ブレイブ・ストーリー(下)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (659ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734448

感想・レビュー・書評

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  • さまざまな怪物、呪い、厳しい自然、旅人に課せられた苛酷な運命が待ち受ける“幻界”。勇者の剣の鍔に収めるべき五つの宝玉を獲得しながら、ミーナ、キ・キーマらとともに「運命の塔」をめざすワタル。先を行くライバル・ミツルの行方は?ワタルの肩にかかる“幻界”の未来は?そして、現実世界で亘の願いは叶えられるのか―。息を呑み、胸躍る数々の場面、恐ろしくも愛らしい登場人物たち―。物語の醍醐味がすべて詰まった圧巻の2,300枚。 (amazonより抜粋)

  • ヴェスナ・エスタ・ホリシア。
    また会う日まで。
    感動しました。

  • 2003年9月30日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    宮部女史版ドラクエといったほうがいいかな。
    現実でつらい思いをした少年が、その現実を変えるため、
    「運命の女神」がいる「運命の塔」を目指し、
    「幻界」と呼ばれる異世界を仲間の力を借りながら旅する。
    その中で少しずつ大人への階段を上りだした少年は、
    自分が何を「運命の女神」に願うべきかを悟る。
    本当に現実を変えたいと強く願うならば、
    他人に頼るのではなく、自分自身を鍛えねばならないのだ。

    かつて、幼い頃にドラクエにはまりにはまった時期がある。
    当時は私もあの世界を旅したいと本気で思っていた・・・
    いや、今でもぽっかりと異世界へ通ずる道が開いたら、
    私は少しの躊躇をともないながらも飛び込むだろう。
    ただ、まぁ、そんなことは無理だよね。
    人生とは自分探しの旅だ、とはよく言ったものだ。
    今はこの現実を必死で旅しなさいということなのだろう。
    そのわりにはあまり夢のない世界だけれども・・・

  • 最後まで読むのが苦にならなかった。

  • 幻界の厳しい自然、さまざまな怪物たち。立ちふさがる困難を乗り越え、辿り着いた「運命の塔」。ワタルの願いはかなえられるのか?

  • レビューは上巻。

  • 子供向けファンタジーの金字塔というには血腥い事件が多すぎる。

    血が流れること自体がファンタジーらしからぬ、と言うつもりはない。
    『はてしない物語』ではバスチアンがアトレーユを刺したし、
    『ゲド』でもテナーは血腥い儀式をしていた。
    『指輪物語』でもフロドの指は食い千切られる。
    でも、これらの物語は、それでもファンタジーだ、と思う。

    幻界に現界のものを持ち込んではいけない、なんて言いつつ、
    一番持ち込んでいるのはこのストーリーの組み立て方じゃないんだろうか。
    まぁそこは、幻界と現界つながってて似て非なる物、なんて言い分けが設定としてあるわけだけども。
    宗教戦争、殺人事件、汚職、差別…現実のことが、単純にファンタジーの形を借りて
    違う形でただあるだけで、「どこもそんなもん」ってもっともらしくまとめているけど
    幻界には幻界という世界があり、幻界の日常がある。そこに厚みを持たせてくれないと。

    ところどころじんとくるところが無いわけではないが、
    それを忘れるほどにえ?と思うことがある。
    父とその不倫相手にそっくりな人を殺してしまうとか、(幻覚らしいけど)
    司教を殺してしまうとか(間接的にだけど)
    小学生が。それもワタルという所謂いい子が。
    で、気に病んでる描写はあるもののそれだけだ。
    更にミツルなんて…だし。いくら現代の子供が、人は死んでも生き返る
    と思っているとしても、いくらなんでもこれはなあ…と思う私は性善説なのか?
    真っ当な人間なら、人の大量な血を見ただけでもっと動揺してもいいと思うんだけど…。
    コナンくんや少年探偵団が、毎回死体を見つけても冷静なのと同じか?(笑)
    でもだとしたら、やっぱりファンタジーじゃなくミステリーじゃないのか。
    そういう区分けにこだわるわけじゃないけど、ファンタジーというものに
    自分が思い入れがあるせいか、宮部さんがというかこれを持ち上げてる周りに
    不快感を感じる。
    ファンタジー要素は全て借り物で、現実世界のことを、ファンタジーの設定で
    いろんなゲームとかお話の切り貼りで、出来ているような気がしてしまう。

    それに、ミツルに先を越されそうだからってあっさり旅を諦めるというのが
    理解不能で、
    三人の落ち込みもカッツの語りにも感情移入が出来なかった。
    先越されそうだからって、どっちが人柱か関係なく、宝玉捜すだろう。
    探せばお母さんにまた会えるんだし。人柱になるなら尚更でしょう。

    カッツを殺してロンメルさんが人柱なのも意外だったし、
    (ロンメルのカッツが生まれ変わって云々って言い草は感動したけど)
    ミツルもだし、なんで幻界にミツルの妹が迎えに来るんだろうって疑問。
    それにワタルのお願いも、あれでよかったのか…。

    話が逸れるようだけど、私は宮沢賢治が大好きだ。
    でも一点相容れないなと思うのは、「世界全体が幸福でないうちは…」ってやつ。
    だって、すべての人がみんな幸せな状態って、理想だけれどありえないもの。
    田中理香子と三谷明と、ワタルとワタルのお母さんの幸せは両立しない。
    自分の幸せが誰かの不幸と表裏一山一体になってることはある。
    実はそんなのばっかりかもしれない。
    そしたら、この四人が少なくとも同時に幸せになることはない。
    少なくとも、平穏無事に家庭生活を、ということが四人の幸せなら。
    お母さんか理香子と三谷明が諦める、譲歩する、ということが必要になってくる。
    だから単純に女神様の前で、みんなの幸せを、僕に力を、とは確かに
    ワタルは願えないのかもしれない。
    だけど、未来を、というのも同じ位抽象的にも思える。

  • ブレイブストーリー後編です。
    ようやく待ちに待ったファンタジー要素満載の展開です。
    亜人の兄ちゃんだったり猫の女の子がいたり、剣も魔法も出てきます。
    でもそれだけじゃないんですね。いくらファンタジーでも現実、だから
    主人公は成長していったりします。逃げてばかりではダメだと、
    それが最後には大切な財産になっている。
    色々考えさせられる物語だなと思いました。

  • 2010年1月25日読了。勢力を増す魔族の進行と、異種族同士の争いに揺れる幻界での苦難の旅の果てに、ワタルが導き出した「願い」とは。冒険の旅は暗く重く哀切なトーンをまとっていくが、この結末は、実にすがすがしく前向きと思える。アニメ映画などの軽いジュビナイルな印象とはぜんぜん違うな・・・さすが宮部みゆき作品。強さとか、大事なものとかって、どういうものなのだろうか。

  • 「ファンタジー」と言う言葉の中では収まりきらない、壮大なストーリーです。言葉を自在に操り、読者を物語の中へと引き込んでいく。かなり長いですが、どこを削ってもこの物語は成立しません。
    最後のワタルの決断は、美しくもあり、残酷でもあり、当たり前のことであるとも言えるし、超越しているとも言えます。
    そして、この決断を理解しながらも、私はやっぱり心のどこかでミツルの運命を変えてあげたかったと思ってしまうのです。それもまた、ワタルの旅を通じて理解した、人の心の在り様というものなのだと思います。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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