二度はゆけぬ町の地図 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.74
  • (44)
  • (89)
  • (65)
  • (11)
  • (4)
本棚登録 : 651
感想 : 82
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043943869

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 相変わらず、自分のことを明け透けに、読者を笑わせてくれる気前の良さ?を感じました。浮世とは、他人の堪えがたきものを耐えての、果てなき行路 という言葉(作者によるものではない)が印象に残りました。

  • 主人公はおそらく作者自身のことなのだろうが、こんなロクでもないやつがいるのか、というくらいロクでもない(笑)読んでいて、なんかはらはらさせられ、案の定、アチャーという気持ちにさせられる。
    でも、ここまで赤裸々に書かれると、かえってすがすがしいような気もするから不思議。

  • 根拠もなく、明治時代の古いエッセイだと思ってた。
    (強いて言えば表紙がそれっぽかった)
    開いてみれば割と新しく、しかも私小説であった。

    しかし、この主人公クズである。
    中学校卒業後欲望のままに生き、親兄弟始め関わる人すべてに迷惑をふりまきながら生きている。
    自分の思うようにならないことに対し悪態をつき、時には暴力に走るが、本格的な裏社会に堕ちるほど度胸もなく臆病である。
    救いどころのないクズ人間である。
    若干のデフォルメがあるとはいえ、こんなのが現実に生きて小説家として生きてるなんて、出版社はどうかしてるとしか思えない。
    読んでて胸糞悪くなる本だった。

  • 人は歳を重ねるたびに,いくつもの荒波を切り抜け,多くの人と交わるうちに常識を身につけ,60歳,70歳になるころには精神的な余裕をもっていくものだと思っていましたが,そうではないようです。ここ数年,怒る老人を幾人も見てきました。キレる老人ともいわれます。
    貫多の大家もまさにそれです。元中学の校長という肩書きに近所の人たちは立派な人と思い込み,その人のなすことに間違いはないと思い込んでいますが,実は僅かなお金のために人を侮辱する人でした。
    あいかわらず貫多の自堕落な生活にはあきれますが,キレる老人には幻滅します。

  • 是非長編も読みたいと思いました。

  • かなり笑った。北町貫太シリーズ。「春は青いバスに乗って」はちょっと読んで内容が見えてきた頃に大笑いしてしまった。徹底してみじめでからっとしてるのがいいなぁ。よくある普通の仕事ができなかったり馴染めないから小説書きましたみたいななまっちょろい似非社会不適応者の書いたものほどはなについた下らないもんはないからな。

  • 北町貫太17歳。青春時代の生き様です。
    「春は青いバスに乗って」題名はさわやかなのにという点、いつもと違う場面ということもあり、おもしろかったです。

  • 苦役列車と一緒に読んだ。

  • 下品極まりない醜悪な痴態が次から次へと繰り出される。目をそむけたくなるようなエログロテスクもあったが、一行一行に目線は釘付け。離すことができなかった。著者の卑しさ、情欲、未練、みっともなさにも同穴の親近感を覚える。読めば読むほど自分が透けて見えてくる。著者は短気に任せて馬鹿をやっていつも後悔しているが、寧ろその無様に自分の世間への阿諛迎合に言い知れぬ羞恥を感じる。4つの短編はいずれも強烈。興味をそそられる内実に溢れている。センテンスも稠密で美しい。極上の文芸だ。女性に推薦できないのがまことに残念。

  • 自分を棚に上げまくってる主人公のクズっぷりがいいですね。
    文体と中身のミスマッチ感も面白い。
    ワキガの客との銭湯での話が個人的に一番面白かったです。
    このスケールの小ささは見習わなければ、と。

全82件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

西村賢太(1967・7・12~2022・2・5)
小説家。東京都江戸川区生まれ。中卒。『暗渠の宿』で野間新人文芸賞、『苦役列車』で芥川賞を受賞。著書に『どうで死ぬ身の一踊り』『二度はゆけぬ町の地図』『小銭をかぞえる』『随筆集一私小説書きの弁』『人もいない春』『寒灯・腐泥の果実』『西村賢太対話集』『随筆集一私小説書きの日乗』『棺に跨がる』『形影相弔・歪んだ忌日』『けがれなき酒のへど 西村賢太自選短篇集』『薄明鬼語 西村賢太対談集』『随筆集一私小説書きの独語』『やまいだれの歌』『下手に居丈高』『無銭横町』『夢魔去りぬ』『風来鬼語 西村賢太対談集3』『蠕動で渉れ、汚泥の川を』『芝公園六角堂跡』『夜更けの川に落葉は流れて』『藤澤清造追影』『小説集 羅針盤は壊れても』など。新潮文庫版『根津権現裏』『藤澤清造短篇集』角川文庫版『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら他』を編集、校訂し解題を執筆。



「2022年 『根津権現前より 藤澤清造随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西村賢太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×