- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049140576
感想・レビュー・書評
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図書迷宮と呼ばれるその図書館は、本を読んだ利用者の想像力によって繁栄し、司書の空想力で守られている。本の登場人物や著者が具現化し、たまに声をかけてくる。そんな図書館で司書をやるなんて、本好きには嬉しくてたまらない、夢のような話。でも、自分に自信を持てず、悪いことばかり想像してしまうアンにとっては、シビアな世界。悪い想像が悪い結果を呼び、また自分を責めてしまう。
物語を楽しめるか、楽しめないかは読者である自分次第。そしてそれは、現実で起こる出来事やインターネットにある大量の情報も同じ。どんな視点で見るかによって、良いものにも悪いものにもなり得る。
図書迷宮がインターネットの情報に汚染され、壊れていく様は、おぞましくて恐ろしい。情報の洪水に呑まれていく恐怖を感じた。でも、それも味方につけるか、ただ恐怖を感じて立ち止まるのかは、自分次第。
自分を否定されるのは、大人になっても怖い。でも、自己卑下ばかりしていたアンが、心無いコメントにも負けずに、図書館を守ろうと頑張る姿に胸が熱くなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「図書館迷宮」に入り込んでしまったアン。
それは自由人な父の思いつきによる全く意図しなかったホームステイ。
アンは元々本が好きなわけではないし、自分に自信がない。
何か過去の出来事が彼女の心に重しをしてしまっているようだ。
それは物語が進むにつれ、次第に明らかになっていく。
本書では4冊の本と深く関われる。
一冊めの荘子(第一冊 内編)は、自分に自信をなくしてしまった人にぴったりだ。
「自分は頭がよくない。
きれいじゃない。
(中略)狙公の猿と同じだよ。
目先のことで怒ったり泣いたりしてる。
誰かの見かけの価値観に振り回されて、人を嫉んだり、見栄を張ったり」
「この世界には(中略)本来はなんの区別もないんだ。それは一方から見ただけのことだから」
この万物斉同の考えは、以前勉強した時も、心を軽くしてくれた考え方だ。
他人からの評価は気になる。
目の前のことを一生懸命に、そして自分らしさをあるがままに受け入れる、それが自分を苦しめているものから解放される術なのだ。
主人公アンは、『クローディアの秘密』『シャーロック・ホームズの冒険』『おおきなかぶ』を通して自分らしさを取り戻していく。
これは、アンの成長物語で、同時に読者の成長の物語でもある。 -
とてもワクワクしながら読みました!面白かった!!
アンちゃんに勇気をもらいました!
本を読むことがもっと好きになれるお話だなと思いました。
そして、もっとこのお話を読みたいと思いました。
続きのお話があったら是非読みたいです! -
思っていた以上にファンタジーで最初は驚きましたが、後半にいくにつれてどんどん惹き込まれていきました。ワガハイが好きです。
本との出会いをきっかけに前向きになれるって素敵だなあと思います。
夏休みにアニメ映画として上映されていそうな雰囲気で楽しかったです。
残りの滞在期間や図書屋敷のその後、ご両親のことなどまだまだ気になることもあるなあと思っていたら続編も決定しているとのことで、次巻も楽しみです。 -
Amazonの紹介より
不思議な図書館で綴られる、本と人の絆を繋ぐビブリオファンタジー。
高校生の美原アンが夏休みにホームステイすることになったのは、札幌の郊外に佇む私設図書館、通称「図書屋敷」。不愛想な館主・セージに告げられたルールを破り、アンは真夜中の図書館に迷い込んでしまう。そこは荒廃した裏の世界――“物語の幻影”が彷徨する「図書迷宮」だった!
迷宮の司書を務めることになったアンは「図書館の本を多くの人間に読ませ、迷宮を復興する」よう命じられて……!?
美しい自然に囲まれた古屋敷で、自信のない少女の“物語”が色づき始める――
どことなく、世界観が深緑野分さんの作品と似ているなと印象があり、どうしても比較してしまいます。
個人的には深緑さんの方が、インパクトや迫力があるように感じました。
想像力を掻き立てる異世界ファンタジーで、冒険やミステリーの要素も入っていて、大いに楽しめました。
「情報」という荒波に揉まれながらも、懸命に頑張る主人公の姿が印象的でした。冷たい「声」を信じすぎず、温かな「絆」を大切にしていこうと思いました。 -
子どもの頃に読んだ小説をもう一度読み返してみようと思った。
久しぶりのファンタジー小説、私が中学生や高校生の頃に出会ってたらもっと違う感想を抱いたかもしれない。今の私には眩しすぎる……と思ってしまう自分が悲しい。図書館でスマホはダメ! -
父のせいで北海道にホームステイすることになった女子高校生。着いてみるとそこは私立図書館だった。図書屋敷と呼ばれるそこは、夜は図書迷宮という謎の空間に。主人公は猫に導かれ司書見習いとして働くことになってしまう…。
海外の児童書とかでありそうな雰囲気。「本を守ろうとする猫の話」といい、猫と本はよくある組み合わせなのかな?
「オーダーは探偵に」は合わなくて1冊目で断念したけど、こちらは結構好きかも。