アフターダーク

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レビュー : 711
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125369

作品紹介・あらすじ

真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。「風の歌を聴け」から25年、さらに新しい小説世界に向かう村上春樹。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。ひきこまれるなんてことはなかったけども。
    村上春樹の小説はキムタクのドラマみたいなもんなんじゃないかと思った。
    一番印象に残ったのは、「普通の人は考えない。でも、僕は考える」ていうシーン。誰でもこういうことはあるでしょう。みんながみんなの特別な思考を繰り広げているけど、圧倒的な「普通」が存在する世の中。普通ってなんだろなー。単純な平均というわけでもない気がするけど。

  • 驚くべきは実際に読んでいる時間、つまりページ配分がリアルタイムに近かったこと。いや6時間はかかっていなかったが、章ごとに休憩などいれたら結果そうなった。さらには同じ時間で追っていくこともできたと思い悔やんだ。
    春樹作品としては異色といえる。どう考えても新宿だし、デニーズもならば初台店だ。香川県だの作中に示されてもどこか別世界のそれとし読ませられてきたのだが、今作は実にリアル。分かり易いヴィランも設定して、いつもと違う感が大きかった。でもやはりその軽さの中にも読後感の充実ははずさない。

  • 「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。」

    夜の闇の更に深い場所で、会ったばかりの、名前も知らないような人だから、話せることもあるだろう──。

    ファミレスでひとり夜を明かそうとする少女マリ、眠り続ける美貌の姉エリ、姉の同級生・バンドマン高橋、ラブホマネージャーのカオル、従業員のコムギとコオロギ、デリヘルの中国人女性、彼女を送迎するバイクの男、コンピュータソフト会社に勤める白川。

    pm23:56からam6:52までの6時間。昼間とは変容した真夜中の街、夜の一番暗い時間を越えた『アフターダーク』に生き、出会い、すれ違ってゆく人々を描く。

  • 「色彩を持たない〜」で村上氏の小説を初めて読んで、一冊だけではどうにも好きかどうか判断できなかったため、読みました。
    新作と同様、謎が謎のまま残る部分があるため、消化不良の感が否めません。
    そして一体誰の視点だったのかも謎…。
    暗示や隠喩が込められているのかもしれませんが、そんなに深読みできませんでした>_<
    けれど面白くなかったかというと、人間模様や会話についてはそれなりに楽しく読めました。
    こんな人いない、という人もいるかもしれませんが、現実にはいそうにない人やことがあるからこその小説と思えば、オールオッケーです。

  • 村上春樹は本当に大好きな作家さんですが、この作品が中でもとりわけ好きです。
    一夜の出来事を、まるでフィルム映画で観ているような感覚です。カッコつけすぎているとか、理解不能という人もいるようですが、そういうところも含めて大好きなんですよね。
    出版されてから今まで何回読み返していることか・・・。
    なんだかな~、というやるせない気分の時に何故か必ず手に取ります。

  • 時計のイラストがはいっているのがとても可愛い印象です。

    作品は非常にシリアスです。
    マリという19歳の少女の24時間を描いた小説なのですが、主人公を軸に、美しい姉、姉の同級生、中国人の女、元プロレスラー、エリートサラリーマンなど様々な人物がからみあって展開していきます。

    主人公はマリと書きましたが、正確には主人公マリと高橋の2人が
    主人公になるでしょうか。

    24時間という時間の中でファミレスからラブホ、ビジネスビル、
    生活空間と舞台がコロコロと変わっていきます。登場人物は連日TVで放送されている現代をそのまま切り取ったような人達。
    妙な現実感がありますが、こうして小説として読んでいると、
    取材されている「彼ら」の実在が懐疑的な影を帯びていきます。
    この物語は、どこで進行しているのだろうかというような。
    そんなあやふやで不可思議な印象、でもそれがすごくリアルなんです。

    マリとエリの2人の見えない視線の絡み合いも、作品に緊張感を
    与えている気がします。高橋が2人の関係の解決者というか、仲介者のような役目を果たして、2人の個性がはっきりと浮かび上がってきます。美しい2人なだけに非常に迫力があって、みどころになっていると思います。

    個人的にはマリに感情移入してしまうのですが、
    マリもエリも、どちらも好きになりました。
    でも私もマリほど優秀じゃないですが…。

    男性が非常に怖い存在に映ります。

    曲折を経て、マリと美しい姉、エリが迎えるラストシーンが印象的でした

  • 精神分析小説という村上ワールド。真夜中から明け方までの都市の一部という凝縮された時空間のなかに現代風俗を放り込み、村上的人間たちが浮遊する。朝日がさしても何も解決はしない。まるでユングの夢のように。

  • 正直、読後「?」となった。淡々と読み進めていって、気付いたら、読み終わっていた。謎な部分は全てそのまま。場面場面の時間設定を、とても細かに記す意味は。静かで冷たいところで、確実に何かがのそりと動いているのだろうけど。いろいろなものを次から次へと生み出し、最終的に終始がつかずに結論を告げられた感じ。盛り上がりはないし、フィナーレもない。あちら側とこちら側。…アンニュイ!

  • さらっとは読めたけど、読み終わった後、心に何かが届いたわけじゃなかった。

    これより、『ノルウェイの森』や『国境の南、太陽の西』のほうが俺は好き。

  • 街は夜も眠らない、と知ったのはいつ頃だろう‥この作品を読んでふと思った。村上春樹の円熟した筆致が、都会の夜のダークな部分を静かに呼吸するように伝えている。空を飛ぶ鳥の目を通して。

    実体をあとに残し、質量をもたない観念的な視点となって、鏡やTV画面を通り抜け、登場人物を、あちら側とこちら側の世界に自在に行き来させながら、サラサラと小説は進んでいきます。

    副音声的な描写が、読み手の感情移入をあえてかわすよう施されています。宇宙船の内部を見ているような錯覚にとらわれる不思議な作品。不可解さといくつかの暗示の中で、作中に出てくる映画『ある愛の詩』を「ハッピーエンド」としていることが、春樹さん独特の伏線なのだろか?
    数ある村上春樹作品の中でも、個人的にはとても落ち着いて読めた作品。作家としての熟成を感じます。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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