小暮写眞館 (書き下ろし100冊)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 4688
レビュー : 756
  • Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162227

感想・レビュー・書評

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  •  土地、古家あり。
     建物を潰してそこに家を新しく建て直すのがふつうだろうと誰もが思うような、古い写真館つきの土地を買い、しかも風情があっていいからとろくに改装もせず、店舗つきの住宅にそのまま住もうという。そんなことを思い立つ花菱家の夫妻は、ちょっと変わり者だ。
     そんな父母と、長男で高校生になったばかりの英一、次男で八歳の光。いまは四人で、写真館だった店舗付き住宅に住んでいる彼らだけれど、もともとは五人家族で、英一と光のあいだに長女の風子がいた。たった四歳で、インフルエンザ脳症で命を落とした女の子。

     ひょんなきっかけから、心霊探偵まがいのようなことを引き受けるようになった長男の英一を主人公に、四話構成のストーリーが進んでいきます。ままならない恋、友人の悩みや、家族のこと。そんなあれこれを抱えながら高校生活を送る英一の青春をコミカルに描く、日常の謎系ミステリ……が入り口だったのですけれども、一話一話で語られたエピソードが伏線となり、やがて絡まりあって大きなストーリーへ。
     最後はものすごい泣かされました……

     700ページと厚いのですが、読みやすく楽しいうえに、読みごたえたっぷりで(矛盾しているようですけれども)、読んで損はない一冊です。子どもたちも大人たちも、キャラクターがひとりひとり、とっても魅力的なんですよね。
     宮部さんの小説は、ストーリーテリングや読みやすさなんていう部分もすごいんだけど、とにかくキャラクターがいいなあと思います。

     もともとファンではありますが、個人的な宮部さんオススメ作品ベスト3に入りました。
     あとの二作は現代ミステリの『名もなき毒』、そのつぎが時代ミステリの『ぼんくら』。どれも切なく、ほろ苦く、けれど心温まる傑作です。

  • 「物語のすべてが詰まった700ページの宝箱」まさしくそのとおりの作品で看板に偽りなしさすが宮部さんといった作品でした。
    店舗付き住宅だった古い写眞館をそのままにして住むことになった花菱一家の物語。
    心霊写真の謎を解いていくという展開にホラーっぽいのかなっと思ったらそうではありませんでした。
    いつもながらに丹念にそして丁寧な描写を積み重ねながらゆっくりと物語は進行していきます。
    立ち上がりはちょっとスロースターターな宮部さんですが後半、やがて薬が効いてくるようにじんわりとやんわりと切なさ、あったかさが心に染みこんでいって胸がいっぱいになってしまう。
    親が子供を思う気持ち、子供が親を思う気持ち、人が人を思う気持ち、時を超えてつながりあう想い。
    そんなすべてのつながり、想いを大事にしたいと思わせてくれる作品でした。
    家族、青春、恋愛、ミステリー、ファンタジー、いろんな要素が詰まった物語。
    宮部さんならではのあったかな目線が心地よかったですね。
    英一をはじめとする登場人物の描写もお見事で特にピカちゃんがピカイチでした。コゲパンもよかったですね。
    まぁ実際にはいまどきこんな高校生はなかなかいてないんですけどね。

  • 登録漏れ
    宮部さんでまだ読んでいないならと勧められて読むことに決め、分厚さに図書館で一瞬迷ってしまいました。
    幽霊とか苦手分野だと思っていましたが、不気味さはなく世界に不思議はあふれていてもいい気分になりました。
    主人公が惹かれていった女性の魅力がイマイチ分かりませんでしたが、最後まで読んで表紙の意味に気づきました。

  • (一般担当/匿名希望)令和元年6月の特集「写真を楽しもう!」

  • *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます
    http://opac2017.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/BB50090719

  • 1

  • 久々に★を5つ付ける作品。半分くらいまでは「宮部さんうまいなぁ」っていうくらいの感じだったんだけど、後半持って行かれた。心のヒダを増やしてくれるタイプの作品。

  • 昔手に取った時は最初の数ページであまり好みじゃないかもと思い、その後もその印象が拭えず分厚さにもめげて読んでなかったんだけど、ついに読了!読んでみたらハマって、どんどん面白くなった。
    でも全体に切なさが漂う物語。
    終わり方もハッピーエンドと言えないわけじゃないんだけど、想像以上に胸がキュッとなる感じ。ただ単純にめでたしめでたしとはできない気持ちが作者の中にあったんだろうな…と思わされた。

  • 元写真館の店舗付き住宅に引っ越したことをきっかけに、主人公が写真に関する謎解きに挑戦していく話。
    寂れた商店街の描写や、地域に住む人々の人間関係がリアル。両親初め登場人物に変人が多いが、人物像の描写が丁寧なので、作り物のキャラではなく生きた人間の行動として納得できる。そういう点もリアル。
    ただリアルなだけに、念写等のオカルトというかファンタジーな部分と、現実部分の線引きがもうひとつ呑み込めなかった。初めて読んだ宮部みゆき作品が「火車」だったので、ついゴリゴリの現実路線を期待してしまうからかもしれない。
    三人称だが、地の文に登場人物の独白が頻繁に挟まる。会話部分では、会話と、地の文の独白が絡み合って多層的。少女マンガの手法に似ている。

  • 古家・小暮写真館に引っ越してきた高校生・英一を初めとする花菱一家と友人達が繰り広げるファンタジーヒューマンストーリー書き下ろし。

    第一話 小暮写眞館
    第二話 世界の縁側
    第三話 カモメの名前
    第四話 鉄路の春

    小暮写真館にまつわる心霊写真を元に、英一が真相を確かめに走ったり、登校拒否の児童を救ったり、恋をしたり。。。

    700P強の中でいろんな話が展開されます。

    私的には作風になじめなかったので評価は3つです。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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