を失ってしまう。
経済的に不自由しないのに、よくにかられて悪事をする人間こそ、ほんものの盗人である。
何事も自分の外に向かってあれこれ求めてはならない。
自分に目を向けて、自分が今やるべきことに全力を注げばいいのだ。
「現在必要なことをしていれば、それでよい。予測のつかない将来を問題にするな」
あらゆる分野で一人前になり、大成しようと考えていると、目の前の雑事にとらわれて、月日を送ってしまう。
結局何一つ達成できたもののないまま年老いてしまう。
結局何の専門家にもなれず、計画通りに出世もできず、後悔しても、年齢は取り戻せないから
走って坂を急降下する車輪のようにみるみる老衰していく。
一生のうちで大事な人生目標のうちで、それらの重要性をよく比較・検討し、第一の目標を決定したら、それ以外のものは破棄して
ただ一事だけに専念しなければならない。一日の間にも一時の間にもやることはたくさんあるが、それらの中から少しでも、
意義のあることを選び、それに全身全霊をささげ、それ以外はすべて切り捨てて何よりもこの大事を急がなくてはならない、
どれもこれも捨てがたいと執着するならば、間違いなく一事も達成できなくなる。
人生は長くもあり、短くもある。なすべきことを自覚している人間にとって人生は短い。自覚しない人間は長い。
一番の大事は一番先にやらねばならない。やるべきことの多い場合は大事により近いほうを優先してやること。
昼は視覚が優先するが、夜は聴覚・嗅覚も対等に競い合う。
そんな夜の美点を紹介している。
主人がきちんといる家には無関係な人間が勝手に押し入ることはない
主人のいない家には通りすがりの人間が勝手に入り込む。
鏡も色も形もないからあらゆる映像がやってきて色形が移る。
鏡自身に色形があれば移ることはない。
からっぽの空間はどんなものでも収容できる。
私たちの心の中にさまざまな思念が、当人の意志に反して勝手に入り込んで浮かぶのもの、心に主がいないからだろうか。
家と同様、心にも主人がいるのならば、心中にさまざまな雑念が侵入することはないだろう。
心の主体性は非常に重要である。 -
『徒然草』(2002年、角川ソフィア文庫)
三大随筆のひとつの『徒然草』。
現代語訳がついているので、古典が読めない人でも安心して読むことができます。
「つれづれなるままに」で始まる文章や、「仁和寺にある法師」「高名の木登り」「神無月のころ」などの段は生徒のときに学んだ人も多いと思います。というわけですごく懐かしくなると思います。
また、大人になってあらためて読んでみると、卜部兼好の洞察力の鋭さがよくわかるのです。たとえば、男女論であったり、人生論であったり。現代にも通じるのは、そこに普遍的な真理があるからなのだろうと思います。その意味で『徒然草』は古典的名著ですよね。
(2010年2月1日) -
出版社/著者からの内容紹介
鋭い人間洞察の宝庫「徒然草」を現代に甦らせる画期的試み。古典が面白い!
目次
自己発見の道へ―つれづれなるままに
出世の本道とは―いでや、この世に生まれては
政治の倫理規正―いにしへの聖
いい男の条件―よろづにいみじくとも
長寿への警鐘―あだし野の露
女の色香の威力―世の人の心
住まいは人なり―家居の、つきづきしく
蜜柑の木を囲う独占欲―神無月のころ
友あれど心の友はなし―同じ心ならむ人
読書は古人との対話―独りともし火のもとに〔ほか〕